米国雇用統計、日銀の指値オペの有無等に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2022年3月28日)
今週の注目材料
今週末は今後の米国の金融政策を占う上で重要な経済指標の一つとなる米国雇用統計の発表が予定されています。
先週発表された先行指標の一つである新規失業保険申請件数が強かったこともあり、期待が高まる中、強い結果となると、利上げペース加速が意識され、米国債利回りを押し上げ、米ドルの下支え材料となりそうです。
前哨戦となる水曜日のADP雇用統計と併せて注目したいです。
本邦では日銀の指値オペの有無に注目が集まります。先週は10年債利回りが日銀が設定する変動幅の上限の0.25%に迫る0.24%まで上昇する中、日銀が指値オペを実施し、金利の上昇を抑える意思を見せると、上昇傾向が続いている米国をはじめとする海外との金利差拡大が意識され、円を売る材料となりそうです。
また、円安地合いが続く中、政府、日銀関係者の円安を牽制または容認するコメントに警戒が必要となりそうです。現時点で為替介入の可能性は低いと考えられますが、現在の円安の水準を評価するコメントが出てくると、市場が過敏に反応し、短期的にでも不安定な動きになる可能性があるため、注意したいです。
ユーロ圏では、消費者物価指数の速報値の発表が予定されているほか、ラガルドECB総裁をはじめとする要人の発言機会に注意が必要となりそうです。
ECBの金融政策の方向性の手がかりが出てくると、ユーロを中心に市場が反応することが想定されます。
このほか、引き続きウクライナ情勢には警戒が必要となり、最新の報道には注意したいです。
先週のFX市場の動き
先週のFX市場は円が全面安となり、円安地合いが続いています。これに対し、強い推移となったのは、豪ドル、NZドル、カナダドルといった資源国通貨でした。
【先週の主要8通貨の通貨別の騰落率】
【直近1ヶ月の主要8通貨の通貨の強弱チャート】
【先週のFXの主要28通貨ペアの騰落率ランキング】
主要銘柄の相関性分析
先週のドルストレートの相関性を見ると、全体的にまとまりがなく、米ドル中心の相場ではなかったのが確認できます。
【先週の主要ドルストレート通貨ペアの相関性】
ドル円、クロス円の通貨ペアの相関性は円が全面安となったこともあり、全体的に高く、円は対主要通貨で近い動きをしていたのが確認できます。
【先週のドル円、クロス円の相関性】
また、ユーロを含む主要な通貨ペアの相関性を見ると、EUR/JPY以外は多少の相関があったようです。
【先週のユーロを含む主要な通貨ペアの相関性】
先週の主要通貨ペアと米国株価指数(ここでは代表的なUS500との相関性を表示しています)の相関性を見ると、ドル円、クロス円とUS500の相関性が高いほか、AUD/USDとの相関性も高い動きとなりました。
【先週の主要銘柄と米国株価指数の相関性】
先週の株価指数CFDの動き
米国市場
先週の米国の株価指数CFDは、US500、US100は緩やかな上昇、US30、US2000は横ばい推移となりました。
欧州市場
欧州の株価指数CFDは全体的に高値圏で横ばい推移が続いています。
アジア・オセアニア市場
先週のアジア・オセアニアの株価指数CFDは日本やオーストラリアの株価指数は比較的底堅いものの、中国や香港の株価指数は上値の重い推移となりました。
【株価指数CFDの騰落率ランキング】
米国債利回りの推移
【残存期限別の米国債利回りの推移】
米国債利回りは、短期債、長期債がいずれも上昇傾向が続いています。
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
【直近5週間の金曜日の米国債イールドカーブの比較】
直近5週の金曜日のイールドカーブを比較すると、全体的に上昇しているのが確認できます。
【米国債イールドカーブの変化(3Dグラフ)】
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
OANDA、先物市場のポジション、主要銘柄の値動き
FX
米ドル/円(USD/JPY)
先週のドル円は、上昇基調が続き、122.50に迫る水準まで上昇となりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売りポジションに傾く中、高値圏での推移が続いているため、売りポジションのほとんどが含み損を抱えている状況です。
このため、下押しの際は安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、上昇基調が続いています。下押しの際は安値を結んだラインや直近のサポート水準を守れるか、上値を探る場面では高値を更新できるか等に注目しながら、上昇基調継続の可能性を探っていきたいです。
一方で日足のRSIが70を超える水準での推移が続いているほか、オープンポジションでも高値圏で買い利益が伸びずストレスを抱えているポジションが少し増えているため、短期的には下押しにも警戒が必要かもしれません。
【USD/JPYの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点における投機筋の円の通貨先物市場のポジションは、前週に続き売りポジション比率が上昇し、売りポジションに傾く状態が続いています。
【投機筋の通貨先物市場の円のポジションの推移(最終更新日2022/03/22)】
