貴金属の基礎

公開日:2022年3月1日 10時54分
最終更新日:2023年7月24日 21時51分

銀(シルバー)とは?基礎知識や価値、歴史などを詳しく解説


シルバーとは


ゴールドに続いて、シルバーです。最初に書いてしまうとそのマーケットの仕組みはほぼゴールドと同じです。

「貴金属」の括りに入るゴールド、シルバーそしてPGM(白金族)はさすがに同じ括りだけあって、その仕組みはほぼ同じだと言っていいでしょう。

とはいうものの各貴金属の違いは当然大きくあります。このシリーズではシルバーについて詳しく解説します。


シルバーの特徴



シルバーの歴史


シルバーと人間との付き合いもゴールドに負けず劣らず古いもので、紀元前3000年には人間の生活に登場していたと言われます。

ただ古代では、シルバーの方がゴールドよりも希少価値が高いものだったと考えらえています。

それはゴールドが「自然金(Nugget)」の形で出てくるくのに対して、シルバーはあまりシルバーの形では自然には出てこず、その本格的な採取は精錬技術の発達を待たなければならず、長い間希少価値としてはシルバーの方が高かったからです。

ただ人類が精錬技術を開発してからは、その絶対的な資源量、そして物質的特性から現在のようなゴールドとシルバーとの価値関係となったものと思われます。

特に17世紀以降は新大陸で大量なシルバーが発見され、また銅鉱石からのシルバー抽出、それを可能にした新しい精錬技術の発展により、シルバーの生産量は飛躍的に伸び、ゴールドに対するシルバーの価値は大きく下がりました。

近代ではゴールドの120分の1から30分の1、過去50年の平均は約60分の1という、過去の長い歴史的な観点からもシルバーは最も割安なレベルにあると言えます。

この価格の関係に関しては後ほど、需給や市場の項で触れたいと思います。ゴールドと並んで貴金属であるシルバーは、古くから決済手段として使われ、特に17世紀以降大量のシルバーの供給が可能となると、世界でも主要な貿易通貨として利用されました。

近代に入り国家が自らの通貨を発行すると次第にシルバーやゴールドの貴金属を通貨として使用するのは現実的ではなくなり、「法定通貨」としての役割は終わり、現在では工業用の需要が50%を占めています。

残りの25%はコインや地金と言った投資用需要、19%が宝飾品、残りの4%は銀食器です。


シルバーの物質的特徴


その物質的な特徴としては、電気伝導率、熱伝導率、そして可視光線の反射率が金属中最大。そして延展性はゴールドに次いで2番目であり、1gのシルバーを2200mに伸ばせます。(ちなみに最も伸びるゴールドは3000m)

 

こういった性質を利用してシルバーはいろいろな工業用材料に使われており、貴金属のなかではけた違いに安価です。その需要の約半分は工業用の材料としての需要です。ゴールドはそれが10%にも満たないことを考えると、シルバーは工業用のメタルだと言えるでしょう。

数十年前まではシルバーはその光に対する反応を利用して感光材としての用途が最大のものでした。感光材とは要するに写真の「フィルム」のことです。銀塩フィルムという言葉があるように、写真のフィルムはシルバーを利用したものでした。

そしてデジタルカメラの登場が、このシルバーの需要に大きな変革をもたらしました。デジタルカメラは瞬く間に銀塩フィルムに置き換わり、現在ではカメラそのものがスマホに吸収されつつあります。

デジタルカメラ以前は、世界でのシルバーユーザーの最大手はコダックや富士フィルムと言ったフィルムメーカーでした。このデジタルカメラにより、シルバーの需要は激減し、その価格が大きく下がるという見方もありましたが、まさに捨てる神あれば拾う神ありです。

現在ではシルバーの需要の最大分野は太陽光発電のソーラーパネルです。これもまた光に対するシルバーの特性を生かした、そして現在の世界にあった利用法だと言えるでしょう。

このあたりの詳しい話は、次回からの「シルバーの需要と供給」で解説しましょう。

Provided by
池水 雄一(Bruce Ikemizu)

1986年上智大学外国語学部英語学科卒業後、住友商事株式会社。
1990年クレディ・スイス銀行、1992年三井物産株式会社で貴金属チームを率いる。
2006年スタンダードバンクに移籍、2009年同東京支店支店長就任。
2019年9月日本貴金属マーケット協会代表理事。

>池水 雄一氏監修の「金(ゴールド)や銀(シルバー)などの貴金属」に関する記事一覧はこちら

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