米国雇用統計の結果を受け、米ドル下落、株式市場は底堅い推移|今週は米国消費者物価指数、小売売上等に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2021年5月10日)
米国雇用統計が市場予想を大きく下回り、米ドル下落、株式市場は上昇
先週前半は米国債利回りの下落が一段落し、米ドルが買い戻される動きとなりましたが、週末に発表された米国雇用統計が市場予想を大きく下回る結果となったことを受けて米ドルが下落する動きとなりました。
これに対し、株式市場は緩和長期化の可能性が意識され、底堅い推移となりました。
【ドルインデックス、S&P500、米国10年債利回りの動き】
【残存期限別の米国債利回りの推移】
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
【3Dグラフで見た米国債イールドカーブの推移】
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
ドル円のチャートと米国10年債利回りと日本10年債利回りの差を表示したチャートを比較すると、利回り差縮小の一段落に合わせて反発しているのが確認できます。
【ドル円と米国10年債利回り-日本10年債利回りの比較】
参考データ
【米国の失業率の推移】
【米国の非農業部門雇用者数変化の推移】
【米国の労働参加率の推移】
【米国の平均時給変化率の推移】
今週は米国の消費者物価指数、小売売上に注目
今週は米国で消費者物価指数、小売売上高、鉱工業生産等の重要経済指標の発表が予定されています。
前回、前年比+2.6%まで上昇した消費者物価指数の今回の市場予想の中心値が前年比+3.6%と高めです。パウエル議長は消費者物価指数の上昇は一時的なものとしていますが、それでも、強い結果となると、米国の金融緩和縮小が意識され、米ドルの下支え材料、株式市場では上値圧迫材料となりそうです。
【米国の消費者物価指数の推移】
前月から上昇が見込まれる小売売上高や鉱工業生産も底堅い結果となると、米ドルの下支え材料となりそうです。
【米国の小売売上高の推移】
【米国の鉱工業生産の推移】
主要通貨の強弱
先週のFX市場は雇用統計後に米ドルが大きく売られたこともあり、米ドルが全面安となったほか、円、ユーロが比較的弱い推移となったのに対し、豪ドル、NZドル、スイスフランが強い推移となりました。
【先週の主要8通貨の通貨別の騰落率】
直近30日間の主要通貨の通貨の強弱チャートを見ると、米ドル、円の弱さが目立つのに対し、NZドル、カナダドル、豪ドル等の資源国通貨が強い状態が続いています。
【直近30日間の主要8通貨の通貨の強弱チャート】
直近30日間の株価指数の変化率
米国市場
先週の米国株式市場は前半は上値の重い推移となりましたが、終盤にかけては雇用統計の結果にも後押しされ、底堅い推移となりました。
欧州市場
欧州の株価指数も前半に下値を探る動きとなったものの終盤にかけては反発に転じています。
アジア・オセアニア市場
先週のアジア・オセアニアの株価指数は比較的底堅い銘柄が多い中、中国の株価指数は上値の重い推移となりました。
主要銘柄の相関性分析
先週の主要なドルストレートの銘柄の相関性を見ると、多少の強弱はあるものの、対米ドルで主要通貨は相関性の高い動きとなっていたのが確認できます。
【先週の主要ドルストレート通貨ペアの相関性】
先週はドル円とクロス円は相関ではなく、逆相関の関係となりました。クロス円同士はポンド円を除いては比較的近い動きとなりました。
【先週のドル円、クロス円の相関性】
先週の主要通貨と米国株価指数(ここでは代表的なUS500との相関性を表示しています)の相関性を見ると、株価指数と米ドルが逆相関の関係となったほか、株価指数とポンド円以外のクロス円の相関性が高い動きとなっていたのが確認できます。
【先週の主要銘柄と米国株価指数の相関性】
OANDA、先物市場のポジション、主要銘柄の値動き
FX
米ドル/円(USD/JPY)
先週のドル円は序盤は底堅く109円台後半まで上昇した後、伸び悩む動きとなり、その後は米国雇用統計の結果を受けて108円台中盤まで下落する動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジション比率が高い中、下押しにより含み損を抱えた買いポジションが増えており、反発した水準では安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると、損切りの売りが増え、上値の重い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
このため、反発の際は高値を結んだラインや直近の高値水準を突破できるか、下押しの際は直近のサポート水準を守れるか等に注目しながら、下落基調が続くかを見守りたいところです。
【USD/JPYの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点の投機筋の円の通貨先物ポジションは、前週に続き、買いポジションが増加、円売りポジションの減少となり、ネットすると円売りポジションが減少となりました。このところ、円売りポジションの減少が続いており、今週も円売りの減少傾向が続くかを見守りたいところです。
【投機筋の通貨先物市場の円のポジションの推移(最終更新日2021/5/4)】
