FX資金管理のやり方②適切なポジションサイズの設定
第2回目では資金管理を考える上で、リスクリワード比率に続き重要なポジションサイズについてご案内いたします。FX取引をギャンブルとして行い、ワクワク、ドキドキを楽しみたいのであれば、考える必要はありませんが、投資として考えるのであれば、ポジションサイズの調整は資金管理において外せない項目の一つです。
1回のトレードにおけるリスク
資金管理で重要なのは、リスクのコントロールです。今回は1回のトレードにおけるリスクについて考えます。
1回のトレードリスクの計算方法
1回のトレードにおけるリスクの計算方法は、以下の通りです。
- 保有したポジションの大きさ×損切り水準
例えばドル円の場合、10万通貨を保有しているときに損切り注文がエントリーの水準から60Pips離れている場合、6万円のリスクをとっているといえます。ポジションサイズを減らして5万通貨とすると、同じ60Pipsの損切り水準でのリスクは3万円です。当然のことながらポジションサイズを小さくすると、損失を抑えられます。
一方で損切り注文の水準を狭くすることで損失を抑えることも可能です。上の例でいえば、10万通貨の場合、損切り注文をエントリーの水準から30Pipsの離れた水準に設置すれば、リスクを3万円に抑えられます。
コントロールしやすいのはポジションサイズ
前述の通りポジションサイズの調整と損切り水準の調整の2つで、1回のトレードにおけるリスクをコントロールできますが、どちらの方がコントロールしやすいでしょうか?
売買戦略にもよりますが、損切り水準は基本的にチャート分析を行い、この水準より不利な方向に動いた場合に流れが変わるという水準に置かれる場合が多いと思います。このためこの水準を狭くしてしまうと、まだ完全に思惑が崩れていないにも関わらず損切りをしてしまう可能性が出てくるので、あまりいい方法とは言えません。
これに対しポジション量の調整は計算が多少面倒ではありますが、テクニカル分析で導き出された水準がそのまま使え売買戦略を崩すことなく、資金管理を行えるというメリットがあります。
画像1/ポジションサイズで調整する例
画像2/損切り注文の水準で調整する例
1回のトレードのリスクは2%程度まで
ポジションサイズの調整でリスクをコントロールする前提として、1回のトレードにおける損失額を考える必要があります。FXをはじめとする投資を行う上で安定した収益を狙うためには、1回のトレードによる損失額を、多少の連敗をしても口座資産に大きな影響を与えない程度の金額に設定するというのが、セオリーです。
投資の世界で有名なルールとして、2%ルールというものがあります。これは、投資における1回のリスクを2%以内に抑えるというものです。口座資産に変動があった場合は再計算を行い、一定割合のリスクを保つようにします。
つまり口座資産が減少した場合は1回あたりのトレードリスク金額も減らし、連敗によるショックを少しでも軽減するというものです。このルールをしっかりと守っていれば、たとえ失敗し連敗が続いたとしても、資産の多くを残せるため再出発が容易といえます。
次のグラフは10連敗したときの口座資産の変化を描画したものですが、2%の場合は10連敗したとしても口座資産の8割を残せ連敗にも強いルールと確認できます。
画像3/連敗時の口座資産変化
具体的なポジションサイズの計算方法
1回のトレードのリスク金額が決定したら、次は具体的なポジションサイズを計算します。ポジションサイズの計算において、損切り注文は必須です。損切り注文までの距離とトレードのリスク金額の2つで計算を行います。ドル円、クロス円の場合とその他の通貨ペアの場合で計算方法が異なりますので、分けてご案内いたします。
米ドル/円やクロス円の場合
ドル円、クロス円は決済通貨(右側の通貨)が円なので、計算はシンプルです。1回あたりのトレードのリスク金額を損切りまでの価格で割ります。損切りまでの距離が60pipsの場合はドル円やクロス円の場合は60pipsが0.6円となるため、リスク金額を0.6で割ると、保有できるポジションサイズを計算できます。
画像4/ドル円、クロス円のポジションサイズ計算例
この計算式で出した端数を切り捨てるなどして、この計算で算出されたポジション量をトレードすれば、1回のトレードの損失を2%で抑えられ、短期間で資産を大きく減らしてしまうリスクが軽減できます。
ユーロ/米ドル等の場合
ユーロドル等の場合は決済通貨(右側の通貨)が円ではないため、決済通貨における1回のトレードのリスク金額を算出するという手間が加わります。ユーロドルの場合は決済通貨がドルのため、ドルで1回のトレードリスクを計算します。
計算を単純にするために、1ドル=100円の場合を例に考えてみましょう。1回のトレードのリスクが2万円の場合、ドルに直すと20000÷100で1回のトレードリスク金額は200ドルとなります。
この200ドルを損切りまでの価格幅で割ります。ユーロドルの場合1pipが0.0001となるため、60pipsの場合は0.0060です。よって200÷0.0060で33,333ユーロまで保有できるという計算になります。
画像5/ユーロドル等のポジションサイズ計算例
少し面倒ですが、Excelなどで計算ができるツールを作ると比較的手間を軽減できます。またOANDAで使用できるプラットフォームの中には、このポジションサイズを自動で計算する便利なツールもあるので、これらを活用してもいいかもしれません。
東京サーバMT4用注文発注ツール「Mini Terminal」
東京サーバのMT4用注文発注ツール「Oanda MiniTerminal」の新規注文パネルを使うと、損切り注文の水準を指定した後に、損失想定額を具体的な金額や口座残高に対する一定割合等で指定すると、損失がその範囲内に収まるポジション量を自動で計算し注文を発注する機能があります。
この機能を使うと、リスク許容額、損切り注文の水準を指定するだけでポジションサイズの計算を省略して注文を発注できます。資金管理を行いたいけれども計算が苦手という方は是非ご活用ください。
画像6/東京サーバMT4用注文発注ツール「Mini Terminal」
Tradingviewの注文発注ツール
Tradingviewの注文画面でも、損切り注文の水準を指定した上で、具体的な金額や口座残高に対する一定の割合でリスク許容額を指定すると、最大保有ポジション数を自動計算してくれるツールがあります。
この機能を使うと、MT4用の「Oanda MiniTerminal」同様にポジションサイズの計算を素早く行え効率的に資金管理を行えます。
画像7/Tradingviewの注文発注ツール
まとめ
口座資産に対する割合で1回のトレードの想定リスク(損失)額を計算し、テクニカル分析で損切り注文の計算をしたら、これらを元に最大保有ポジションサイズを算出します。
算出方法はドル円、クロス円のように決済通貨が円の場合はリスク額を価格幅で割ると、最大ポジションサイズの計算が可能です。ユーロドルのように決済通貨が外貨の場合は、リスク額を決済通貨建てに計算した上でリスク額を価格幅で割ると計算できます。
この方法であれば口座資産に応じたリスク管理を行え、負けが続いても急激に口座資産が減少するリスクを軽減できます。
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OANDA Lab編集部
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