雇用統計を受け米国株上昇、米ドル下落 今週はFOMC議事録等に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2021年7月5日)
米雇用統計は良好も利上げを急ぐほどでも・・・
週末に発表された米国雇用統計は失業率が市場予想に反し、上昇となったものの、非農業部門雇用者数が85万人増加と市場予想を上回る好結果となりました。この結果に対する市場の評価は、「米経済の回復基調は続いているものの、FEDが利上げを急ぐような内容ではない」といったところで、米国株式市場は上昇、米国長期債利回りは低下となりました。
FX市場では前哨戦となるADP雇用統計が比較的強い結果であったため、雇用統計本番に向けて米ドル買いが進んでいましたが、雇用統計本番の発表後は巻き戻しの動きが強まり、米ドルが売られる展開となりました。
【米国の非農業部門雇用者数の推移】
【米国の失業率の推移】
【ドルインデックス、S&P500、米国債利回り(10年、2年)、金の推移】
上からドルインデックス、S&P500、米国10年債利回り、米国2年債利回り、金の推移
【残存期限別の米国債利回りの推移】
長期債利回りを中心に緩やかな低下傾向。雇用統計後も低下。
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
【直近5週間の金曜日の米国債イールドカーブの比較】
短期国債利回りは前週に続き、比較的高い水準で推移しているものの、長期国債利回りが前週よりも低下。
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
米国FOMC議事録、株式市場の動向等に注目
今週はあまり大きな材料は予定されていませんが、米国ではメンバーの利上げ予想が前倒しされた前回(6月)のFOMCの議事録の公開やISM非製造業景況指数の発表等が予定されています。
FOMC議事録では、金融緩和の縮小(テーパリング)に関する議論の有無、内容に注目が集まりそうです。早期の緩和縮小が意識されるような内容となると米ドルの下支え材料となるほか、米国株式市場の下押し材料の一つとなり得るため、注意が必要です。
欧州では、ドイツのZEW景況指数や英国の鉱工業生産等の経済指標の発表が予定されています。市場への影響は限定的と考えられますが、市場予想との乖離が大きいと過敏に反応する可能性も考えられるため、発表前後は少し注意が必要となりそうです。
このほか、オーストラリアではRBA理事会が予定されています。政策金利の変更の可能性は低いと考えられますが、声明文等で今後の金融政策の手がかり、豪ドルの水準等に関しての言及があると豪ドルが過敏に反応する可能性が考えられそうです。
また、先週も米国株は堅調な推移を続けており、史上最高値を更新する株価指数が増えています。今週も堅調地合いが続くのか、調整売りが増えるのかに注目しながら、相場全体のリスク許容度を探っていきたいです。
主要通貨の強弱
先週のFX市場は新型コロナのデルタ型の感染拡大等で少し強まったリスク回避の米ドル買い、米国ADP雇用統計の結果を受けた米ドル買いにより米ドルの強さが目立ちましたが、週末に発表された米国雇用統計後は一変し、米ドル売りが強まりました。
週間を通しては、米ドルが終盤までのリードをなんとか維持する結果となりました。
円は前半に強い推移となりましたが、後半は失速したものの、前半の上昇分を維持し、週間を通しては米ドルに次いで強い動きとなりました。
【先週の主要8通貨の通貨別の騰落率】
直近30日間の主要通貨の通貨の強弱チャートを見ると、強い推移となっていた米ドル、円が失速したのに対し、軟調な推移が続いた資源国通貨が買い戻される動きとなり、強弱が収縮するような状態が続いています。
【直近30日間の主要8通貨の通貨の強弱チャート】
直近30日間の株価指数の変化率
米国市場
米国の株価指数CFDは概ね底堅く、史上最高値を更新する銘柄が増えていますが、US2000は伸び悩む推移となりました。
欧州市場
欧州の株価指数CFDは前半は上値の重い推移となりましたが、後半は反発に転じ、下落分を取り戻すような動きとなりました。
アジア・オセアニア市場
先週のアジア・オセアニアの株価指数CFDは概ね横ばいの推移ですが、CHINA50やHK50は上値の重い推移となっています。
主要銘柄の相関性分析
先週のドルストレートの通貨ペアは強弱の差はありますが対米ドルで相関性が高い動きとなり、米ドル中心の相場であったのが確認できます。
【先週の主要ドルストレート通貨ペアの相関性】
先週はクロス円同士の相関性は多少強かったものの、米ドル中心の相場となったこともあり、ドル円とクロス円の相関性は低い動きとなりました。
【先週のドル円、クロス円の相関性】
先週の主要通貨と米国株価指数(ここでは代表的なUS500との相関性を表示しています)の相関性を見ると、US500とドルストレートの通貨ペアは、最近の傾向とは逆のドル円と相関、他のドルストレートと逆相関の関係となったほか、US500とクロス円の銘柄とは相関関を見出しにくい動きと少し違和感のある動きとなっています。
【先週の主要銘柄と米国株価指数の相関性】
OANDA、先物市場のポジション、主要銘柄の値動き
FX
米ドル/円(USD/JPY)
先週のドル円はADP雇用統計後に底堅い推移が続いたものの、雇用統計本番の結果を受けて下落に転じる動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りは少ない中、直近の下押しにより含み損を抱えた買いポジションが目立つ状況です。
このため、反発した水準では安堵の利益確定売り、安値を切り下げる場面では損切りの売りが増え、上値の重い推移となる可能性に注意が必要となりそうです。
4時間足チャートでは緩やかな上昇基調が続いており、下押しの際は安値を結んだラインや直近のサポート水準を守れるか、高値を探る場面では高値を切り上げることができるか等に注目しながら、上昇基調継続の可能性を探っていきたいです。
【USD/JPYの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋の円の通貨先物市場のポジションは円売りポジションの増加傾向が続いています。この傾向が今週も続くかを見守りたいところです。
