FXに関するコラム・豆知識

米国長期金利上昇が一服、リスクオンは継続 OANDAラボ-マーケット最新情報(2021年4月12日)


引き続き市場はリスクオンの状態を維持


先週は前週末に発表された強い米国雇用統計の結果を受けて米国長期金利が序盤こそ上昇したものの、その後は下落に転じたこともあり、米ドルが軟調な推移となりました。株式市場は引き続き底堅く、主要な株価指数が高値を更新するなどリスクオンの状態が続きました。

【ドルインデックス、S&P500、米国10年債利回りの動き】

【残存期限別の米国債利回りの推移】

出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY

【3Dグラフで見た米国債イールドカーブの推移】

出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY

 

【ドル円と米国10年債利回り-日本10年債利回りの比較】


今週は引き続き米国長期金利のほか、各種経済指標にも注目


今週は引き続き米国長期金利の動向に注目が集まるほか、米国では消費者物価指数、小売売上高、鉱工業生産等の重要経済指標の発表が予定されています。

消費者物価指数は原油価格の上昇などの影響もあり、上昇が予想されていますが、市場予想を下回る結果となると、米国債利回り低下、米ドルの上値圧迫材料となりそうです。

小売売上高、鉱工業生産等は冴えない結果となった前回からの反動がどの程度になるかに注目が集まります。期待通り底堅い結果となると、市場のリスク許容度を押し上げる材料となりそうです。

このほか、欧州ではユーロ圏の小売売上高や鉱工業生産、ドイツのZEW景況指数等の発表が予定されており、ユーロ圏経済の回復状況を探る上で注目が集まるほか、中国ではGDP等の経済指標の発表が予定されています。底堅い結果が続くようであれば、株式市場や豪ドル等の下支え材料となりそうです。

主要な経済指標・中央銀行のイベントの予定はこちら

過去の経済指標の推移はこちら


主要通貨の強弱


先週のFX市場はこれまで強い推移が続いていたポンド、米ドルが軟調な推移となりました。これに対し、スイスフラン、ユーロ、円といった低金利、経常収支黒字組の通貨の強さが目立つ週となりました。

【先週の主要8通貨の通貨別の騰落率】

最新の通貨別強弱(騰落率)グラフはこちら

直近30日間の主要通貨の通貨の強弱チャートを見ると、ポンドが大きく下落しているほか、米ドルの上昇にも一服感が出てきているのが確認できます。これに対し、円やスイスフラン、ユーロが直近では上昇傾向にあるのが確認できます。

【直近30日間の主要8通貨の通貨の強弱チャート】

最新の主要通貨の強弱チャートはこちら


直近30日間の株価指数の変化率


米国市場

FRBの強力な金融緩和、新型コロナ対策の追加の経済政策、インフラ整備政策への期待感等を背景に、底堅い推移が続く中、先週は米国債利回りが低下したこともあり、堅調地合いを維持しています。

最新の主要の株価指数の変化率はここでチェック

欧州市場

欧州の株価指数も堅調地合いを維持しています。伸び悩んでいた英国株もしっかりと高値を切り上げる動きとなりました。

最新の主要の株価指数の変化率はここでチェック

アジア・オセアニア市場

先週のアジア・オセアニアの株価指数は欧米の株価指数に比べると上値が重いですが、概ね底堅い動きを維持しています。

 

主要銘柄の相関性分析


先週の主要なドルストレートの銘柄の相関性を見ると、円、ユーロ、スイスフランが対ドルで相関性の高い動きをしていたのに対し、ポンドは逆の動きとなっているほか、他の通貨との相関性は比較的低い動きとなりました。

【先週の主要ドルストレート通貨ペアの相関性】

ドル円、クロス円の銘柄の相関性は、対ドルで円、ユーロ、スイスフランの相関性が高かったこともあり、ドル円とユーロ円は相関性なし、ドル円とスイスフラン円は逆相関の関係となりましたが、それ以外のクロス円とドル円の相関性は前週に続き、高い状態が続いています。

【先週のドル円、クロス円の相関性】

先週はポンドの弱さが目立っており、ポンドを含む通貨ペアの相関性を見ると、いずれも相関性が高い状態となっており、主要通貨がポンドに対して、似たような動きとなっていたのが確認できます。

【先週のポンドを含む通貨ペアの相関性】

先週の主要通貨と米国株価指数(ここでは代表的なUS500との相関性を表示しています)の相関性を見ると、株式市場の上昇に対して、ドルストレートの通貨ペアは対円、対ユーロは株式市場上昇に対してドル売り、対ポンドではドル買い、対豪ドルでは相関無しと全体を通すとドルの強さと株式市場の相関はバラバラな状態となりました。 また、クロス円との関係でも、ユーロ円との相関性が薄いほか、相関性の高い動きとなることの多いポンド円や豪ドル円と逆相関の関係となっており、株式市場と為替相場の相関性が普段と少し異なる動きとなっているのが確認できます。

【先週の主要銘柄と米国株価指数の相関性】

最新の相関性のチェックはこちら


OANDA、通貨先物市場(FX)のポジション、主要銘柄の値動き


FX

米ドル/円(USD/JPY)

先週のドル円は上値の重い推移となり、一時109.00付近まで下落する動きとなりました。週末には110.00付近まで押し戻す動きとなったものの、依然として109円台での推移が続いています。

