原油・石油の基礎

石油とは|石油産業の歴史・疑問を解説


石油とは、天然にできた燃える鉱物油と、その製品の総称です。紀元前から人類史に登場し、様々な分野で用いられ、現代では熱源、動力源、化学製品など人類の営みに欠かせない存在となっています。

本記事では、そんな石油の基本や、石油産業の歴史、よくある疑問を詳しく解説していきます。

石油とは

石油とは、天然にできた燃える鉱物油(原油と天然ガソリン)と、その製品の総称です。

油田から産出されたままの石油のことを原油と呼び、この原油を精製してガソリン・灯油・軽油・重油・潤滑油など各種石油製品が生産されます。

分子式

原油はプランクトンの遣骸と土砂とが一緒になって海底に積もり、それが長い年月の間に圧力や熱によって油状になり形成されたという説(有機根源説)が有力です。

石油は、化学的には、多数の似通った分子式をもつ液状炭化水素の混合物です。その炭化水素は、炭素と水素の原子が色々な割合で結びついたものです。

炭素1と水素4の割合で結びついたものがメタン、炭素2に水素6がエタン、炭素3に水素8がプロパン、炭素4に水素10がブタンで、これらは常温常圧では気体になっています。

そして炭素数が5~15まではガソリン、灯油、軽油、重油などの液体、16~40ぐらいまではアスファルト、パラフィンのように固体となります。

分子式

これら炭化水素のうち、液体のものを一般的には「石油」と呼び、これに気体であるプロパンやブタン、固体のアスファルトやパラフィンなども含めて「石油類」もしくは「広義の石油」と呼んでいます。

なお、石油は近代に入ってから、主としてランプ用に灯油が使われていたこともあるため、一般に灯油のことを「石油」と呼ぶ場合もあるので注意が必要です。「石油ストーブ」や「石油ランプ」といわれるものは、この灯油を使用しているものです。

産油国分布

世界最大の産油国は米国で、次いでサウジアラビア、ロシアと続きます。

2022年における世界全体の原油生産は9,236万バレル/日に達し、このうち米国、サウジアラビア、ロシアがそれぞれ1,000万バレル/日を超える生産量を記録しました。これら3カ国だけで、世界の原油生産の40%以上を担っています。

世界の石油市場については、こちらの記事で詳しく解説しているので、気になる人はこの記事と一緒に読んでみましょう。

石油の歴史

石油の歴史は古く、紀元前から利用されていました。

ここでは、古代の石油利用から近代石油産業の始まり、OPEC(石油輸出国機構)の設立やシェールオイルの台頭など、石油の歴史について解説します。

古代の石油利用

世界で最も古い石油の利用例は紀元前3000年ころで、メソポタミア、すなわち現在のイラク地方に住んでいたシュメール人が立像の接着にアスファルトを用いました。

古代エジプトのミイラにもアスファルトが防腐用に用いられ、古代ペルシャや古代中国では、礼拝用や製塩、灯火、炊事用に天然ガスが用いられていました。

ビルマ(現ミャンマー)では、13世紀ころ手掘りによって油井(ゆせい)が掘られ、石油が照明、暖房用に使われていました。

また、米国でもインディアンが丸木舟や屋根の防水、そのほか薬用、祭祀用に石油を使ったことが知られています。

このように石油は、古代から世界各地で人類に知られ、薬、美術、土木、宗教、灯火、兵器用に使われてきました。

近代石油産業の始まり

世界で最初に設立された石油会社は、ニューヨークの弁護士ビッセルが1854年に設立したペンシルベニア・ロックオイル社です。

しかし、石油採掘が本格的な事業としてスタートするにはさらに5年を要しました。

その後、ペンシルベニア・ロックオイル社の事業を継承したセネカ・オイル社は、1859年にペンシルベニア州タイタスビルのオイルクリークで機械を使って石油の試掘を行っていました。

同年8月、同社の現場監督エドウィン・ドレークは約21メートルの深さで油層を掘り当て、セネカ・オイル社は1日当たり35バレルの石油を産出することになりました。

これが、企業化された石油採掘事業としての最初の事例で、世界における近代石油産業の始まりとされています。

OPECの設立

19世紀末に、世界の石油産業をロックフェラーが率いるスタンダード石油が支配しました。

1911年には、独禁法で解体されるものの、分割後の会社と、英国、フランスなどの主要7石油企業がカルテルを組み、大きな影響力を持ち、「セブンシスターズ」として知られていました。

