農産物商品の基礎

大豆の価格変動要因とは?生産動向と天候、需要、為替要因などを解説


米国の生産動向


大豆は、世界的に生産国が限られていることや、米国、欧州、アジアを中心におう盛な需要があるため、生産動向や天候、そして需要動向により、価格が大きく変動することがあります。中でも米国の生産動向や天候は重要です。

春の作付け期(5月~6月)には、農家の作付け動向が注目されます。最初に注目されるのは、3月末に米農務省(USDA)から発表される大豆の作付意向面積です。春には大豆に先立ち作付けられるトウモロコシの作付け動向も注目され、トウモロコシの作付けが遅れると、作付け期の遅い大豆への作付け転換が起きる可能性もあります。

夏(7月~8月)には、産地の降雨状況と気温の変化が特に重要です。少雨・高温の天候が開花・着ザヤ期に続くと、大きな被害が出て相場急騰となる場合もあります。逆にこの時期に適度の降雨が続き、気温も極端な高温とならなければ豊作気運が一気に高まり、価格が急落することもあります。

収穫期(10月~11月)には産地の降雨状況が注目され、長雨で収穫が遅れると相場の支持要因となることもあります。

大豆クロップカレンダー・上

※大豆図表_大豆クロップカレンダー・上


天候要因


天候要因では、エルニーニョ現象やラニーニャ現象などの地球規模の異常気象が、穀物や大豆の生産諸国に影響することがあります。エルニーニョ現象発生時には、南米諸国は降雨に恵まれて豊作となることが多いです。一方、米国産地とエルニーニョの関係は明確ではありませんが、エルニーニョが終った年に米国で干ばつとなった例もあります。


エルニーニョ現象


ペルー沖の東太平洋の赤道沿いの海域で、海面水温が広範囲にわたり平年より高くなる現象です。これにより、水蒸気の量が増えて大気の流れが変わり、世界的な異常気象をもたらす原因になるとされています。


ラニーニャ現象


ペルー沖の東太平洋の赤道沿いの海域で、海面水温が広範囲にわたり平年より低くなる現象です。エルニーニョとは逆の現象で、反エルニーニョとも呼びます。


米国大豆の需要


需給相場期(10月頃から翌年3月頃まで)には、需要(消費)の動向が相場の動きに大きな影響を及ぼします。米国大豆の需要は輸出と圧搾に大別されていますが、輸出については週ごとに輸出検証高や輸出成約高が発表され、圧搾については月ごとに圧搾高が発表されており、それらの増減が相場に反映されます。


為替要因


他の国際商品と同様に、日本国内から見ると円高は輸入価格低下の影響をもたらし、国内の大豆価格の下落要因となります。逆に円安は、国内の大豆価格の上昇要因となります。

これを輸出国である米国側から見ると、ドル高は輸入国側の価格の上昇につながり、シカゴ大豆にとっては弱気の要因となります。ドル安は輸入国側の価格の下落となり、シカゴ大豆にとっては、強気の要因となります。


競合する他の飼料や油糧種子の生産動向


大豆は、飼料としての大豆ミールと食用油の原料としての大豆油に加工され、消費されるのが大半です。このため、飼料となるトウモロコシ、大麦、ライ麦などの穀物の生産動向によっては大豆ミールの需要が影響を受けます。また他の油糧種子である菜種(なたね)、綿実(めんじつ)、ひまわり、亜麻仁(あまに)、落花生、パーム、ココナッツ椰子などの生産や相場の動向次第では、大豆油の需要が影響を受けることもあります。


南米大豆の生産動向


ブラジルとアルゼンチンでは、10~12月に作付けられ、その後1~2月に重要な生育期を迎え、3~5月に収穫されます。ブラジルとアルゼンチンの大豆は輸出市場で米国の大豆と競合することから、南米諸国の大豆の生産動向は、冬から春にかけてのシカゴ相場に影響することが多いです。

大豆クロップカレンダー・下

※大豆図表_大豆クロップカレンダー・下


本記事の監修者・佐藤りゅうじ


1968年生まれ。1993年米大卒業後、1995年2月株式会社ゼネックス入社。アナリストとしてマクロ経済分析をはじめ、原油、天然ゴム、小麦などの商品市場、また為替市場、株式市場のアナリストリポートの執筆、トレードに携わる。2010年1月エイチスクエア株式会社を設立。

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