OANDAのオープンポジションを見ると長らく続いた上昇基調で構築された含み損を抱えた売りポジションが依然として残ってはいるものの、直近の下押しにより苦しくなった買いポジションも増えており、反発した水準では安堵のやれやれ売り、安値を切り下げる動きとなると、損切りの売りが増え、下落を後押しすることが想定され、上値の重い状況が続く可能性を見出すことができそうです。

大きな流れでは依然として上昇基調と考えられそうですが、下押しの際は直近の安値水準を守れるか、反発の際は直近の高値を突破できるか等に注目しながら、流れが変わる可能性にも少し警戒が必要かもしれません。

【USD/JPYの4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

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先週火曜日時点の投機筋の円の通貨先物ポジションは売買双方増加となりましたが、円買いポジションの増加数の方が少し大きく、ネットすると円売りポジションが少し減少となりました。依然として円売りポジションの方が優勢な状況が続いていますが、今後もこの流れが続くかを見守りたいところです。

【投機筋の通貨先物市場の円のポジションの推移(最終更新日2021/4/6)】

シカゴIMM通貨先物ポジションのチェックはこちら

ユーロ/米ドル(EUR/USD)

先週のユーロドルは底堅い推移が続き、1.19台まで反発する動きとなりました。

OANDAのオープンポジションを見ると、反発地合いが続いたことにより、苦しくなった売りポジションが増えており、高値を切り上げる動きとなると、これらの売りポジションの損切りの買いが増え、また、下押した水準ではこれらのポジションの利益確定の買い戻しが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。

今週もしっかりと高値を切り上げることができるか、下押しの際は安値を結んだラインや直近のサポート水準を守れるか等に注目しながら、上昇基調が続くかを見守りたいところです。

【EUR/USDの4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

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先週火曜日時点の投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションは買いポジションが減少、売りポジションが増加し、ネットすると、前週に続き、買いポジション比率が低下となりました。

依然として、ユーロ買いのポジションが優勢な状況ではありますが、買い比率の低下が続いており、この傾向が続くかに注目したいです。

【投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションの推移(最終更新日2021/4/6)】

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ポンド/米ドル(GBP/USD)

先週のポンドドルは序盤こそ底堅い動きとなったものの、後半は失速し、直近のサポート水準の1.367付近まで下押しする動きとなりました。

OANDAのオープンポジションを見ると、売買ポジション比率の偏りは少ないものの、下押しにより、含み損を抱えた買いポジションが増えており、反発した水準では安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると、損切りの売りが増え、下落を後押しすることが想定され、上値の重い推移が続く可能性を見出すことができそうです。

まずは先週、また3月下旬にもサポートとなった1.367付近を守れるか、反発の際は直近の高値水準を突破できるか等に注目しながら、下落基調継続の可能性を探っていきたいところです。

【GBP/USDの4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

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先週火曜日時点における投機筋のポンドの通貨先物市場のポジションは買いポジションが減少、売りポジションが増加となり、ネットすると買いポジション比率が減少となりました。

依然として買いポジションが優勢な状況が続いてはいますが、減少傾向が続いており、この傾向が続くかを見守りたいところです。

【投機筋の通貨先物市場のポンドのポジションの推移(最終更新日2021/4/6)】

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豪ドル/米ドル(AUD/USD)

先週の豪ドルは0.76台で上下動を続け、方向感の鈍い動きが続きました。

OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りは少ない中、直近のレンジ内の低い水準で週末を迎えたこともあり、含み損を抱えた買いポジションがやや多い状況となっていますが、方向感の鈍い推移が続いていることもあり、レンジを上下いずれかに抜けだすような動きとなると、苦しくなったポジションの損切りを絡めて方向感が出てくる可能性を見出すことができそうです。

まずは直近の0.76-0.7675付近のレンジを上下いずれに抜けだすか等に注目しながら、根気強く方向感を探っていきたいところです。

【AUD/USDの4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

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先週火曜日時点の投機筋の通貨先物市場における豪ドルの売買のポジションの買いポジションが減少、売りポジションが増加となり、ネットすると、買いポジションが減少となりました。依然として偏りが少ない状況が続いており、売買いずれに傾くかを見守りたいところです。

【投機筋の通貨先物市場の豪ドルのポジションの推移(最終更新日2021/4/6)】

投機筋の通貨先物ポジションのチェックはこちら

CFD

米国S&P株価指数500(US500)

先週のUS500は底堅い推移が続き、4100台に乗せる動きとなりました。

OANDAのオープンポジションを見ると、売りポジションが63%台まで傾く中、上昇により、その多くが含み損を抱える状況となっており、下押しした水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことはできそうです。

下押しの際は安値を結んだトレンドラインや直近の安値水準を守れるか、上値を探る動きとなった場合は、しっかりと高値を切り上げることができるか等に注目しながら、今週も上昇基調が続くかを見守りたいところです。

【US500の4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

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S&Pの先物市場における投機筋のポジションを見ると、前週に続き、売買の偏りの少ない状況が続いています。今後、ポジションの偏りが出てくのかを見守りたいところです。

【投機筋の先物市場のS&P500 consolidatedのポジションの推移(最終更新日2021/4/6)】

投機筋の株価指数先物市場のポジションのチェックはこちら

 
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