FXに関するコラム・豆知識

新型コロナ変異種への警戒感により、リスク回避色強まる OANDAラボ-マーケット最新情報(2021年11月29日)


市場のリスク許容度が後退


先週は週末にかけ、南アフリカで発見された新型コロナウィルスの変異種への警戒感が強まったこと等により、市場のリスク許容度が後退し、株式市場は大幅下落、FX市場では円高、資源国通貨安、商品市場では原油が下落、債券市場では、長期債利回りを中心に低下傾向が続きました。

また、注目された次期FRB議長の人事はパウエル議長の再任となりました。市場では、パウエル議長よりもハト派のブレイナード理事の可能性も考えられていたため、発表後は、米国債利回りが上昇、FX市場では、ドル買いという反応になりました。

【ドルインデックス、S&P500(CFD)、米国債利回り(10年、2年)、原油(CFD)、金(CFD)の推移】

   

【残存期限別の米国債利回りの推移】

米国債利回りは、週末にかけて、中長期債を中心に低下となりました。

出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY

米国債利回りの推移はこちら

 

【直近5週間の金曜日の米国債イールドカーブの比較】

直近5週の金曜日のイールドカーブの変化を見ると、短期のものは依然として高い水準であるのに対し、中長期のものは、低下傾向が続いています。

 

【米国債イールドカーブの変化(3Dグラフ)】

出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY

米国債のイールドカーブの推移はこちら

 

米国重要経済指標、リスク回避の巻き戻しの動きに注目


今週は米国で雇用統計のほか、ISM景況指数等の重要経済指標の発表が予定されています。

今後の米国の金融政策を占う上で注目される経済指標であるため、結果次第では市場が過敏に反応する可能性があるため、注意が必要となりそうです。

また、先週末は、米国が祝日ムードで流動性が低下する中、株式市場が大幅下落、FX市場では円買いが進む展開となりましたが、このリスク回避の巻き戻しの動きがどの程度となるかに注目したいところです。

【参考データ】

主要な経済指標・中央銀行のイベントの予定はこちら

過去の経済指標の推移はこちら


主要通貨の強弱


先週のFX市場は円、ユーロ、スイスフラン、米ドルなどが強く、豪ドル、NZドル、カナダドル等の資源国通貨が弱いリスク回避型の動きとなりました。

【先週の主要8通貨の通貨別の騰落率】

最新の通貨別強弱(騰落率)グラフはこちら

直近30日間の主要通貨の通貨の強弱チャートを見ても円の強さが目立つのに対し、資源国通貨が弱い動きが続いています。

【直近30日間の主要8通貨の通貨の強弱チャート】

最新の主要通貨の強弱チャートはこちら


直近30日間の株価指数の変化率


米国市場

先週の米国の株価指数CFDは、いずれも週末にかけ大幅下落となりました。

最新の主要の株価指数の変化率はここでチェック

 

欧州市場

欧州の株価指数CFDも週末にかけて下落となりました。

最新の主要の株価指数の変化率はここでチェック

 

アジア・オセアニア市場

先週のアジア・オセアニアの株価指数CFDも週末にかけて下落となりました。

 

主要銘柄の相関性分析


先週の主要なドルストレートの通貨ペアの相関性は、円、ユーロ、スイスフランが対ドルで相関性の高い動きとなっていたほか、ポンドと豪ドルが対ドルで近い動きとなりました。

【先週の主要ドルストレート通貨ペアの相関性】

ドル円、クロス円の相関性を見ると、週末にかけ円が対主要通貨で大きく上昇したこともあり、全体的に相関性の高い動きとなりました。

【先週のドル円、クロス円の相関性】

先週の主要通貨ペアと米国株価指数(ここでは代表的なUS500との相関性を表示しています)の相関性を見ると、週末に株式市場下落、円買いが強まったこともあり、US500とドル円、クロス円の相関性の高い動きとなりました。

【先週の主要銘柄と米国株価指数の相関性】

最新の相関性のチェックはこちら


OANDA、先物市場のポジション、主要銘柄の値動き


FX

米ドル/円(USD/JPY)

先週のドル円は底堅く、一時は115.50付近まで上昇となりましたが、週末にかけては、113.00に迫る水準まで下落する動きとなりました。

OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りは少ないですが、短期的に大きな下落となったこともあり、買いポジション保有者のほとんどが含み損を抱えており、安値を切り下げる動きとなると、損切りの売り、反発した水準では安堵の利益確定売りが上値を圧迫する可能性に注意が必要となりそうです。

4時間足チャートでは、緩やかな上昇基調が続いていましたが、安値を結んだラインや直近のサポート水準を割り込む動きとなっており、流れが変わる可能性に注意が必要となりそうです。

一方で、大きな下落となったのが、米国が祝日ムードで流動性が低下していた状況ということもあり、まずは巻き戻しの動きがどの程度となるか等に注目しながら、根気強く方向感を探っていきたいです。

【USD/JPYの4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

最新のオーダーブック情報こちら

IMMポジションは、米国感謝祭の影響により、発表が遅れており、執筆時点では、更新がありません。

【投機筋の通貨先物市場の円のポジションの推移(最終更新日2021/11/16)】

シカゴIMM通貨先物ポジションのチェックはこちら

ユーロ/米ドル(EUR/USD)

先週のユーロドルは下落基調が続き、1.12を割り込む水準まで下落となったものの、その後は反発に転じ、1.13台を回復する動きとなりました。

OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジションに傾いていますが、直近の反発で含み損を抱えた売りポジションが増えており、下押した水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなった場合は、これらのポジションの損切りの買いが増える可能性に注意が必要となりそうです。