【投機筋の通貨先物市場の円のポジションの推移(最終更新日2021/6/29)】
ユーロ/米ドル(EUR/USD)
先週のユーロドルは下落基調が続きましたが、週末の米国雇用統計の結果を受けて、少し反発しています。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りは少ない中、下落基調が続いたことにより、含み損を抱えた買いポジションが多い状況が続いており、反発した水準では安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると損切りの売りが増え、上値の重い状態が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、下落基調が続いていますが、高値を結んだラインや直近の高値水準を突破できるか、下押しの際は直近の安値を切り下げることができるか等に注目しながら、下落基調継続の可能性を探っていきたいです。
【EUR/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋のユーロの通貨先物市場のポジションはユーロ買い比率の増加が続いていましたが、直近ではユーロ買いのポジション比率が減少しており、先週も少し減少となりました。
この買いポジションの減少傾向が続くかをユーロの価格の推移と併せて見守りたいところです。
【投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションの推移(最終更新日2021/6/29)】
ポンド/米ドル(GBP/USD)
先週のポンドドルは下落基調が続きましたが、週末には米国雇用統計の結果を受けて少し反発する動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買のポジションの偏りは少ない中、下落基調が続いたことにより含み損を抱えた買いポジションが多い状況でしたが、直近の反発により、含み損を抱えた売りポジションも少し増えています。
このため、高値を探る場面では買いポジションの利益確定の売りが増える可能性が考えられるのに対し、売りポジションの損切りの買いが増える可能性も考えられ流れが変わる可能性にも少し注意が必要となりそうです。
また、日足チャートのRSIがダイバージェンス気味で下落の勢いが少し和らいでいる点からも流れが変わる可能性に注意が必要かもしれません。
4時間足チャートで見ると、下落基調が続いていますが、直近の反発で高値を結んだラインを少し上抜ける動きとなっており、直近の高値水準を突破できるか、下押しに転じた際は直近のサポート水準を守れるか等に注目しながら方向感を探っていきたいところです。
【GBP/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋のポンドの通貨先物市場のポジションは買いポジション比率が高い状態が続いていますが、直近では買いポジションの比率が減少しており、今後の変化に注目したいです。
【投機筋の通貨先物市場のポンドのポジションの推移(最終更新日2021/6/29)】
豪ドル/米ドル(AUD/USD)
先週の豪ドルは下落基調が続き、直近のサポート水準となる0.7475付近の水準を割り込む動きとなった後に米国雇用統計の結果を受けて反発する動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買の傾きは少ない中、反発地合いにより含み損を抱えた売りポジションが少し増えており、下押しした水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると損切りの買いが増え、底堅い状態が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、依然として下落基調が続いていますが、高値を探る動きとなる場面では、高値を結んだラインや直近の高値水準を超えることができるか、下押しの際は直近のサポート水準を守れるか等に注目しながら、方向感を探っていきたいです。
【AUD/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋の豪ドルの通貨先物市場のポジションは、偏りの少ない状況が続いていますが、売りポジションへの傾きが少し増えています。今後の変化に注目したいです。
【投機筋の通貨先物市場の豪ドルのポジションの推移(最終更新日2021/6/29)】
CFD
米国S&P株価指数500(US500)
先週のUS500は上昇基調が続いた後、米国雇用統計の結果を受けてさらに高値を切り上げる動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売りポジションに大きく傾く中、高値圏での推移が続いており、そのほとんどが含み損を抱えている状況です。
このため、下押した水準では、これらのポジションの安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、これらのポジションの損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、上昇が続いており、買いに過熱感も出てきており、調整売りにも少し警戒が必要となりそうですが、下押しの際は安値を結んだラインや直近の安値水準を守れるか、高値を探る場面では高値を切り上げることができるか等に注目しながら、上昇基調継続の可能性を探っていきたいです。
【US500の4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋のS&P500先物のオープンポジションを見ると、先週からほとんど変化はありませんが、買いポジション比率が少し多い状況が続いています。この傾向が続くかを見守りたいところです。
【投機筋の先物市場のS&P500 consolidatedのポジションの推移(最終更新日2021/6/29)】
本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。