貴金属の基礎

PGM(白金族)とは?プラチナ・パラジウムの歴史や特徴とその用途


PGMとは?


ゴールドシルバーに続いて今回からはPGMに関して書きます。「貴金属」という括りはゴールド、シルバーそしてこのPGMから成り立ちます。PGMとはPlatinum Group Metalsのアクロニム(頭字語)で、日本語では「白金族」と呼ばれる文字通りプラチナの仲間のメタルのことです。

PGMには、プラチナ、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウムの6種類のメタルがあります。これにゴールドとシルバーを加えると貴金属は8種類あることになります。

この中で先物取引所に上場されており、スポットマーケットでも取引されているのは、ゴールド、シルバー、プラチナとパラジウムのみで、それ以外の4メタルは基本的に生産者(鉱山会社)と需要家(自動車会社をはじめとする工業需要家がメイン)とのマーケットを通さない直接取引がその基本となっています。そのためここでは主にプラチナとパラジウムに関して書きたいと思います。

参考記事:金(ゴールド)とは?基礎知識や価値、歴史などを詳しく解説

参考記事:銀(シルバー)とは?基礎知識や価値、歴史などを詳しく解説


プラチナ・パラジウムの歴史


プラチナが人類の歴史に登場するのはゴールドやシルバーと比べると比較的最近になります。

紀元前1200年代の古代エジプトでファラオの装身具から発見されたりしますが、ゴールドと比べると圧倒的に少なく、その存在は知られていたようですが、おそらく融点があまりに高いため精錬加工が困難であり、ゴールドほどは全く人類との本格的な付き合いは18世紀半ば以降にスペイン人がコロンビアで発見した金属をプラチナと呼んだことまで待たなければなりません。

パラジウムはより新しく1803年にイギリスの化学者がロジウムと一緒に発見した元素です。


プラチナの特徴とその用途


触媒としての高い活性から自動車の排気ガスの浄化触媒としての利用がプラチナ及びパラジウム、そしてロジウムというPGMの最も大きな用途です。またゴールドと同じく、塩酸と硝酸の混合液である王水以外には溶けず、つまり自然界に存在するどんなものにも反応しないので、酸化せず化学的に非常に安定しているのが大きな特色でもあります。

そのため耐久性も高く、苛酷な環境でも安定した性能が発揮できるので、自動車の点火プラグ、電極、るつぼなどにも使われています。

そしてもちろん、宝飾品としてのプラチナの地位は皆さんよくご存じのところだと思います。

我々日本人は昔からきんきらきんのゴールドよりもシルバーそしてプラチナといったいわゆる白物の方に魅力を感じる人種であるようです。昔から金選好が強かった中国の人々も経済が発展するほど白物の方に魅力を感じるようになり、プラチナの宝飾品需要も日本を抜いて今では世界一となっています。

プラチナは比重がプラチナのイメージとしてゴールドよりも高価なものというのが未だに一般的だと思いますが、プラチナとゴールドの関係が逆転してもはや7年がたち、現在プラチナの価値はゴールドの半分です。クレジットカードのプラチナカードのステイタスがゴールドカードよりも高いのはそろそろ改めなければいけないでしょう。

しかしプラチナの生産量はゴールドの約20分の1であり、希少価値、そしてその実用的な工業利用価値を考えると圧倒的にプラチナの価格がゴールドよりも高くあるべきだと言えます。それにも関わらず、7年間という長い間、ゴールドの方がプラチナよりも遥かに価格が高くなり、その流れはまだまだ簡単には変わりそうにありません。

なぜそうなったのか?その詳しい事情は今後解説していきたいと思います。パラジウムの用途のほぼ8割が自動車の排ガス触媒です。そのためにパラジウムは貴金属4メタルの中でも最も高価なものとなっています。その動きの背景も今後解説していきましょう。

(プラチナ、パラジウムとゴールドの価格の動き)

プラチナ、パラジウムとゴールドの価格の動き

Provided by
池水 雄一(Bruce Ikemizu)

1986年上智大学外国語学部英語学科卒業後、住友商事株式会社。
1990年クレディ・スイス銀行、1992年三井物産株式会社で貴金属チームを率いる。
2006年スタンダードバンクに移籍、2009年同東京支店支店長就任。
2019年9月日本貴金属マーケット協会代表理事。

>池水 雄一氏監修の「金(ゴールド)や銀(シルバー)などの貴金属」に関する記事一覧はこちら

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