4時間足チャートを見ると、下落基調が続いていますが、直近では比較的大きな反発となっており、流れが変わる可能性も視野に入れておく必要があるかもしれません。

下押しの際は、直近のサポート水準を守れるか、上値を探る動きとなった場合は、高値を結んだラインや直近の高値水準を突破できるか等に注目しながら、方向感を探ってきたいです。

【EUR/USDの4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

最新のオーダーブック情報こちら

IMMポジションは、米国感謝祭の影響により、発表が遅れており、執筆時点では、更新がありません。

【投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションの推移(最終更新日2021/11/16)】

シカゴIMM通貨先物ポジションのチェックはこちら

ポンド/米ドル(GBP/USD)

先週のポンドドルは緩やかな下落基調が続きました。

OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジション比率が60%程度まで上昇する中、下落基調が続いたことにより、その多くが含み損を抱えており、反発した水準では安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると、損切りの売りが増え、上値の重い推移が続く可能性を見出すことができそうです。

4時間足チャートを見ると、下落基調が続いています。反発の際は高値を結んだラインや直近の高値水準を突破できるか、下値を探る場面では直近の安値水準を守れるか等に注目しながら、下落基調継続の可能性を探っていきたいです。

【GBP/USDの4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

最新のオーダーブック情報こちら

IMMポジションは、米国感謝祭の影響により、発表が遅れており、執筆時点では、更新がありません。

【投機筋の通貨先物市場のポンドのポジションの推移(最終更新日2021/11/16)】

シカゴIMM通貨先物ポジションのチェックはこちら

豪ドル/米ドル(AUD/USD)

先週の豪ドルは下落基調が続き、0.71台前半まで下押す動きとなりました。

OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジション比率が63%程度まで上昇する中、そのほとんどが含み損を抱えており、反発した水準では、安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると、損切りの売りが増え、上値の思い推移が続く可能性を見出すことができそうです。

4時間足チャートを見ると、下落基調が続いていますが、反発の際は高値を結んだラインや直近の高値水準を突破できるか、下押しの際は、安値を切り下げることができるか等に注目しながら、下落基調継続の可能性を探っていきたいです。

【AUD/USDの4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

最新のオーダーブック情報こちら

IMMポジションは、米国感謝祭の影響により、発表が遅れており、執筆時点では、更新がありません。

【投機筋の通貨先物市場の豪ドルのポジションの推移(最終更新日2021/11/16)】

投機筋の通貨先物ポジションのチェックはこちら

CFD

米国S&P株価指数500(US500)

先週のUS500は週末にかけ下押しが強まり、4600を割り込む水準まで下落する動きとなりました。

OANDAのオープンポジションを見ると、売買比率の偏りは少ない中、直近の下押しにより、含み損を抱えた買いポジションが増えており、反発した水準では、安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると、損切りの売りが増え、上値の重い推移が続く可能性に注意が必要となりそうです。

4時間足チャートを見ると、高値切り上げに失敗し、安値を切り下げる動きとなっており、流れが変わる可能性に注意が必要な状況と考えられそうです。反発の際は高値を結んだラインや直近の高値水準を突破できるか、下値を探る動きとなった場合は、安値を切り下げることができるか等に注目しながら、方向感を探っていきたいです。

【US500の4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

最新のオーダーブック情報こちら

投機筋のS&P500先物市場のオープンポジションは、米国感謝祭の影響により、発表が遅れており、執筆時点では、更新がありません。

 

【投機筋の先物市場のS&P500 consolidatedのポジションの推移(最終更新日2021/11/16)】

投機筋の株価指数先物市場のポジションのチェックはこちら

 
本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。

この記事をシェアする
OANDAラボウィークリー
先週は米ドル上昇 今週は米国経済指標や本邦GDP、消費者物価指数、米国債務上限関連報道等に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2023年5月15日)
前週は米ドル安、資源国通貨高 来週は米国消費者物価指数等に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2023年5月8日)
日銀金融政策決定会合を受け円安 今週はFOMC、ECB理事会、米国雇用統計等に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2023年5月1日)
先週はポンド、スイスフランが強い推移 今週は植田日銀総裁初の金融政策決定会合、米国GDP速報値等に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2023年4月24日)
先週はスイスフラン高、円安 今週は日欧等の消費者物価指数等に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2023年4月17日)
先週は欧州通貨高、資源国通貨安 今週は米国CPI等に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2023年4月10日)
金融不安和らぎ株高、円安 今週は米雇用統計等に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2023年4月3日)
先週は円、ユーロ、スイスフラン高、資源国通貨安 今週は日米欧の物価指標や米要人コメント等に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2023年3月27日)
先週は円が強い動き、今週はFOMC、BOE金融政策委員会等に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2023年3月20日)
米SVBの経営破綻を受けて株安 今週はSVB破綻の影響、米国CPI、ECB理事会等に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2023年3月13日)
先週は米ドルが軟調 今週はパウエルFRB議長議会証言や米国雇用統計、日銀金融政策決定会合に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2023年3月6日)
ドル高円安、株式市場は軟調推移 今週は米国経済指標、東京都区部消費者物価指数等に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2023年2月27日)

ホーム » FX/CFDに関するコラム(ブログ)・豆知識 » 新型コロナ変異種への警戒感により、リスク回避色強まる OANDAラボ-マーケット最新情報(2021年11月29日)