FXに関するコラム・豆知識

強い米国経済指標、FRB副議長のコメントを受け米ドル上昇 今週は米国消費者物価指数等に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2021年8月9日)


強い米国経済指標、FRB副議長のコメントを受け米ドル上昇


先週は序盤に発表された米国のISM製造業景況指数が市場予想を下回る結果となったことなどを受けて、前半は米ドルが弱い推移となりました。

しかし、後半は木曜日に発表された米国のISM非製造業景況指数が過去最高の数値となったことやFRBのクラリダ副議長が当局は債券購入のテーパリングについて年内に発表し、2023年には利上げを開始するとの見通しを示したことが米国債利回りを押し上げ、米ドルが買いもどされました。

また、週末に発表された米国雇用統計も市場予想を上回る好結果となり、米ドル高を後押しする材料となりました。

米国株式市場は高値圏での推移が続いていましたが、後半の強い米国経済指標を好感し、底堅い推移が続き、主要な株価指数は史上最高値を更新しています。

参考データ

【米国の非農業部門雇用者数の推移】

 

【米国の失業率の推移】

 

【米国のISM景況指数の推移】

 

【ドルインデックス、S&P500(CFD)、米国債利回り(10年、2年)、原油(CFD)、金(CFD)の推移】

   

【残存期限別の米国債利回りの推移】

長期債利回りを中心に緩やかな低下傾向が続いていましたが、後半は週末にかけて反発地合いが強まりました。

出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY

米国債利回りの推移はこちら

 

【直近5週間の金曜日の米国債イールドカーブの比較】

このところ低下傾向が続いていましたが、先週末は全体的に上昇となりました。

 

【米国債イールドカーブの変化(3Dグラフ)】

出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY

米国債のイールドカーブの推移はこちら

 

米国消費者物価指数、英国GDP速報値等に注目


今週は米国で消費者物価指数の発表が予定されています。

引き続き強い結果となることが想定されますが、市場予想よりも強い結果となると、金融緩和縮小が意識され、米ドルの下支え材料、株式市場の上値圧迫材料となる可能性に注意が必要となりそうです。

英国では第2四半期のGDPの速報値の発表が予定されています。先進国の中でもワクチン接種が進む英国のGDPがどの程度回復しているかに注目が集まりそうです。

また、米国議会におけるバイデン大統領のインフラ法案の行方や新型コロナの感染拡大状況などに関する報道も市場を動かす材料となる可能性があるため、注意したいです。

参考データ

【米国の消費者物価指数の推移】

主要な経済指標・中央銀行のイベントの予定はこちら

過去の経済指標の推移はこちら


主要通貨の強弱


先週のFX市場は前述の通り、前半は米ドルが弱い推移となったものの、後半は反発に転じ、週間を通しても米ドルは比較的強い推移となりました。このほか、ニュージーランドの失業率が低下したことを受けてNZドルの強さが目立ったほか、豪ドルも比較的強い推移となりました。

これに対し、スイスフラン、ユーロ、円といった低金利通貨は軟調な推移となりました。

【先週の主要8通貨の通貨別の騰落率】

最新の通貨別強弱(騰落率)グラフはこちら

直近30日間の主要通貨の通貨の強弱チャートを見ると、これまで強かった円、スイスフランが失速したのに対し、直近では米ドルがジワリと上昇しています。

【直近30日間の主要8通貨の通貨の強弱チャート】

最新の主要通貨の強弱チャートはこちら


直近30日間の株価指数の変化率


米国市場

米国の株価指数CFDは高値圏の推移が続いた後、週末にかけては底堅い推移となりました。最高値を更新した銘柄も出ており、今後も底堅い推移が続くかを見守りたいです。

最新の主要の株価指数の変化率はここでチェック

 

欧州市場

欧州の株価指数CFDは前週に続き底堅く、高値圏での推移が続いています。

最新の主要の株価指数の変化率はここでチェック

 

アジア・オセアニア市場

先週のアジア・オセアニアの株価指数CFDは上値の重い推移が続いていた中国や台湾の株価指数の下落基調は一服したものの、上値の重さも残っています。全体を通しては、緩やかな上昇となっている銘柄が多いです。

 

主要銘柄の相関性分析


先週のドルストレートの銘柄の相関性を見ると、USD/JPYとEUR/USDが高い逆相関、GBP/USDとAUD/USDが高い相関性でユーロと円が対ドルで近い動き、ポンドと豪ドルが対ドルで近い動きとなりました。しかし、この2つのグループの相関性はそれほど高くなく、米ドルが対主要通貨で全体的に近い動きではありませんでした。

【先週の主要ドルストレート通貨ペアの相関性】

これに対し、ドル円とクロス円は多少の相関関係を見出すことができそうです。ただし、EUR/JPYとAUD/JPY、NZD/JPYの相関性が低いほか、ZAR/JPYが他の銘柄と相関性が低く、ドル円、クロス円もそれほど相関性が高いというわけではなさそうです。

【先週のドル円、クロス円の相関性】

先週の主要通貨と米国株価指数(ここでは代表的なUS500との相関性を表示しています)の相関性を見ると、US500はドルストレートとの組み合わせではUSD/JPYと比較的強い相関、EUR/USDとは比較的強い逆相関の関係であるのに対し、GBP/USDやAUD/USDとの相関性は低い動きとなりました。US500とクロス円では、GBP/JPY、AUD/JPYと比較的相関性が高いものの、EUR/JPYとの相関性は低いという結果になりました。

