最終更新日:2023年5月11日 17時26分
ダウ理論とは?6つの法則や相場分析に使えるインジケーターを解説
ダウ理論とは?
米国のジャーナリストであるチャールズ・ダウ(1851年~1902年)は、投資の世界に多大な功績を残した人物です。現代のニュースで当たり前のように取り上げられる平均株価(日経平均株価やNYダウ)は、ダウが考案したものでした。また、彼が設立したダウ・ジョーンズ社、および発行した経済新聞「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、今もなお権威を持つことで広く知られています。
その名前を冠したダウ理論とは、ダウの考案したマーケット理論です。厳密にいえば、ダウ自らが著作を残しているわけではなく、彼がウォール・ストリート・ジャーナルで論説していた内容を、その没後にS・A・ネルソンが『The ABC of Stock Speculation』で体系化し、またW・ハミルトンが『The Stock Market Barometer』で紹介、そしてロバート・リーが『The Dow Theory』でさらに発展させたという経緯をたどります。
ダウの考案した平均株価および理論は、景気循環を探ろうとするところを出発点としていました。それが脈々と受け継がれ、100年以上が経ち、現代ではテクニカル分析の原点と評価されています。元々は株式市場(株価指数)の理論ではありますが、他の市場にも利用できる性質が認められ、多くのマーケット関係者から支持を得てきました。
ダウ理論の6つの基本法則
ダウ理論は、6種類の基本法則で構成されます。基本としては平均株価で語られる法則ですが、先物や為替などあらゆる市場にも応用されると考えられます。
基本原則①:平均株価はすべての事象を織り込む
市場価格の形成(需要と供給)に影響を与えるあらゆる要因は、平均価格に反映される(織り込まれる)という考え方です。
需給に影響を与えるファンダメンタルズ要因はもちろんのこと、地震や災害といった予測不可能な事象であっても、そのプライス動向は平均株価に織り込まれていきます。そのため、今後の値動きを予測するには、あらゆる要因を織り込んだチャートを分析すれば良いという考え方ができ、これがテクニカル分析の有効性の根拠となります。
基本原則②トレンドには3種類ある
ダウは上昇トレンド/下降トレンドについて、明確な定義付けをしました。これは現代にも受け継がれている基礎的な考え方です。
トレンドの定義としては、高値および安値(方向性を持った推移の中の山と谷)に注目します。連続する高値および安値が、それより前の高値・安値より上に位置する(切り上げる)限り、上昇トレンドであると考えます。その反対に、連続する高値および安値が、それより前の高値・安値より下に位置する(切り下げる)限り、下降トレンドであると考えます。
また、そのトレンドの推移について、以下の長期・中期・短期という3種類に分類しました。
長期トレンド (プライマリーサイクル) |
上昇または下降の明確な方向性を表す。通常、1年~数年間継続する |
---|---|
中期トレンド (セカンダリーサイクル) |
長期トレンドと逆行する調整局面を表す。通常、3週間~3か月継続する |
短期トレンド (マイナーサイクル) |
中期トレンドの短期的な調整局面を表す。通常、数時間~3週間継続する |
基本原則③長期トレンドは3段階からなる
長期トレンドは、3段階で構成されると考えます。
第1段階では、先行型の投資家による買いが主で、株価は動意づくもののあまり動きません。続く第2段階では、株価上昇や景気改善が見られ、多数の投資家が追随して買い始めます。そして第3段階では、報道での扱いが大きくなり、出来高も増え、一般投資家や初心者の参入も増えていきます。この段階が、最初に買い始めた先行型の投資家が利益確定するところで、いわばトレンドの最終段階です。
基本原則④平均は相互に確認されなければならない
ダウ理論は初期段階において、工業株価平均と鉄道株価平均で構成されていました。
当時、両者はばらばらな動き方を示すものと認識されており、それらが同じ方向性を示さない限り、本格的な上昇トレンド/下降トレンドとはいえないと考えたのです。これを応用して、現代では複数の市場(あるいは銘柄)で相関性を確認する必要があるとされています。
基本原則⑤トレンドは出来高でも確認されなければならない
ダウはシグナルを判断するための重要な要素として、出来高をあげています。
長期トレンドが上昇であれば、出来高は価格の上昇に伴って増加し、調整局面では減少します。もし価格が上昇していても、出来高の上昇を伴わない場合は、トレンド転換の可能性が示唆されます。
基本原則⑥トレンドは転換の明白なシグナルが出るまで継続する
一度、上昇または下降トレンドが開始すると、その動きは継続する性質があります。今日ではトレンドフォローの売買戦略が王道とされていますが、その優位性の拠り所となるのがこの原則です。そして、明白な転換シグナルが発生するまでトレンドは継続し、高値および安値の切り上げ/切り下げというトレンドの定義が崩れたときが転換シグナルになると考えます。
なお、その転換シグナルについては、調整局面を表す中期トレンドと区別が難しい側面があるため、注意が必要です。
ダウ理論の分析に使えるインジケーター
ダウ理論で相場を分析するには、高値と安値を見つけることが重要です。しかし相場にはいくつも高値と安値があります。ある程度相場経験を積まなければ精度の高い分析をすることは難しいでしょう。ここでは高値と安値を視覚的に表示させるインジケーターを2つ紹介します。
OANDA_Auto_fibonacci
「OANDA_Auto_fibonacci」はOANDAが開発したオリジナルインジケーターです。MT4/MT5専用のインジケーターであり、「ZigZag」の波に対してフィボナッチリトレースメントを表示します。
OANDA_Auto_fibonacciの表示例

