FXに関するコラム・豆知識

オミクロン株への警戒感和らぎ、リスク回避の巻き戻しの動き 今週は主要中央銀行の金融政策に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2021年12月13日)


株式市場は反発、リスク回避の巻き戻し


先週は新型コロナウイルスの変異種「オミクロン株」への警戒感が和らぎ、前週のリスク回避の巻き戻しの動きが強まりました。

また、週末に発表された米国消費者物価指数が市場予想通りとなったことで、過度な米国の早期利上げ観測が後退したことも市場のリスク許容度を押し上げ、米国株式市場を押し上る材料となりました。

FX市場では、円、スイスフラン、米ドルが弱いのに対し、豪ドル、カナダドル、NZドルといった資源国通貨が強い、リスク選考型の動きとなりました。

【ドルインデックス、S&P500(CFD)、米国債利回り(10年、2年)、原油(CFD)、金(CFD)の推移】

   

【残存期限別の米国債利回りの推移】

米国債利回りは、リスク回避色が和らいだこともあり、長期債利回りが上昇となりました。

出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY

米国債利回りの推移はこちら

 

【直近5週間の金曜日の米国債イールドカーブの比較】

直近5週の金曜日のイールドカーブの変化を見ると、前週に続き、中長期の利回りが上昇しているのが確認できます。

 

【米国債イールドカーブの変化(3Dグラフ)】

出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY

米国債のイールドカーブの推移はこちら

 

米国FOMCをはじめ、主要中央銀行の金融政策に注目


今週は主要国(地域)の中央銀行の金融政策を決定する会議が続きます。

中でも注目を集めるのは、米国のFOMCです。

市場ではパウエルFRB議長の議会証言におけるコメントなどを手がかりに、今回のFOMCにおいて量的緩和の縮小ペースを加速するとの見方が強まっています。

このため、量的緩和の縮小ペースの強弱や将来の利上げに関する手がかりが出てくると、市場が過敏に反応する可能性があるため、注意が必要となりそうです。

このほか、欧州中央銀行(ECB)、日本銀行(日銀)、イングランド銀行(BOE)等でも金融政策を決定する会議が予定されています。世界的に消費者物価指数の上昇傾向が強まる中、各中央銀行の評価、対応が注目され、内容に揺さぶられる可能性に注意したいです。

【参考データ】

主要な経済指標・中央銀行のイベントの予定はこちら

過去の経済指標の推移はこちら


主要通貨の強弱


先週のFX市場はリスク回避の巻き戻しの動きとなり、円、スイスフラン、米ドルが弱いのに対し、豪ドル、カナダドル、NZドルなどの資源国通貨が強い動きとなりました。

【先週の主要8通貨の通貨別の騰落率】

最新の通貨別強弱(騰落率)グラフはこちら

直近30日間の主要通貨の通貨の強弱チャートでは、依然として円、スイスフラン、米ドルが強く、豪ドルやNZドルが弱い推移となっていますが、以前に比べると、強弱の差は縮小傾向にあるようです。

【直近30日間の主要8通貨の通貨の強弱チャート】

最新の主要通貨の強弱チャートはこちら


直近30日間の株価指数の変化率


米国市場

先週の米国の株価指数CFDは、反発に転じていますが、US2000は伸び悩む動きとなっています。

最新の主要の株価指数の変化率はここでチェック

 

欧州市場

欧州の株価指数CFDは反発となりましたが、週末にかけては伸び悩む動きとなりました。

最新の主要の株価指数の変化率はここでチェック

 

アジア・オセアニア市場

先週のアジア・オセアニアの株価指数CFDは概ね底堅い推移となる中、シンガポールの株価指数が伸び悩んでいます。

 

主要銘柄の相関性分析


先週の主要なドルストレートの通貨ペアの相関性は、普段に比べると、全体的に相関性は薄く、ドル中心の相場ではなかったようです。

【先週の主要ドルストレート通貨ペアの相関性】

ドル円、クロス円の相関性を見ると、円が対主要通貨で全面安となったこともあり、GBPJPY以外は比較的相関性の高い動きとなりました。

【先週のドル円、クロス円の相関性】

先週の主要通貨ペアと米国株価指数(ここでは代表的なUS500との相関性を表示しています)の相関性を見ると、US500と豪ドルの相関性が高い動きとなりました。

【先週の主要銘柄と米国株価指数の相関性】

最新の相関性のチェックはこちら


OANDA、先物市場のポジション、主要銘柄の値動き


FX

米ドル/円(USD/JPY)

