FXに関するコラム・豆知識

米国の金融緩和縮小は時期尚早? 米国FOMCに注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2021年6月14日)


米国消費者物価指数は市場予想上回るも・・・


先週は、注目を集めた米国消費者物価指数が前年比+5%(コアは+3.8%)と市場予想を上回る強い結果となったことを受けて、発表直後はドル買いが強まる展開となりましたが、中古車やエネルギー関連などの上昇の影響が大きかったということもあり、市場では、物価上昇は一時的なものであり、前週の雇用統計の結果を併せて、FRBの緩和縮小はまだまだ先と判断したようで、ドル買いは続かず、米国債利回りは低下、株式市場は底堅い推移となりました。

【ドルインデックス、S&P500、米国10年債利回りの動き】

上からドルインデックスは緩やかな反発、S&P500は上昇傾向、米国10年債利回りは低下傾向

 

参考データ

【米国の消費者物価指数(前年比)の推移】

その他、過去の経済指標の推移はこちら

 

【残存期限別の米国債利回りの推移】

直近では長期国債の利回りが低下傾向

出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY

米国債、日本国債利回りの推移はこちら

 

【3Dグラフで見た米国債イールドカーブの推移】

直近では長期国債の利回りが低下傾向

出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY

米国債、日本国債のイールドカーブの推移はこちら

 

米国FOMC、日銀金融政策決定会合等に注目


今週は日米で金融政策を決定する会合が予定されています。

特に米国のFOMCに注目が集まりそうです。今回の会合では、大きな金融政策の変更の可能性は低いと考えられますが、緩和縮小に関する手がかり、直近の物価上昇に対する評価、金融政策の微調整に注目が集まります。

今回の会合では、声明文、パウエルFRB議長の記者会見に加え、4半期に一度のFOMCメンバーの経済予測(Summary of Economic Projections)の発表も予定されています。

声明文の文言の変化やパウエルFRB議長の記者会見に注目が集まりますが、それに加え、経済予測の中の政策金利やPCEデフレーターの見通しに注目が集まります。

経済予測では政策金利の見通しが全体的に上方シフトしているか、PCEデフレータは最近の物価上昇を一時的なものと考えているか(2021年の数値と2022年の数値の変化)等で今後の金融政策を占うことができそうです。

【前回(3月)のFOMCメンバーの政策金利見通し(ドットチャート)】

FRBウェブサイトの「Summary of Economic Projections」から引用

【前回(3月)のFOMCメンバーのPCEデフレーターの予測】

FRBウェブサイトの「Summary of Economic Projections」から引用

一方で日銀の金融政策決定会合は今回の会合では金融政策の変更の可能性は低いと予想されますが、政策の微調整や黒田総裁の記者会見の内容等に過敏に反応する可能性も考えられるため、発表前後の市場の動向には一応注意が必要となりそうです。

このほか、経済指標は米国の小売売上高や鉱工業生産等の重要経済指標、本邦の消費者物価指数、英国の消費者物価指数、雇用統計、小売売上高等に注目が集まりそうです。

主要な経済指標・中央銀行のイベントの予定はこちら

過去の経済指標の推移はこちら


主要通貨の強弱


先週のFX市場は米国の消費者物価指数後にドル買いが進んだこともあり、米ドルが強い推移となったほか、スイスフラン、円も比較的強い推移となりました。

これに対し、NZドル、カナダドル、豪ドル、ユーロなどが弱い動きとなりました。

【先週の主要8通貨の通貨別の騰落率】

最新の通貨別強弱(騰落率)グラフはこちら

直近30日間の主要通貨の通貨の強弱チャートを見ると、スイスフラン、ポンド、米ドルが比較的強いのに対し、豪ドル、NZドルが弱い動きとなっています。また、弱い推移が続いていた円は徐々に強い動きに転じています。

【直近30日間の主要8通貨の通貨の強弱チャート】

最新の主要通貨の強弱チャートはこちら


直近30日間の株価指数の変化率


米国市場

先週の米国の株価指数CFDはUS500やUS100は底堅い推移となったのに対し、US30やUS2000は伸び悩む推移となりましたが、依然として高値圏での推移が続いています。

最新の主要の株価指数の変化率はここでチェック

欧州市場

欧州の株価指数CFDは序盤は伸び悩む推移となりましたが、週末にかけてはいずれも底堅い推移となりました。

最新の主要の株価指数の変化率はここでチェック

アジア・オセアニア市場

先週のアジア・オセアニアの株価指数CFDは概ね横ばい推移となりましたが、中国、香港の株価指数が少し弱い推移となりました。

 

主要銘柄の相関性分析


ドルストレートの通貨ペアの相関性は前週に比べると低いものの、多少の相関性を見出すことはできそうです。

【先週の主要ドルストレート通貨ペアの相関性】

先週のドル円とクロス円の相関性は薄いのに対し、クロス円同士はポンド円、スイスフラン円以外のクロス円同士に多少の相関性を見出すことができます。

【先週のドル円、クロス円の相関性】

先週の主要通貨と米国株価指数(ここでは代表的なUS500との相関性を表示しています)の相関性を見ると、株価指数はドルストレート、クロス円のいずれとも相関性を見出すことはできませんでした。

【先週の主要銘柄と米国株価指数の相関性】

最新の相関性のチェックはこちら


OANDA、先物市場のポジション、主要銘柄の値動き


FX

米ドル/円(USD/JPY)

先週のドル円は109円台で小動きとなりました。注目された米国消費者物価指数発表直後は上昇したものの、長続きせずに反落する動きとなった後、週末にかけては上値を探る動きが強まるなど、方向感の鈍い推移が続いています。

OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジションの比率が比較的高い中、109円台での推移が続いているため、109円台中盤で構築されたポジションが売買双方で多い状況です。このため、109円台を上下にしっかりと抜けてくると苦しくなったポジションの損切りが増え、方向感が出てくる可能性を見出すことができそうです。

また、今週は注目度の高いイベント(FOMC)を控えていることもあり、様子見ムードが強まった後、結果を受けて不安定な推移となる可能性があるため、声明文・経済見通しの発表時、パウエルFRB議長の会見中の動きには注意が必要となりそうです。

【USD/JPYの4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

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先週火曜日時点の投機筋の円の通貨先物ポジションは、買いと売りの双方が減少し、ネットすると円売りポジションの比率が前週に続き減少となりました。依然として円売りポジションが優勢な状態が続いてはいますが、このところ減少が続いているため、流れが変わる可能性も視野に入れながら、見守っていきたいところです。

【投機筋の通貨先物市場の円のポジションの推移(最終更新日2021/6/8)】

シカゴIMM通貨先物ポジションのチェックはこちら

ユーロ/米ドル(EUR/USD)

先週のユーロドルは方向感が鈍い推移が続いていましたが、週末にかけては下押しが強まり、一時は1.21を割り込む水準まで下押しする動きとなりました。

OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りはほとんどありませんが、下落基調が続いたことにより、含み損を抱えた買いポジションが比較的多く、上昇した水準では安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると損切りの売りが増え、上値が重い推移が続く可能性に注意が必要となりそうです。

4時間足チャートを見ると、高値を切り上げることができず、直近の安値を切り下げるような動きとなっており、下落基調が続く可能性を見出すことができそうです。反発に転じる場面では高値を結んだラインや直近の高値を切り上げることができるか、下値を探る場面では直近の安値を守れるか等に注目しながら、下落基調継続の可能性を探っていきたいです。

【EUR/USDの4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

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先週火曜日時点の投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションは、売買双方のポジションが減少となり、ネットすると買いポジション比率が少し減少となりました。

このところ、ユーロ買いのポジションの増加傾向が続いていましたが、前週は増加にブレーキがかかっており、今週も縮小が続くかを見守りたいところです。

【投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションの推移(最終更新日2021/6/8)】

シカゴIMM通貨先物ポジションのチェックはこちら

ポンド/米ドル(GBP/USD)

先週のポンドドルは序盤は引き続き1.408-1.42付近のレンジで横ばい推移が続き方向感を見出すことはできませんでした。

OANDAのオープンポジションを見ると、レンジ内で構築されたポジションが多い中、直近ではレンジの下限に近い水準で推移していることもあり、含み損を抱えた買いポジションが増えており、レンジをしっかりと下抜けると損切りの売りが増え、下落が勢いづく可能性に注意が必要となりそうです。

これに対し、レンジ下限で踏ん張り、反発に転じ、1.42を上抜ける動きとなると、レンジ内で構築された売りポジションが絞り出されるという可能性にも注意が必要となりそうです。

いずれにせよ、1.408-1.42付近のレンジを上下いずれにしっかりと抜け出すかに注目したいです。

【GBP/USDの4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

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先週火曜日時点における投機筋のポンドの通貨先物市場のポジションは売買の双方が減少となりましたが、ネットすると買いポジション比率が少し増加となりました。

依然として買いポジションが優勢な状況が続いてはいますが、伸び悩む状態が続いており、今後の傾きの変化に注目したいです。

【投機筋の通貨先物市場のポンドのポジションの推移(最終更新日2021/6/8)】

シカゴIMM通貨先物ポジションのチェックはこちら

豪ドル/米ドル(AUD/USD)

先週の豪ドルは序盤は方向感の鈍い推移が続いていましたが、週末にかけては下押しが強まり、一時0.77を割り込む水準まで下押しする動きとなりました。

OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジション比率が少し多い中、週末の下押しにより、含み損を抱えた買いポジションが増えており、反発した水準では安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると損切りの売りが増え、上値の重い推移が続く可能性を見出すことができそうです。

4時間足チャートを見ると、横ばい推移が続いていますが、直近のレジスタンス水準の0.7750や0.78を突破できるか、直近のサポートの0.764付近を守れるか等に注目しながら、大きな方向感を探っていきたいところです。

【AUD/USDの4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

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先週火曜日時点の投機筋の通貨先物市場における豪ドルのポジションは売りポジションが増加、買いポジションが減少となり、ネットすると前週に続き売りポジションが少し増加となりました。

依然として売買の偏りは少ない状態ですが、売りポジションの増加傾向が続いており、今週も売りが増加し、偏りが増えるかを見守りたいです。

【投機筋の通貨先物市場の豪ドルのポジションの推移(最終更新日2021/6/8)】

投機筋の通貨先物ポジションのチェックはこちら

CFD

米国S&P株価指数500(US500)

先週のUS500は前半は方向感の鈍い推移が続きましたが、終盤にかけては高値を切り上げる動きとなりました。

OANDAのオープンポジションを見ると、高値圏での推移が続いていることもあり、含み損を抱えた売りポジションが多く、下押した水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。

4時間足チャートを見ると、上昇基調が続いていますが、今週もしっかりと高値を切り上げることができるか、下押しの際は直近のサポート水準や安値を結んだラインを守れるか等に注目しながら、方向感を探っていきたいです。

【US500の4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

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S&P500の先物市場における投機筋のポジションを見ると、売買が双方が減少となりましたが、ネットすると、前週に続き買いポジションが増加となりました。このところ、買いポジションの上昇傾向が続いており、今後も続くかを見守りたいです。

【投機筋の先物市場のS&P500 consolidatedのポジションの推移(最終更新日2021/6/8)】

投機筋の株価指数先物市場のポジションのチェックはこちら

 
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