FXに関するコラム・豆知識

リスク回避の巻き戻し続くか? 米国雇用統計等に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2021年6月28日)


パウエル議長の議会証言により株式市場が反発


先々週はFOMCで利上げ時期の前倒しの可能性が示され、株式市場は下落、FX市場では米ドル買い、円買いが強まるリスク回避型の相場となりましたが、先週は、注目されたパウエルFRB議長の議会証言にて、現在の物価上昇に関しては従来通り一時的との見方を示されたほか、予防的な利上げに否定的な姿勢を見せたことがハト派的と受け止められたほか、他のFOMCメンバーからもハト派的なコメントが相次いだこともあり、前週のリスク回避の流れから一変し、株式市場は上昇、FX市場では米ドルや円が弱い相場となりました。

米国債市場は短期債利回りが金融政策正常化への期待感が根強く、引き続き底堅いほか、前週はリスク回避の動きで伸び悩んだ長期債利回りも緩やかに上昇しています。

【ドルインデックス、S&P500、米国債利回り(10年、2年)、金の推移】

上からドルインデックス、S&P500、米国10年債利回り、米国2年債利回り、金の推移

 

その他、過去の経済指標の推移はこちら

 

【残存期限別の米国債利回りの推移】

直近では下押しが続いていた長期国債利回りも先週は少し上昇

出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY

米国債、日本国債利回りの推移はこちら

 

【直近5週間の金曜日の米国債イールドカーブの比較】

短期国債利回りは前週に続き、比較的高い水準で推移しているほか、リスク回避色が和らいだこともあり、長期国債利回りが前週よりも上昇しています。

出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY

米国債、日本国債のイールドカーブの推移はこちら

 

米国雇用統計、ユーロ圏消費者物価指数等の経済指標のほか、コロナ変異種の感染拡大状況等に注目


今週は米国で6月の雇用統計の発表が予定されています。

マーケットの最大の注目は失業保険の上乗せが期限切れとなる10月8日に発表される9月分以降の雇用統計の結果であるため、影響は限定的となる可能性も考えられますが、米国の金融政策への注目度が高い今、直近の労働市場の状況にも市場が過敏に反応する可能性は考えられるため、前哨戦となるADP雇用統計と併せて注意が必要となりそうです。

ちなみに、雇用統計に先行する週間の新規失業保険申請件数は前月の数値に比べると、若干ですが増加しています。

【米国の新規失業保険申請件数】

コロナで減少した雇用者数の回復が順調に進むか、平均時給の上昇傾向が続いているか、失業率は低下、労働参加率は上昇しているか等、様々な角度から米国の労働市場の状況を探っていきたいところです。

【米国の非農業部門雇用者数の推移】

ユーロ圏では消費者物価指数の速報値の発表が予定されています。消費者物価指数はECBの金融政策を占う上で、重要な経済指標の一つです。

先行するドイツの消費者物価指数と合わせてユーロ圏の物価の上昇基調が続いているかに注目です。

【ユーロ圏の消費者物価指数の推移】

また、先進国のワクチン接種により、徐々に警戒感が薄れつつある新型コロナに関して、最近では変異株(デルタ型)の感染拡大が報じられています。

オーストラリアではシドニーがロックダウンとなるなど、経済への悪影響が懸念されています。感染拡大が続くようであれば、各市場でリスク回避色が強まる可能性も考えられそうです。

主要な経済指標・中央銀行のイベントの予定はこちら

過去の経済指標の推移はこちら


主要通貨の強弱


先週のFX市場はパウエルFRB議長の議会証言を受けてリスク回避の巻き戻しの動きが強まり、前週強かった米ドル、円が弱い動きとなりました。

これに対し、豪ドル、カナダドル、NZドルといった資源国通貨が強い推移となりました。

【先週の主要8通貨の通貨別の騰落率】

最新の通貨別強弱(騰落率)グラフはこちら

直近30日間の主要通貨の通貨の強弱チャートを見ると、強い推移となっていた米ドル、円が失速したのに対し、軟調な推移が続いた資源国通貨が買い戻される動きとなり、強弱が収縮するような状態となっています。

【直近30日間の主要8通貨の通貨の強弱チャート】

最新の主要通貨の強弱チャートはこちら


直近30日間の株価指数の変化率


米国市場

前週は上値の重い推移となった米国株価指数CFDはパウエルFRB議長の議会証言を受けて反発に転じ、前週の下落分を取り戻す動きとなりました。

最新の主要の株価指数の変化率はここでチェック

欧州市場

欧州の株価指数CFDも前週後半は下押しが続きましたが、パウエルFRB議長の議会証言後は下げ止まり、緩やかな反発地合いが続いています。

最新の主要の株価指数の変化率はここでチェック

アジア・オセアニア市場

先週のアジア・オセアニアの株価指数CFDもパウエルFRB議長の議会証言後、下落が一服し、緩やかな反発、または横ばい推移となりました。

 

主要銘柄の相関性分析


先週のドルストレートの通貨ペアは対人民元以外は強弱の差はありますが対ドルで相関性が高い動きとなりました。

【先週の主要ドルストレート通貨ペアの相関性】

先週は円が全面安となったため、ドル円、クロス円の通貨ペアの相関性はとても高い動きとなりました。

【先週のドル円、クロス円の相関性】

先週の主要通貨と米国株価指数(ここでは代表的なUS500との相関性を表示しています)の相関性を見ると、前週に続き、株価指数とドルストレート、株価指数とクロス円のいずれも高い相関性となりました。

