先週はドル高、円安、株安 今週は米国FOMC、日銀の金融政策に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2022年6月13日)
今週の注目材料
先週は強力な金融緩和を継続する日銀と、金融引き締めへ向かう他の主要中央銀行との金融政策の方向性の違いが意識され、FX市場では円が弱い推移となりました。
一方、米国では消費者物価指数が市場予想を上回るなど利上げペース加速の可能性も意識され、米国債利回りが上昇、株式市場は下落し、FX市場では米ドルが買いが進みました。
今週は米国の金融政策を決定するFOMCの開催が予定されています。
CMEグループのFedWatchツールではほとんどが、現行の水準から+0.5%の利上げとの見方でしたが、週末に発表された消費者物価指数の結果を受けて+0.75%との見方も少し出てきたようです。
このため、政策金利の結果に市場が過敏に反応する可能性が考えられるほか、次回以降の金融政策の手がかりを求めて、声明文の文言や四半期毎に発表される経済見通し内の政策金利の予測(ドットチャート)や物価予測の変化、パウエルFRB議長の会見内容等に注目が集まります。
FOMC参加者の政策金利、GDP、失業率、PCEインフレ率見通しの前回からの変化はこちら
また、本邦では日銀の金融政策決定会合が予定されています。
先週、昨今の円安の進行を受けて、財務省と金融庁、日銀で「急速な円安の進行が見られ、憂慮している」との声明文を出していますが、今回の会合では市場予想では金融政策は現状維持との見方が中心のようです。
黒田総裁の会見では、これまでのように現在の強力な金融緩和を維持することが強調されると、円安トレンドの下支え材料となるのに対し、金融緩和縮小へ向けた動きが示されるようであればサプライズとなり、円の買い戻し材料となりそうです。
いずれにせよ、発表前後、黒田総裁の会見中は内容次第で円を中心に不安定な推移となる可能性があるため、注意したいです。
また、英国ではイングランド銀行(BOE)の金融政策委員会が予定されています。今回の会合では0.25%の利上げとの予想が中心のようですが、0.5%以上の利上げを予想する声も増えており、発表直後は結果を受けてポンドが過敏に反応する可能性に注意が必要となりそうです。
先週のFX市場の動き
先週は主要国の中央銀行が金融引き締めへ向かうのに対し、大規模な金融緩和を継続する日銀との金融政策の方向性の違いが意識されたことや原油価格の上昇等を背景に円が全面安となったのに対し、米国債利回りの上昇に後押しされた米ドルが強い動きとなりました。
【先週の主要8通貨の通貨別の騰落率】
【直近1ヶ月の主要8通貨の通貨の強弱チャート】
直近1ヶ月を見ると、5月下旬から円の弱さが目立っているのに対し、米ドルは直近では底堅い推移となっています。
【先週のFXの主要28通貨ペアの騰落率ランキング】
主要銘柄の相関性分析
先週のドルストレートの相関性を見ると、全体的に対ドルでの相関性が高く、主要通貨に対し、ドルが強い推移であったのが確認できます。
【先週の主要ドルストレート通貨ペアの相関性】
また、ドル円、クロス円の通貨ペアは全体的に相関性が高く、円の強弱もはっきりと出ており、円が全面安であったのが確認できます。
【先週のドル円、クロス円の相関性】
ユーロを含む主要な通貨ペアの相関性は全体にバラバラで、ユーロの強弱は見出しにくい状況であったようです。
【先週のユーロを含む主要な通貨ペアの相関性】
先週の株価指数CFDの動き
米国市場
先週の米国の株価指数CFDは、週末に向け下値を探る動きとなりました。
欧州市場
欧州の株価指数も後半は下値を探る動きが続きました。
アジア・オセアニア市場
先週のアジア・オセアニアの株価指数もほとんどの銘柄が週末にかけ軟調な推移となりました。
【株価指数CFDの騰落率ランキング】
米国債利回りの推移
【残存期限別の米国債利回りの推移】
先週の米国債利回りは、短期債を中心に上昇基調が続いています。
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
【直近5週間の金曜日の米国債イールドカーブの比較】
直近5週の金曜日のイールドカーブの比較を見ると、短期債利回りを中心に高い水準で推移しています。
【米国債イールドカーブの変化(3Dグラフ)】
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
OANDA、先物市場のポジション、主要銘柄の値動き
FX
米ドル/円(USD/JPY)
先週のドル円は、上昇基調が続き、134円台中盤まで上昇となりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売りポジション比率が6割程度まで上昇する中、高値圏で推移しているため、売りポジションのほとんどが含み損を抱えている状況です。
このため、下押した水準では安堵の買い戻し、上昇した水準ではこれらのポジションの損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことはできそうです。
一方で134円台で構築された買いポジションも多く、直近の伸び悩みでストレスを抱えているようにも見え、上昇した水準での利益確定売り、下押しに転じた際の損切りの売りが短期的にでも増える可能性にも少し注意が必要かもしれません。
4時間足チャートを見ると、上昇基調が続いており、しっかりと高値を切り上げることができるか、下押しの際は安値を結んだラインや直近のサポート水準を守れるか等に注目しながら、上昇基調継続の可能性を探っていきたいです。