「OANDA_Auto_fibonacci」のインストールや設定方法はこちら
ZigZag(ジグザグ)
ZigZagを表示させることで、高値と安値を視覚的に判断できます。経験が少ない初心者の方でも瞬時に見つけられるでしょう。ZigZagはMT4やMT5にデフォルトで導入されています。外部からインストールを行う必要はありません。
図3/ZigZagを表示させたチャート

ZigZagの設定方法
MT4・MT5・Tradingviewといった各取引プラットフォームで、ZigZagを設定する方法について紹介します。
MT4への設定方法
MT4でZigZagの設定方法を紹介します。MT4を起動し、「挿入」→「インディケータ」→「カスタム」→「ZigZag」を選択
図4/ZigZagの設定方法(MT4)

MT5への設定方法
MT5でZigZagの設定方法を紹介します。Mt5を起動し、「挿入」→「インディケータ」→「カスタム」→「ZigZag」を選択
図5/ZigZagの設定方法(MT5)

Tradingviewへの設定方法
TradingviewでZigZagの設定方法を紹介します。Tradingviewを起動し、「インジケーター」を選択→検索窓に「ZigZag」と入力し選択
図6/Tradingviewへの設定方法

ダウ理論に関する本
OANDAではパンローリング社とタイアップし、取引に役立つ様々な本を提供しています。数ある良書の中から、ダウ理論を学ぶのにおすすめの本を紹介します。
DVD ダウ理論で読み取る FXシンプルチャート分析
今回紹介する本は、ダウ理論をもとに価格の方向性を分析するやり方について学べます。「相場分析が複雑すぎてなかなか成績が上がらない」「情報が多すぎて何を信用してよいのかわからない」というお悩みをお持ちの方におすすめです。
図8/DVD ダウ理論で読み取る FXシンプルチャート分析
DVD ダウ理論で読み取る FXシンプルチャート分析の購入はこちら
またOANDAで口座をお持ちの方であれば、本をプレゼントするキャンペーンも行っています。これを機会に、ぜひ口座開設をご検討ください。
平野朋之氏監修 ダウ理論を使ったトレードアイデア
ネット証券で、FX業務全般、自己売買部門のディーラー、投資情報室の情報発信、セミナー講師などの業務に携わる「平野朋之氏監修」の、ダウ理論を使ったトレードアイデアの記事一覧です。
ダウ理論と他のテクニカル指標を組み合わせたトレードアイデアについて詳しく解説しているので、ぜひご参考ください。
- ダウ理論とフラッグやペナントを組み合わせた順張りトレードアイデア
- ダウ理論とレクタングルやウェッジなどを組み合わせた順張りトレードアイデア
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OANDA Lab編集部
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