【先週の主要銘柄と米国株価指数の相関性】

最新の相関性のチェックはこちら


OANDA、先物市場のポジション、主要銘柄の値動き


FX

米ドル/円(USD/JPY)

先週のドル円は序盤こそ下値を探る動きとなったものの、パウエルFRB議長の議会証言を受けて反発に転じ、一時は111円台に乗せる動きとなりました。

OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りは少ない中、高値圏で推移してこともあり、含み損を抱えた売りポジションが多い状況です。

このため、下押した水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると損切りの買いが増える可能性に注意が必要となりそうです。

4時間足チャートでは緩やかな上昇基調が続いており、下押しの際は安値を結んだラインや直近のサポート水準を守れるか、高値を探る場面では高値を切り上げることができるか等に注目しながら、上昇基調継続の可能性を探っていきたいです。

【USD/JPYの4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

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投機筋の円の通貨先物市場のポジションは円売りポジションの増加傾向が続いています。今後も円売り地合いが今週も続くかを見守りたいところです。

【投機筋の通貨先物市場の円のポジションの推移(最終更新日2021/6/22)】

シカゴIMM通貨先物ポジションのチェックはこちら

ユーロ/米ドル(EUR/USD)

先週のユーロドルは下落基調が一服し、緩やかな反発地合いが続きましたが1.198に迫る水準では伸び悩む動きとなりました。

OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りは少ない中、反発地合いが続いたことにより、含み損を抱えた売りポジションが少し増えていますが、依然として前週の下落により含み損を抱えた買いポジションも残されており、反発した水準ではこれらの買いポジションの安堵の利益確定売りが上値を圧迫し、伸び悩む動きが続く可能性を見出すことができそうです。

4時間足チャートを見ると、1.19台で揉み合う動きが続いており、均衡が上下いずれに崩れるか等に注目しながら、根気強く方向感を探っていきたいです。

【EUR/USDの4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

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投機筋のユーロの通貨先物市場のポジションはユーロ買いの増加が続いていましたが、直近ではユーロ買いのポジションが減少しています。

この買いポジションの減少が一時的なものなのか、今後も続くのかを見守りたいところです。

【投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションの推移(最終更新日2021/6/22)】

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ポンド/米ドル(GBP/USD)

先週のポンドドルは緩やかな反発地合いが続いた後、少し下押して週末を迎えています。

OANDAのオープンポジションを見ると、売買のポジションの偏りは少ない中、反発により、含み損を抱えた買いポジションは少し減りましたが依然として多くの含み損を抱えた買いポジションが残っている状態です。

このため、反発した水準では安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると損切りの売りが増え、上値が重い推移が続く可能性に注意が必要となりそうです。

下押しの際は直近の安値水準を守れるか、反発の際は直近の高値を切り上げることができるか等に注目しながら、下落基調継続の可能性を探っていきたいです。

【GBP/USDの4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

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投機筋のポンドの通貨先物市場のポジションは買いポジション比率が高い状態が続いていますが、直近では買いポジションの比率が低下しており、このまま低下傾向が続くかを見守りたいところです。

【投機筋の通貨先物市場のポンドのポジションの推移(最終更新日2021/6/22)】

シカゴIMM通貨先物ポジションのチェックはこちら

豪ドル/米ドル(AUD/USD)

先週の豪ドルは反発地合いが続き、一時0.76台に乗せる水準まで上昇となりました。

OANDAのオープンポジションを見ると、売買の傾きは少ない中、反発地合いにより含み損を抱えた売りポジションが少し増えていますが、依然として前週の下落により含み損を抱えた買いポジションが多く、反発した水準では安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると損切りの売りが増え、上値が重さが残る可能性に注意が必要となりそうです。

4時間足チャートを見ると、前週の下落の半分程度戻した水準で上値が詰まる動きとなっており、まずは下押しがどの程度になるかを見守りたいです。

下押しの際は直近のサポート水準を守れるか、高値を探る動きとなる場面では、先週の高値水準を超えることができるか等に注目しながら、方向感を探っていきたいです。

【AUD/USDの4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

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投機筋の豪ドルの通貨先物市場のポジションは、豪ドル売りポジションに少し傾く状況となっており、この増加傾向が続くかを見守りたいところです。

【投機筋の通貨先物市場の豪ドルのポジションの推移(最終更新日2021/6/22)】

投機筋の通貨先物ポジションのチェックはこちら

CFD

米国S&P株価指数500(US500)

先週のUS500はパウエルFRB議長の議会証言を受けて底堅い推移となり、高値を切り上げる動きとなりました。

OANDAのオープンポジションを見ると、売りポジションに傾く中、高値圏での推移が続いており、そのほとんどが含み損を抱えている状況です。

このため、下押した水準では、これらのポジションの安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、これらのポジションの損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。

4時間足チャートを見ると、緩やかな上昇基調が続いていましたが、安値を結んだラインや直近の安値を割り込む動きが続いており、この傾向が続くかを見守りたいところです。

【US500の4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

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投機筋のS&P500先物のオープンポジションを見ると、大きな偏りはありませんが、買いポジション比率が少し減少しています。今後、いずれに傾くかを見守りたいところです。

 

【投機筋の先物市場のS&P500 consolidatedのポジションの推移(最終更新日2021/6/22)】

投機筋の株価指数先物市場のポジションのチェックはこちら

 
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