米国は2023年末までに2回の利上げの可能性 今週はパウエルFRB議長の議会証言等に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2021年6月21日)
米国は2023年末までに2回の利上げを示唆
先週は米国のFOMCで政策金利が市場予想通り据え置きとなりましたが、併せて公表されたFOMC参加者による経済見通し(Summary of Economic Projections)において利上げ開始時期が前回よりも早い時期を予想した参加者が増えたことを受けて、米ドルが上昇、株式市場は下落となりました。
そのほか、米国債市場は短期金利は上昇、長期金利は下落、金市場は軟調な推移となりました。
【ドルインデックス、S&P500、米国債利回り(10年、2年)、金の推移】
上からドルインデックス、S&P500、米国10年債利回り、米国2年債利回り、金の推移
【FOMCメンバーの金利予測の前回からの変化】
大きな変化があったのは2023年度末の部分(赤枠で囲った部分)です。前回(2021年3月)時点では18人中11人が2023年末時点では利上げ無しと予測していたのに対し、今回は2023年末時点で利上げ無しと予測したのは5人だけでした。これに対し、利上げを予測したのは13人、このうち11人が2回以上(1回の利上げを0.25%と仮定)の利上げを予想しています。
FRBのウェブサイト内の「Summary of Economic Projections」より引用
参考資料
【FOMCメンバーのPCEデフレータ(全体・コア)の前回からの変化】
直近の物価上昇を受けて前回から2021年末が大きく変化しているほか、2022年末も多少変化していますが2023年末、長期的見通しは大きな変化はありませんでした。
全体
コア
FRBのウェブサイト内の「Summary of Economic Projections」より引用
【残存期限別の米国債利回りの推移】
直近では短期国債の利回りが上昇傾向なのに対し、長期国債の利回りが低下傾向
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
【6カ月前からの1カ月毎の米国債イールドカーブの比較】
FOMCの影響を受け直近では、2年~3年債の利回りが上昇したのに対し、長期債利回りは低下傾向となっています。
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
パウエルFRB議長の議会証言、BOE金融政策委員会、米国PCEデフレータ等に注目
今週は米国でパウエルFRB議長の議会証言が予定されており、テーパリングの開始時期、利上げ開始時期に関する手がかりに注目が集まります。
先週のFOMCの内容から大きく変わる可能性はそれほど高くないと考えられますが、前週強まった利上げ期待を和らげるために当面の緩和継続を強調するような内容となると、前週の動きの巻き戻しが強まる可能性も考えられそうです。
英国では、イングランド銀行(BOE)の金融政策委員会が予定されています。米国に続き、金融政策の正常化へ向けた動きが出てくるかに注目が集まります。
このほか、経済指標は米国のPCEデフレータや耐久財受注等、欧州のPMI速報値、ドイツIfo景況指数等に注目が集まりそうです。
主要通貨の強弱
先週のFX市場はFOMCの結果を受けて米ドルが全面高、次いで円、ユーロが比較的強い推移となりました。これに対し、豪ドル、NZドル、スイスフランなどが軟調な推移となりました。
【先週の主要8通貨の通貨別の騰落率】
直近30日間の主要通貨の通貨の強弱チャートを見ると、米ドル、円の強さが目立っています。
【直近30日間の主要8通貨の通貨の強弱チャート】
直近30日間の株価指数の変化率
米国市場
先週の米国株価指数CFDはUS100は踏ん張ったものの、その他の銘柄はFOMCの結果を受けて概ね下落に転じる動きとなりました。
欧州市場
欧州の株価指数CFDも米国のFOMC後に下押しが強まりました。
アジア・オセアニア市場
先週のアジア・オセアニアの株価指数CFDも概ね上値の重い推移となりました。
主要銘柄の相関性分析
先週のドルストレートの通貨ペアはFOMC後に米ドルが全面高となったこともあり、相関性の高い動きとなりました。ドル円は円が米ドルに次いで強い通貨であったため、他の銘柄に比べると相関性が低くなっています。
【先週の主要ドルストレート通貨ペアの相関性】
先週は米ドルが中心の動きであったため、ドル円とクロス円の相関性は低い動きとなりましたが、対米ドル以外では、円が強く、クロス円同士の相関性は高い動きとなりました。
【先週のドル円、クロス円の相関性】
先週の主要通貨と米国株価指数(ここでは代表的なUS500との相関性を表示しています)の相関性を見ると、株価指数とドル円以外のドルストレート、株価指数とクロス円のいずれも高い相関性となりました。
【先週の主要銘柄と米国株価指数の相関性】
OANDA、先物市場のポジション、主要銘柄の値動き
FX
米ドル/円(USD/JPY)
先週のドル円はジリジリと上昇した後、FOMCの結果を受けて、110円台後半まで上昇する動きとなりましたが、その後は上値が重く、FOMC後の上昇分の半分以上を吐き出すような動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジションの比率が比較的高い中、直近の下押しで含み損を抱えた買いポジションが少し増えています。
