テクニカル分析解説

損切り幅を決めてから利益確定幅を決めるトレードアイデア


リスクを決めてからリワードを決める


利益確定や損切りといったエグジットに関する値幅を決定する手段はさまざまありますが、王道的なのは「最初にリスク(損切り幅)を決め、それに基づいてリワード(利益確定幅)を決定する」という考え方です。

1回のトレードで受け入れるリスクはどれくらいか? そのリスクに対して、どれくらいのリワードを目指すか? といったシナリオを作ることで、計画的かつ持続的なトレードができます。逆に言えば、そうしたリスクに対する計画性のないトレードをしていると、1回のトレードで証拠金の大半を失う致命傷を負ってしまうケースも考えられます。これは避けるべき失敗パターンです。

では、どのように計画的なトレードをすれば良いのでしょうか? 例を挙げると、エントリーしたポイントから損切りラインまでの値幅を「1」と考えます。そして、その「1」のリスクに対して、等倍の「1」や「1.5」倍、「2」倍などのリワードを目標とするのが王道です。下画像は、直近安値で損切りをすると決め、その等倍の「1」や「2」倍の目標がどの水準になるかを表したものです。

等倍の目標

勝率50%のトレード戦略があるとして、リスク対リワードを1対2に設定すれば、資産曲線は右肩上がりになることが期待できます。このようにリスクとリワードを意識して、損切りを上回る利益を得ることで、自ずと安全な資金管理をすることができます。

なお、利益確定に関しては、目標到達で機械的に決済する手もありますが、トレール注文(トレンドを追いかける形で決済レートを引き上げる方法)を利用して目標以上の利益を目指すのも良いでしょう。


リスクリワードとは


リスクリワードという指標があります。これは「勝ちトレードの平均利益÷負けトレードの平均損失」で求められる損益比率のことです。この比率が1よりも大きければ勝ちトレードの平均利益が上回っていることを表し、1未満であれば負けトレードの平均損失が上回ることを表します。

先に挙げた例のように、損切り幅よりも利益確定幅を広く設定すれば、リスクリワードは必然的に1よりも大きくなり、損小利大のトレードを実現できるというわけです。このリスクリワードを意識してトレード計画を立てることは、利益の積み重ねを追求するだけでなく、証拠金を守ることにもつながります。


直近安値を損切りラインに設定したトレード例


ここからは具体例を挙げながら、損切りや利益確定目標の設定方法を解説します。

下画像は、ドル円の1時間足でレンジを形成した後に、レンジ上限をブレイクしたところでエントリーした例です。エントリー価格は109.07円で、直近の安値108.55円を損切りラインに設定します。そして、その値幅52pipsの1.5倍となる78pipsを利益確定幅としました。エントリー価格から78pipsをプラスした109.85円が利益確定の目標価格です。

直近安値を損切りラインに設定

                                           
エントリー価格109.07円
損切りライン108.55円(エントリー価格から-52pips)
利益確定ライン109.85円(エントリー価格から+78pips)

トレード結果としては、レンジブレイク後に価格が戻るリターン・ムーブの動きを見せましたが、そこから反発して一気に上昇。目標価格109.85円まで到達したので利益確定としました。


フラッグの下限を損切りラインに設定したトレード例


こちらはドル円の15分足で上昇トレンドの最中にフラッグを形成し、フラッグの上限を終値でブレイクしたところでエントリーした例です。

エントリーの価格は114.01円で、フラッグの下限113.90円を損切りラインに設定します。そして、その値幅11pipsの2倍となる22pipsを利益確定幅としました。エントリー価格から22pipsをプラスした114.23円が利益確定の目標価格です。

フラッグの下限を損切りラインに設定

                                     
エントリー価格114.01円      
損切りライン113.90円(エントリー価格から-11pips)
利益確定ライン114.23円(エントリー価格から+22pips)

トレード結果としては、フラッグ上限のブレイクで続伸し、いったんは押し目を作ったものの目標価格114.23円まで到達したので利益確定としました。


本記事の監修者・平野朋之


ネット証券で、FX業務全般、自己売買部門のディーラー、投資情報室の情報発信、セミナー講師などの業務に携わる。現在は独立して株式会社トレードタイムを設立。マーケット情報の発信や投資教育を行うかたわら、オリジナル手法での自己売買も精力的に行う。

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