ユーロ/米ドル(EUR/USD)
先週のユーロドルは伸び悩み、1.1付近で横ばい推移が続きました。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジションに少し傾く中、直近の伸び悩みでストレスを抱えた買いポジションが増えています。このため、上値を探る動きとなると安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると、損切りの売りが増え、上値の重い推移となる可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、横ばい推移が続き、方向感を見出しにくい状態が続いています。下押しの際は直近の安値水準を守れるか、上値を探る場面では高値を結んだラインや直近の高値を切り上げることができるか等に注目しながら、方向感を探っていきたいです。
【EUR/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋のユーロの通貨先物市場のポジションは買いポジション比率が微増となりました。買いポジションにやや傾いているものの、偏りは少なく、今後、どちらに傾くかを見守りたいです。
【投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションの推移(最終更新日2022/03/22)】
ポンド/米ドル(GBP/USD)
先週のポンドドルは1.33付近まで上昇した後は1.31台まで押し戻され、方向感の鈍い推移が続きました。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジション比率が高い中、直近の伸び悩みでストレスを抱えた買いポジションが増えています。
このため、安値を切り下げる動きとなると、買いポジションの損切りの売りが増える可能性に注意が必要となりそうです。
4時間足チャートを見ると、反発地合いが一段落し、横ばい推移に転じています。
下押しの際は直近のサポート水準を守れるか、上値を探る動きとなった場合は、高値を結んだラインや直近のレジスタンス水準を突破できるか等に注目しながら方向感を探っていきたいです。
【GBP/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週の投機筋のポンドの通貨先物市場のポジションは前週に続き売りポジションが増加となりました。今後もこの傾向が続くかを見守りたいです。
【投機筋の通貨先物市場のポンドのポジションの推移(最終更新日2022/03/22)】
豪ドル/米ドル(AUD/USD)
先週の豪ドルは前半は底堅い推移が続き、0.75台中盤まで上昇する動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りは少ない中、高値圏で推移しているため、含み損を抱えた売りポジションが増えています。
このため、下押した水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、これらのポジションの損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、先週は下押しをほとんど作らないまま上昇基調が続きました。
今週も高値を切り上げる動きが続くか、下押しの際は過去のレジスタンスやサポートになった水準や安値を結んだライン等を守れるか等に注目しながら上昇基調継続の可能性を探っていきたいです。
【AUD/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋の豪ドルの通貨先物市場のポジションは前週は売りポジションが大きく減少しましたが、先週は売りポジションが少し増加となりました。依然として売りポジションに傾いているところを見ると、豪ドルの上昇余地はまだ残されているのかもしれません。
【投機筋の通貨先物市場の豪ドルのポジションの推移(最終更新日2022/03/22)】
CFD
米国S&P株価指数500(US500)
先週のUS500は底堅い推移が続き、4500台に乗せる動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りは少ないものの、反発地合いが続いていることにより、含み損を抱えた売りポジションが増えています。
このため、下押した水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、反発地合いが続く中、下押しの際は過去にレジスタンスとなった水準や直近の安値水準を守れるか、上値を探る動きとなった場合は、高値を切り上げることができるか等に注目しながら、底堅い推移が続くかを見守りたいです。
【US500の4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋のS&P500先物市場のポジションは買いポジションが減少、売りポジションが増加したことにより、売りポジション比率の方が高い状態に転じました。このまま売りポジションが優勢な状況が続くかを見守りたいです。
【投機筋の先物市場のS&P500 E-miniのポジションの推移(最終更新日2022/03/22)】
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