貴金属の基礎

銀(シルバー)とは|歴史・価値・特徴を解説


銀(シルバー)とは、「貴金属(Precious Metals)」と呼ばれる金属の仲間の1つです。

金(ゴールド)と共に、紀元前から人間の生活に登場していたと言われ、かつては通貨としての役割を担いましたが、現在はその特性から工業用需要が高くなっています。

本記事では、「貴金属(Precious Metals)」の中でも銀(シルバー)に注目し、歴史や価値、特徴、よくある質問について詳しく解説していきます。

銀(シルバー)とは

銀(シルバー)は、いわゆる「貴金属(Precious Metals)」と呼ばれる金属(メタル)の一つです。

一般的に「貴金属(Precious Metals)」という場合、ゴールドとシルバーの2つと、プラチナ、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウムという6つの白金族(PGM:Platinum Group Metals)の、合計8種類のことを指します。

8つの貴金属の中で、個人投資家が取引できるのはゴールド、シルバー、プラチナ、パラジウムまでです。

この4種類のメタルは、現物取引だけではなく、先物取引もできます。

銀(シルバー)の特徴

銀は金と同様に人間との付き合いが古く、紀元前3000年には人間の生活に登場していたと言われます。

ここでは、銀の歴史や特徴について解説していきます。

シルバーの歴史

古代では、シルバーの方がゴールドよりも希少価値が高いものだったと考えられています。

それはゴールドが「自然金(Nugget)」の形で見つかるのに対して、シルバーは自然銀として見つかるよりも、鉱石として見つかるのが基本だったことに関係しています。

シルバーの本格的な採取は、精錬技術の発達を待たなければならず、それまでの長い間は希少価値としてシルバーの方が高かったとされています。

しかし、人類が精錬技術を開発してからは、その絶対的な資源量、そして物質的特性から現在のようなゴールドとシルバーの価値関係となったものと思われます。

特に17世紀以降は、新大陸で大量のシルバーが発見され、また銅鉱石からのシルバー抽出、それを可能にした新しい精錬技術の発展により、シルバーの生産量は飛躍的に伸び、ゴールドに対するシルバーの価値は大きく下がりました。

近代ではゴールドの120分の1から30分の1、過去50年の平均は約60分の1という、過去の長い歴史的な観点からもシルバーは割安なレベルにあると言えます。

この価格の関係に関しては後ほど、需給や市場の項で触れます。

ゴールドと並んで貴金属であるシルバーは、古くから決済手段として使われ、特に17世紀以降大量のシルバーの供給が可能となると、世界でも主要な貿易通貨として利用されました。

近代に入り国家が自らの通貨を発行すると、次第にシルバーやゴールドの貴金属を通貨として使用するのは現実的ではなくなり、「法定通貨」としての役割を終えました。

2023年のデータでは、シルバーは工業用の需要が約50%を占めています。

このほか、約25%はコインや地金と言った投資用需要、約17%が宝飾品、約5%は銀食器です。

シルバーの物質的特徴

その物質的な特徴は、電気伝導率、熱伝導率、そして可視光線の反射率が金属中最大な点です。そして延展性はゴールドに次いで2番目であり、1gのシルバーを2200mに伸ばせます。(最も伸びるゴールドは3000m)

こういった性質を利用して、シルバーはいろいろな工業用材料に使われており、貴金属の中では桁違いに安価です。

その需要の約半分は工業用の材料としての需要です。

ゴールドはそれが10%にも満たないことを考えると、シルバーは工業用のメタルだと言えるでしょう。

数十年前までは、シルバーは光に対する反応を利用して感光材としての用途が最大のものでした。感光材とは、要するに写真の「フィルム」のことです。

銀塩フィルムという言葉があるように、写真のフィルムはシルバーを利用したものでした。

そしてデジタルカメラの登場が、このシルバーの需要に大きな変化をもたらしました。

デジタルカメラは瞬く間に銀塩フィルムに置き換わり、現在ではカメラそのものがスマホに吸収されつつあります。

デジタルカメラ以前は、世界でのシルバーユーザーの最大手はコダックや富士フィルムと言ったフィルムメーカーでした。

デジタルカメラにより、シルバーの需要は激減し、その価格が大きく下がるという見方もありました。

現在では、シルバーの需要の最大分野は、太陽光発電のソーラーパネルです。

これもまた光に対するシルバーの特性を生かした、そして現在の世界にマッチした利用法だと言えるでしょう。

銀(シルバー)に関するQ&A

銀に関して、よくみられる疑問点は以下のようなものです。

  • ・銀はなんで高いんですか?
  • ・銀の最高値はいくらですか?
  • ・金に比べて安い理由は何ですか?

銀はなんで高いんですか?

貴金属(Precious Metals)は、産出量が少なく、錆びにくく変色しづらい性質から、産業製品の材料のほか、宝飾品の用途として需要があります。

そのため貴金属は、そうでないメタル(例えば、銅、アルミ、ニッケルなどの非鉄金属や鉄)と比べると高価です。

銀の最高値はいくらですか?

銀は、銀現物相場で2011年4月25日に1オンス=49.79ドルと、過去最高値を記録しています。

2024年時点では、ピークから半値近くまでになっていますが、近年は太陽光発電や電気・電子材としての工業用需要が伸びています。

また、宝飾品需要はインドなどの新興国で高く、需要が旺盛になっていることから価格上昇が期待されています。

金に比べて安い理由は何ですか?

銀の鉱山生産の規模を金(ゴールド)と比較すると、金が約4,000トンに対して、銀は、26,000トンと金の供給量の約6.5倍です(2023年のデータ)。

また、銀は工業用需要が5割もある一方、金の工業用需要は1割もありません。

金は、そのままの形で保有する宝飾品を含む投資用のメタルであるということが言えます。

金(ゴールド)とは何か詳しく解説している記事もあるので、金について詳しく知りたい人は、この記事と合わせて読んでみましょう。

【まとめ】銀(シルバー)とは|歴史・価値・特徴を解説

銀(シルバー)とは、「貴金属(Precious Metals)」と呼ばれる金属の仲間の一つです。

貴金属は、錆びにくく変色しづらい性質のため、産業製品の材料のほか、宝飾品の用途として需要が高く、銅、アルミ、ニッケルなどの非鉄金属や鉄と比べると桁違いの価値になっています。

銀は電気伝導率、熱伝導率、可視光線の反射率が金属中最大であることから、工業用の需要が高く、近年では太陽光発電用などに使用されています。

過去最高値から見ると半値ほどの価格になっていますが、各分野で需要が旺盛になっていることから価格上昇が期待されています。

Provided by
池水 雄一(Bruce Ikemizu)

1986年上智大学外国語学部英語学科卒業後、住友商事株式会社。
1990年クレディ・スイス銀行、1992年三井物産株式会社で貴金属チームを率いる。
2006年スタンダードバンクに移籍、2009年同東京支店支店長就任。
2019年9月日本貴金属マーケット協会代表理事。

>池水 雄一氏監修の「金(ゴールド)や銀(シルバー)などの貴金属」に関する記事一覧はこちら

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