このため、反発した水準では安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると損切りの売りが増える可能性に注意が必要となりそうです。
よって、4時間足チャートを見ると、高値を切り上げる上昇基調が続いていますが、伸び悩む可能性や流れが変わる可能性にも注意が少し必要となりそうです。
【USD/JPYの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
【投機筋の通貨先物市場の円のポジションの推移(最終更新日2021/6/8)】
金曜日が米国祝日のため、6/15時点のものは2021/6/21以降に公開されます。
ユーロ/米ドル(EUR/USD)
先週のユーロドルは上値の重い動きが続いた後、FOMCの結果を受けて下落基調が勢いづく展開となりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジションに少し傾く中、下落基調が続いたことにより、買いポジションのほとんどが含み損を抱えており、上昇した水準では安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると損切りの売りが増え、上値が重い推移が続く可能性に注意が必要となりそうです。
4時間足チャートを見ると、下落が続き、日足チャートのRSIが30を割り込む水準まで売りが過熱しているため、短期的には買い戻しによる反発にも少し警戒しながら、反発に転じる場面では高値を結んだラインや直近の高値を切り上げることができるか、下値を探る場面では直近の安値を守れるか等に注目しながら、下落基調継続の可能性を探っていきたいです。
【EUR/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
【投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションの推移(最終更新日2021/6/8)】
金曜日が米国祝日のため、6/15時点のものは2021/6/21以降に公開されます。
ポンド/米ドル(GBP/USD)
先週のポンドドルは序盤に一度、1.408-1.42付近を割り込んだ後、FOMC後に下落基調が本格化する動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジションに少し傾く中、下落が続いたことにより、買いポジションの殆どが含み損を抱えている状況です。
このため、ユーロ同様に、反発した水準では安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると損切りの売りが増え、上値が重い推移が続く可能性に注意が必要となりそうです。
下押しの際は直近の安値水準を守れるか、反発の際は直近の高値を切り上げることができるか等に注目しながら、下落基調継続の可能性を探っていきたいです。
【GBP/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
【投機筋の通貨先物市場のポンドのポジションの推移(最終更新日2021/6/8)】
金曜日が米国祝日のため、レポートの更新は2021/6/21以降です。
豪ドル/米ドル(AUD/USD)
先週の豪ドルは伸び悩む動きが続いた後、FOMC後に下落基調が本格化する動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジションに傾く中、下落が続いたことにより、買いポジションの殆どが含み損を抱えており、反発した水準では安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると損切りの売りが増え、上値が重い推移が続く可能性に注意が必要となりそうです。
4時間足チャートを見ると、横ばいから下落基調に傾きつつあります。今後も下落基調が続くかを直近の高値や安値に注目しながら探っていきたいです。
【AUD/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
【投機筋の通貨先物市場の豪ドルのポジションの推移(最終更新日2021/6/8)】
金曜日が米国祝日のため、6/15時点のものは2021/6/21以降に公開されます。
CFD
米国S&P株価指数500(US500)
先週のUS500は上値の重い推移が続いた後、FOMC後に下落が勢いづく展開となりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、高値圏での推移が続いたあと、大きな下押しとなったことで含み損を抱えた買いポジションが目立っています。
このため、反発した水準では安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると、損切りの売りが増え、上値の重い推移が続く可能性に注意が必要となりそうです。
4時間足チャートを見ると、緩やかな上昇基調が続いていましたが、安値を結んだラインや直近の安値を割り込む動きが続いており、この傾向が続くかを見守りたいところです。
【US500の4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
【投機筋の先物市場のS&P500 consolidatedのポジションの推移(最終更新日2021/6/8)】
金曜日が米国祝日のため、6/15時点のものは2021/6/21以降に公開されます。
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