【USD/JPYの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点における投機筋の円の通貨先物市場では円売りポジションに大きく傾く状況が続いていますが、前週に続き、売りポジション比率が少し減少しています。
【投機筋の通貨先物市場の円のポジションの推移(最終更新日2022/6/7)】
ユーロ/米ドル(EUR/USD)
先週のユーロドルは、横ばい推移が続いていましたが、週末にかけて安値を切り下げる動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジション比率が6割程度まで上昇するなか、その多くが下押しにより含み損を抱えている状況です。
このため、反発した水準では安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると、損切りの売りが増え、上値の重い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、直近では、下落が続いており、反発にも警戒が必要な中、下押しがどの程度まで続くか、反発に転じた際は、過去のサポート、レジスタンスの水準を突破できるか等に注目しながら、下落基調継続の可能性を探っていきたいです。
【EUR/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋のユーロの通貨先物市場のポジションは売買双方のポジションが減少する中、買いポジション比率が少し低下となりました。
【投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションの推移(最終更新日2022/6/7)】
ポンド/米ドル(GBP/USD)
先週のポンドドルは横ばい推移が続きましたが、週末には安値を切り下げる動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジション比率が62%程度まで上昇する中、直近の下押しにより、含み損を抱えた買いポジションが増えています。このため、反発した水準では安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると損切りの売りが増え、上値の重い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、直近では下押しが続いています。まずは、どの程度まで下押しが続くか、反発に転じる際はどの程度まで反発するかに注目しながら、方向感を探っていきたいです。
【GBP/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週の投機筋のポンドの通貨先物市場のポジションは買いが少し増えたため、売りポジション比率が少し低下となりましたが、依然として売りポジションに大きく傾く状況が続いています。
【投機筋の通貨先物市場のポンドのポジションの推移(最終更新日2022/6/7)】
豪ドル/米ドル(AUD/USD)
先週の豪ドルは上値の重い推移が続き、0.70台前半まで下押しとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジションに傾く中、直近の下押しで買いポジションのほとんどが含み損を抱えている状況です。
このため、反発した水準では安堵の利益確定売り、安値を切り下げる場面では損切りの売りが増え、上値の重い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、上昇基調が続いていましたが、高値更新に失敗し、その後、安値を結んだラインや直近の安値水準を割り込み、下落基調に転じつづあります。
まずは直近の下押しがどの程度まで続くか、反発に転じた際は、高値を結んだラインや直近の高値水準を突破できるか等に注目しながら、方向感を探っていきたいです。
【AUD/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋の豪ドルの通貨先物市場のポジションは前週から大きな変化はなく、売りポジションに傾く状況が続いています。
【投機筋の通貨先物市場の豪ドルのポジションの推移(最終更新日2022/6/7)】
CFD
米国S&P株価指数500(US500)
先週のUS500は週末にかけて、下値を探る動きが強まり、3900付近まで下押しとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジションに傾く中、直近の下押しにより含み損を抱えた買いポジションが増えています。
このため、反発に転じた場面では安堵の利益確定売り、安値を切り下げる場面では損切りの売りが増え、上値の重い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、下押しが続いていますが、まずは直近のサポート水準の3810付近を守れるか、反発に転じる際はどの程度まで反発するか等に注目しながら、下落基調継続の可能性を探っていきたいです。
【US500の4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋のS&P500先物市場では、売りポジションが増加し、売りポジションの比率の方が優勢な状況に転じています。
【投機筋の先物市場のS&P500 E-miniのポジションの推移(最終更新日2022/6/7)】
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