先週のドル円は113円台で小動きが続きました。

OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りは少ないですが、直近のレンジ内の安値圏で推移していることもあり、含み損を抱えた買いポジションが少し増えています。安値を切り下げる動きとなると、これらの買いポジションの損切りの売りが増え、下落を後押しする可能性に注意が必要となりそうです。

4時間足チャートを見ると、下落後の反発も一服感が出てきている中、下値を探る場面では、直近のサポート水準を守れるか、再度上値を探る場面では、先週の高値水準を突破できるか等に注目しながら、方向感を探っていきたいところです。。

【USD/JPYの4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

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先週火曜日時点の円のIMMポジションは、前週に続き、円売りポジションの減少傾向が続いています。今週もこの傾向が続くかに注目したいです。

【投機筋の通貨先物市場の円のポジションの推移(最終更新日2021/12/07)】

シカゴIMM通貨先物ポジションのチェックはこちら

ユーロ/米ドル(EUR/USD)

先週のユーロドルは、狭いレンジ内で上下にスイングを続け、方向感の鈍い動きとなりました。

OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジションに傾く中、横ばい推移が続いたことにより、直近の価格水準付近のポジションが増えています。

4時間足チャートを見ると、徐々に値動きが収縮するような動きとなっており、力が均衡し、動きが鈍くなる可能性を見出すことができるほか、均衡が崩れると、苦しくなった方のポジションの損切りが増え、崩れた方に短期的にでも方向感が出てくる可能性に注意が必要となりそうです。高値、安値を結んだラインや直近の高値、安値の水準等に注目しながら、根気強く方向感を探っていきたいです。

【EUR/USDの4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

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先週火曜日時点でのユーロのIMMポジションは、売りポジションが減少し、引き続き売買の偏りの少ない状態が続いています。今後、売買のいずれに傾いていくかに注目したいです。

【投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションの推移(最終更新日2021/12/07)】

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ポンド/米ドル(GBP/USD)

先週のポンドドルはは上値が重い推移が続きましたが、週末には少し反発しています。

OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジション比率が60%程度まで上昇していますが、直近の反発により、含み損を抱えた売りポジションが少し増えています。

このため、反発地合いが続くと、これらの売りポジションの損切りが上昇を後押しする可能性に少し注意が必要となりそうです。

4時間足チャートを見ると、下落基調が続いていますが週末には高値を結んだラインを上抜ける動きとなりました。その後、高値を切り上げることができるか、下押しの際は安値を結んだラインや直近のサポート水準を守れるか等に注目しながら、方向感を探っていきたいです。

【GBP/USDの4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

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先週火曜日時点でのポンドのIMMポジションは、売りポジションが少し減少となりました。前月から続いた売りポジションの増加傾向は一服となりました。

【投機筋の通貨先物市場のポンドのポジションの推移(最終更新日2021/12/07)】

シカゴIMM通貨先物ポジションのチェックはこちら

豪ドル/米ドル(AUD/USD)

先週の豪ドルは反発に転じ、0.71台後半まで上昇する動きとなりました。

OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジション比率が60%程度まで低下する中、直近の反発により、含み損を抱えた売りポジションが増えており、下押した水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。

4時間足チャートを見ると、週後半にかけては、反発地合いに一服感が出てきていますが、下押しの際は、直近のサポート水準を守れるか、上値を探る動きとなった場合は、高値を切り上げることができるか等に注目しながら、方向感を探っていきたいです。

【AUD/USDの4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

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先週火曜日時点の豪ドルのIMMポジションは、売りポジションが微増となりました。売りポジションへの傾きが大きく、豪ドルにネガティブなトレーダーが多いものの、これらのポジションの決済による上昇余地は残されているという見方もできそうです。

【投機筋の通貨先物市場の豪ドルのポジションの推移(最終更新日2021/12/07)】

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CFD

米国S&P株価指数500(US500)

先週のUS500は反発に転じ、4700付近まで上昇する動きとなりました。

OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りは少ないですが、反発が続いたことにより、含み損を抱えた売りポジションが増えており、下押した水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。

4時間足チャートを見ると、高値を結んだラインや直近の高値水準を切り上げながら、反発地合いが続いています。しっかりと高値を切り上げることができるか、下押しの際は、過去のレジスタンスやサポートとなった水準等を守れるか等に注目しながら、方向感を探っていきたいです。

【US500の4時間足チャート】

表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足

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投機筋のS&P500先物市場のオープンポジションは、買いポジション比率の上昇が続いていましたが、先週は売りポジションが少し増え、買いポジション比率の上昇は一段落となりました。

 

【投機筋の先物市場のS&P500 consolidatedのポジションの推移(最終更新日2021/12/07)】

投機筋の株価指数先物市場のポジションのチェックはこちら

 
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