【先週の主要銘柄と米国株価指数の相関性】

最新の相関性のチェックはこちら


OANDA、先物市場のポジション、主要銘柄の値動き


FX

米ドル/円(USD/JPY)

先週のドル円は前半は上値が重く、108.70付近まで下押す動きとなりました。しかし、その後は強い米国経済指標やFRB関係者のコメントなどを受けて反発地合いが続き、110円台を回復して週末を迎えています。

OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りは少ない中、週末の反発により含み損を抱えた売りポジションが増えており、下押した水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。

また、4時間足チャートを見ると、高値を結んだラインを切り上げる動きとなっており、上昇基調に転じる可能性を見出すことができそうです。下押しの際は直近のサポート水準を守れるか、上値を探る動きとなった場合は直近の高値水準を突破できるか等に注目しながら、方向感を探っていきたいところです。

【USD/JPYの4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

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投機筋の円の通貨先物市場のポジション比率はネットすると円売りポジション比率が少し減少となりましたが、依然として円売りポジションに傾く状況が続いており、今後もこの傾向が続くかを見守りたいところです。

【投機筋の通貨先物市場の円のポジションの推移(最終更新日2021/8/3)】

シカゴIMM通貨先物ポジションのチェックはこちら

ユーロ/米ドル(EUR/USD)

先週もユーロドルは上値の重い推移となり、直近のサポート水準の1.175に迫る水準まで下押す動きとなりました。

OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジション比率が高い中、下押しにより、買いポジションの多くが含み損を抱えており、反発した水準では安堵の利益確定売り、安値を切り下げる場面では損切りの売りが増え、上値の重い推移が続く可能性を見出すことができそうです。

4時間足チャートを見ると、7月下旬に幾度か下落を食い止めた水準となる1.175に迫る動きとなっており、まずはこの水準を守れるかに注目しながら、方向感を探っていきたいです。

【EUR/USDの4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

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投機筋のユーロの通貨先物市場のポジションは買いポジション比率の低下傾向が続いています。今週もこの傾向が続くか、低下傾向に歯止めがかかるかを見守りたいところです。

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【投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションの推移(最終更新日2021/8/3)】

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ポンド/米ドル(GBP/USD)

先週のポンドドルは1.4を目前に伸び悩む推移となり、金曜日には先週のサポート水準となる1.387を割り込む動きとなりました。

OANDAのオープンポジションを見ると、売買比率が売りに少し傾く中、直近の下押しで含み損を抱えた買いポジションが多く、反発した水準では安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなった場面では損切りの売りが増える可能性に注意が必要となりそうです。

4時間足チャートを見ると、高値を切り下げるような動きが続き、上昇基調が一段落しており、流れが変わる可能性に注意が必要と考えられそうです。まずは先週のサポート水準の1.387付近を守れるか、反発の際は高値を結んだラインや直近の高値水準を突破できるか等に注目しながら、根気強く方向感を探っていきたいです。

【GBP/USDの4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

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投機筋のポンドの通貨先物市場の買いポジションは増加、売りポジション減少、ネットすると、ポンド売りポジション比率が減少し、ほとんどポジションの傾きがない状況となっています。今後、売買いずれにポジションが傾くかを見守りたいです。

【投機筋の通貨先物市場のポンドのポジションの推移(最終更新日2021/2021/8/3)】

シカゴIMM通貨先物ポジションのチェックはこちら

豪ドル/米ドル(AUD/USD)

先週の豪ドルは前半は底堅い動きとなったものの、後半は失速し、上昇分のほとんどを吐き出す動きとなりました。

OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジションに傾く中、直近の下押しにより含み損を抱えた買いポジションが多い状況です。このため、反発した水準では安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると、損切りの売りが増え、上値の重い推移が続く可能性を見出すことができそうです。

まずは高値を結んだラインや直近の高値水準を突破できるか、下押しの際は安値を結んだラインや直近の安値水準を守れるか等に注目しながら、根気強く方向感を探っていきたいです。

【AUD/USDの4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

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投機筋の豪ドルの通貨先物市場のポジションは、前週に続き売りポジション比率の増加傾向が続いており、今後もこの傾向が続くかに注目したいところです。

【投機筋の通貨先物市場の豪ドルのポジションの推移(最終更新日2021/2021/8/3)】

投機筋の通貨先物ポジションのチェックはこちら

CFD

米国S&P株価指数500(US500)

先週のUS500は高値圏での推移を続けた後、週末に高値を切り上げる動きとなりました。

OANDAのオープンポジションを見ると、売りポジションに傾く中、高値圏での推移が続いていることもあり、売りポジションの多くが含み損を抱えており、下押した水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。

一方で伸び悩む動きが続いたことでストレスを抱えた買いポジションも少し増えており、高値を切り上げる動きとなると利益確定の売り、下値を探る動きとなった場合はこれらのポジションの損切りの売りが増え、上値の重い動きとなる可能性も注意が必要となりそうです。

【US500の4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

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投機筋のS&P500先物のオープンポジションを見ると、買いポジション比率が少し多い状況が続くなか、先週は買いポジション比率が少し増加となりました。今週もこの傾向が続くかを見守りたいところです。

 

【投機筋の先物市場のS&P500 consolidatedのポジションの推移(最終更新日2021/8/3)】

投機筋の株価指数先物市場のポジションのチェックはこちら

 
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