これらの会社は時を経て形を変えながらも、世界各地で原油の探鉱、開発、生産、輸送、精製、販売に携わり、石油メジャーとも言われています。

1960年に中東諸国を中心に結成されたOPEC(石油輸出国機構)は、石油メジャーの支配を打ち破りました。この組織は、加盟国が協力して需給調整することで、石油市場における重要な役割を果たし、その影響力を保持しています。

シェールオイル・シェールガスの台頭

シェールオイル・シェールガスとは、頁(けつ)岩(がん)層から取れる、オイル・ガスのことです。

シェールオイル・シェールガスは元々、経済的にも技術的にも懸念がありましたが、原油価格の上昇や技術の進歩により採掘が可能になりました。

2010年代に入ると、米国を中心にシェールオイル・シェールガスの開発・生産が進み、現在、米国は世界一の原油国になっています。

石油・天然ガス採掘装置(リグ)の稼働数の推移

石油・天然ガス採掘装置(リグ)の稼働数の推移

上画像は、Baker Hughes社が公開している、毎月の世界の石油・天然ガス採掘装置(リグ)の稼働数の推移を示したグラフです。

稼働中のリグ数は、将来の原油供給量を予測する上で重要な指標であり、エネルギー市場で注目されるデータの一つです。原油を取引するにあたり、参考になるツールです。

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週間原油在庫と天然ガス貯蔵量(EIA)

週間原油在庫と天然ガス貯蔵量(EIA)

上画像は、米国エネルギー情報局(US Energy Information Administration、EIA)が公表している、週間の原油の在庫統計と天然ガスの貯蔵量の年間の推移を示したグラフです。

過去5年間の在庫及び貯蔵量のデータ範囲と平均値を確認することで、季節ごとの傾向や、現在の在庫・貯蔵量が平均と比較してどんな状況にあるのかを把握することができます。

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石油に関するQ&A

石油・原油に関して、よくみられる疑問点は以下のようなものです。

  • 原油に関するデータを得る方法をおしえてください
  • 石油とは何か簡単に教えてください
  • 日本で石油が取れない理由をおしえてください

原油に関するデータを得る方法をおしえてください

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石油とは何か簡単に教えてください

石油とは、天然にできた燃える鉱物油(原油と天然ガソリン)と、その製品の総称です。

一方、油田から産出されたままの石油のことを原油と呼びます。この原油を精製してガソリン、灯油、軽油、重油、潤滑油など各種石油製品が生産されます。

また、化学的には、多数の似通った分子式をもつ液状炭化水素の混合物です。

炭素と水素の結びつく割合により、気体のメタン、エタン、プロパン、ブタン、液体のガソリン、灯油、軽油、重油、固体のアスファルト、パラフィンとなります。

これらのうち、液体のものを石油と呼び、これにプロパン、ブタン、アスファルト、パラフィンなどを含めて石油類と呼ぶ場合もあります。

日本で石油が取れない理由をおしえてください

日本の主要産油地域は、新潟県から秋田県を経て北海道に至りますが、日本全体からみればごく限られています。

新潟県では古くから石油(原油)開発が行われており、国内生産の大部分を占めています。

ただし、国産の石油は、日本の石油使用量の1%に満たない状況です。

(生産状況 単位:kl)

平成29年 平成30年 令和元年 令和2年 令和3年
新潟県計 388,982kl 338,660kl 359,681kl 328,746kl 316,883kl
全国計 561,522kl 498,892kl 522,472kl 512,257kl 490,195kl
県生産比 69.3% 67.9% 68.8% 64.2% 64.6%

出典:新潟県HP

【まとめ】石油とは|石油産業の歴史・疑問を解説

石油とは、天然にできた燃える鉱物油(原油と天然ガソリン)と、その製品の総称です。

世界で最も古い石油の利用例は紀元前3000年ころにあり、それ以来人類の営みと深いつながりを持っています。

1854年には世界初の石油会社が設立され、近代石油産業が始まりました。

原油価格の動向は、金利や為替のトレンドを考えるうえで、非常に重要な要素です。

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本記事の監修者・佐藤りゅうじ


1968年生まれ。1993年米大卒業後、1995年2月株式会社ゼネックス入社。アナリストとしてマクロ経済分析をはじめ、原油、天然ゴム、小麦などの商品市場、また為替市場、株式市場のアナリストリポートの執筆、トレードに携わる。2010年1月エイチスクエア株式会社を設立。

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