スイスフランショックとは|発生した背景や為替への影響などをわかりやすく解説
スイスフランショックとは、2015年にスイス国立銀行がユーロ/スイスフラン=1.20の最低為替レート政策(防衛ライン)を突然撤廃し、スイスフランが急騰した出来事です。
為替市場は大混乱となり、投資家やFX会社が大きな損失を被りました。
本記事では、スイスフランショックの意味、特徴、よくある質問などを解説します。
目次
- 1.スイスフランショックとは
- 2.スイスフランショックの為替レートへの影響
- 3.スイスフランショックによる損失
- 4.スイスフランショックに関するQ&A
- 5.【まとめ】スイスフランショックとは|発生した背景や為替への影響などをわかりやすく解説
スイスフランショックとは
スイスフランショックの意味や背景を解説します。
- ・スイスフランショックとは何か
- ・スイスフランショックの背景
スイスフランショックとは何か
スイスフランショックとは、2015年1月15日に発生したスイスフランの暴騰を指します。
約1.20の水準を推移していたユーロ/スイスフランは短時間のうちに0.86付近まで下落しており、スイスフランの上昇率はおよそ30%に達しました。
スイスフランショックの背景
スイスフランショック発生の背景として、欧州債務危機が挙げられます。
2008年のリーマンショック発生後、経済危機はユーロ圏にも波及しました。
欧州の金融機関は米国に多額の投資をしており、米国でのショックは欧州の金融業界を直撃しました。
また、ギリシャで国家財政の統計の改ざんが明らかとなってギリシャの国債格付けが大幅に引き下げられ、ギリシャ財政危機が発生しています。
ギリシャだけでなくイタリアやスペインなどでも国家債務問題が浮上し、通貨ユーロの維持可能性にも疑問が投げかけられる事態に発展しました。
これを受けて、市場参加者は自身の資産の保全を図るため、ユーロを売ってスイスフランを集中的に買う動きが強まったとされています。
スイスフランへの資金の流入は大幅なスイスフラン高をもたらしたため、スイス国立銀行(スイスの中央銀行)はユーロ/スイスフラン=1.20の防衛ラインを設定しました。
2011年のこの決定により、スイス国立銀行は最低為替レートを維持するため、無制限にスイスフランを売る(外貨を買い入れる)こととしています。
しかし、市場のスイスフラン買い圧力は収まらず、2015年1月15日に至って、スイス国立銀行は金融政策の方針転換を発表しました。
従来、スイス国立銀行は強い表現でユーロ/スイスフラン=1.20の防衛ラインの維持を公表し続けてきました。
突然の政策変更で市場は大混乱に陥り、スイスフランショックと呼ばれる事態が発生しました。
スイスフランショックの為替レートへの影響
ユーロ/スイスフランの動きを例にして、スイスフランショックの影響を紹介します。

出典:TradingView
スイスフランショックの発生直前、ユーロ/スイスフランは1.20をわずかに上回る水準で推移していました。
金融政策の転換がスイス国立銀行によって公表されると、為替レートは急落(スイスフランは急騰)しています。
上の日足チャートではユーロ/スイスフランの急落時の為替レートは0.97付近ですが、一般的には0.86前後まで下落したと言われます。
ショック発生時には外国為替市場の流動性が急低下し、多くの金融機関やFX会社でレート提示が不安定になったり、スプレッドが急拡大したり、希望する価格で約定しにくい状態が発生しました。
スイスフランショックによる損失
スイスフランショックで生じた損失について、投資家とFX会社の両面から紹介します。
- ・投資家の損失
- ・FX会社の損失
投資家の損失
スイスフランショックによって、投資家は短時間で大きな損失を被りました。
日本での状況について、金融先物取引業協会がデータを公開しています。
| マイナス残高に転落した件数(赤残の件数) | 未収金残高(FX会社が顧客から回収すべき金額) | |
|---|---|---|
| 個人 | 1,137 | 19億4,800万円 |
| 法人 | 92 | 14億4,000万円 |
| 合計 | 1,229 | 33億8,800万円 |
上の表は、口座残高がマイナスに転落した顧客の件数と、未収金(FX会社が顧客から回収すべき金額)の金額を示しています。
マイナス残高は34億円近くに達しており、顧客にはFX会社に対する未収金、つまり追加で支払いが必要となり得る金額が発生しました。
なお、上の表の金額はマイナス残高の額であり、口座残高がゼロになるまでの損失額は含まれていません。
顧客の実際の損失額は、表の数字よりも大きいと考えられます。
また、上の金額は日本だけの数字であり、スイスフランが主に取引されていた欧州でも投資家やブローカーに大きな損失が発生しました。
FXでの損失に関して、事前にストップロス注文(損切り注文)を発注することにより、為替レートの急変時に損失を限定する効果が期待できます。しかし、スイスフランショックでは流動性の急低下やスプレッドの急拡大、レート提示の不安定化などにより、ロスカットが想定した価格で執行されないケースがありました。
FX会社の損失
スイスフランショックにより、顧客だけでなくFX会社にも損失が発生しました。
顧客の損失が口座残高を超えた場合、FX会社には顧客から回収すべき未収金が発生します。
この未収金がFX会社自身の財務にも影響し、経営破綻したFX会社もありました。
スイスフランショックに関するQ&A
スイスフランショックに関するよくある質問は、主に以下の通りです。
- ・スイスフランショックはいつ発生しましたか?
- ・スイスフランショックで為替レートはどれくらい動きましたか?
- ・スイスフランはなぜ安全資産とされるのですか?
スイスフランショックはいつ発生しましたか?
スイスフランショックの発生日は、2015年1月15日(木)です。
日本時間の午後6時30分ごろ、スイス国立銀行が金融政策の変更を発表し、金融市場が大混乱に陥りました。
スイスフランショックで為替レートはどれくらい動きましたか?
スイスフランは30%ほど急騰したと言われています。
スイスフランショック発生直前のユーロ/スイスフランは、およそ1.20でした。
スイスフランショック発生により、一時的に0.86付近まで急落(スイスフランが上昇)したとされています。
スイスフランはなぜ安全資産とされるのですか?
スイスは他国に比べて政治・経済・金融システムが比較的安定している国と見られやすく、スイスが発行する通貨であるスイスフランは安全資産だとみなされています。
相対的に財政が健全と見られやすく、対外収支の強さ、政治的な安定性、金融システムへの信頼などが評価される傾向があります。
【まとめ】スイスフランショックとは|発生した背景や為替への影響などをわかりやすく解説
スイスフランショック とは、2015年にスイス国立銀行が金融政策を突然転換し、スイスフランが対ユーロで急騰した金融市場の混乱を指します。
スイスフランは短時間で急騰し、FX市場では巨額損失が相次ぎました。
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