ユーロ/米ドル(EUR/USD)
先週のユーロドルは前半は上値の重い推移となりましたが、1.2を割り込んだ水準では下げ渋る動きとなった後、米国雇用統計の結果を受けて上昇が勢いづく動きとなりました。。
OANDAのオープンポジションを見ると、依然として売りポジションの比率が高い中、週末の上昇により含み損を抱えた売りポジションが増えており、下押した水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、直近では高値を切り上げる動きとなっており、今週も底堅い推移が続くかを見守りたいところです。下押しの際は安値を結んだラインや直近の安値水準を守れるか等に注目しながら、上昇基調が続くかを見守りたいところです。
【EUR/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点の投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションは、前週に続き、買いポジション、売りポジションが共に増加となり、ネットすると買いポジション比率が微増となりました。
ユーロ買いポジションがジリジリと増加しており、今後も増加傾向が続くかを見守りたいです。
【投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションの推移(最終更新日2021/5/4)】
ポンド/米ドル(GBP/USD)
先週のポンドドルは反発に転じた後、もみ合う動きが続きましたが、週末の雇用統計の結果を受けて上昇する動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買ポジション比率の偏りは少ない中、直近の上昇により、含み損を抱えた売りポジションが増えており、下押した水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
ただし、スコットランドの議会選挙の結果を受けて、不安定な週明けとなりそうです。まずは下押しがどの程度となるか、反発する動きとなった場合はどの程度の反発となるかに注目しながら、方向感を探っていきたいところです。
【GBP/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点における投機筋のポンドの通貨先物市場のポジションは買いポジションが減少、売りポジションが少し増加となり、ネットすると買いポジション比率が減少となりました。
依然として買いポジションが優勢な状況が続いてはいますが、伸び悩む状態が続いており、今後の変化を見守りたいところです。
【投機筋の通貨先物市場のポンドのポジションの推移(最終更新日2021/5/4)】
豪ドル/米ドル(AUD/USD)
先週の豪ドルは上値の重さが残りましたが、週末の米国雇用統計の結果を受けて高値を切り上げる動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見るとポジションの偏りが売りに少し傾く中、直近の上昇により、含み損を抱えた売りポジションが増えており、下押した水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、しばらく上値を抑えていた0.782付近を上抜ける動きとなっており、上昇基調が強まるかを見守りたいところです。
【AUD/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点の投機筋の通貨先物市場における豪ドルのポジションは売買双方が減少となりましたが、ネットすると買いポジション比率が上昇となりました。今のところ、売買の偏りはほとんどない状態が続いていますが、買いポジション比率が優勢な状況に転じており、今後も買いポジション比率が増えるかに注目したいです。
【投機筋の通貨先物市場の豪ドルのポジションの推移(最終更新日2021/5/4)】
CFD
米国S&P株価指数500(US500)
先週のUS500は序盤は下値を探る動きとなったものの、その後は底堅い推移となり、週末には高値を切り上げる動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売りポジションの比率が高い中、底堅い推移が続いたため、含み損を抱えた売りポジションが増えており、下押した水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
高値を切り上げる上昇基調が続いており、今週も安値を結んだラインや直近のサポート水準を守れるか、上値を探る動きとなったときは、再度高値を切り上げることができるか等に注目しながら、上昇基調が続くかを見守りたいところです。
【US500の4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
S&Pの先物市場における投機筋のポジションを見ると、買いポジションの比率がやや多い状態が続いていますが、、依然として、売買の偏りの少ない状況です。今後、ポジションの偏りが出てくるのかを見守りたいところです。
【投機筋の先物市場のS&P500 consolidatedのポジションの推移(最終更新日2021/5/4)】
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