FX自動売買基礎と応用

FXの自動売買とは|初心者向けに始め方やメリット・デメリットなど詳しく解説


FXの「自動売買」とは、取引ツール上でプログラムが自動的に売買を行う仕組みのことです。

MT4やMT5のEAをはじめ、さまざまな自動売買があります。

本記事では、FX取引の自動売買の始め方や、メリットとデメリットなどを詳しく解説します。

FXの自動売買とは

FXの自動売買とは、取引ツール上でプログラム(システム)が自動的に売買を行う仕組みのことです。

自動売買のプログラムを開始すれば、予め定められた取引ルールや条件に応じて、自動で新規注文や決済注文が実行されます。

逆に、プログラムを停止すれば、自動売買は停止します。

ちなみに、自動売買と反対に手動で取引をすることを「裁量取引(トレード)」と言います。

FXの自動売買の種類

FXの自動売買の種類は、主に以下の3つに分けられます。

自動売買20240828

プログラム型

「プログラム型」は、取引ルール(売買ロジック)をプログラム化し、自動で取引するタイプのことです。

MT4・MT5EA(Expert Advisor)がプログラム型の代表的な例として挙げられます。

一般的に、プログラム型ではテクニカル指標やチャートの値動きなどを基にした売買ロジックが、自動的に取引されるようにプログラミングされます。

例えば、「相場価格が移動平均線の下に大きく剥離しているときに買う」「前日の高値を上抜けたら売る」などのロジックが挙げられます。

プログラム型では、自ら取引ルールをプログラミングするか、他者がプログラミングしたものを無料で入手(または有料で購入)することが可能です。

リピート型

リピート型は、特定の為替レートの範囲内に複数の注文を同時に発注し、売買を繰り返すタイプを指します。

「リピート系」「グリッドトレード」と呼ばれることもあります。

売買設定は自ら行う例が多く、例えば「米ドル/円が140円になったら買い、141円になったら売る」と設定した場合、条件を満たすと繰り返し売買が行われます。

リピート型の特徴は「レンジ相場」で利益を得るチャンスが多いことです。

FX相場の大半は、レンジ相場であるとされています。

価格が一定の範囲内で上下する相場の傾向を利用して、利益をコツコツと積み上げられます。

リピート型はMT4やMT5で取引可能なほか、リピート型に特化した自動売買ツールを提供するFX会社も存在します。

選択型

選択型とは、FX会社が用意した自動売買ストラテジーから、任意のものを選び使用するタイプのことです。

FX会社やプロトレーダーが考案したストラテジーを選ぶだけなので、FX初心者でも利用しやすいことが特徴です。

ただし、選択型は選択肢が限られる点や、自ら取引ルールを変更できない点に注意が必要です。

また、利用は選択型を提供するFX会社に限られます。

FXの自動売買を使うメリット

FXの自動売買を使うメリットは、以下の通りです。

FXの自動売買を使うメリット

【メリット1】24時間取引可能でチャンスを逃さない

FX取引では、世界のいずれかの市場が常に開いているため、平日24時間取引のチャンスがあります。

裁量取引では取引ツールを開いているときにしか売買や予約注文ができないため、仕事中や就寝中などに取引チャンスを逃してしまう可能性があります。

これに対し、自動売買ツールであれば24時間いつでも、売買ロジックの条件を満たした際に売買が行われるため、より多くの利益を得られる可能性があります。

また、取引ツールから離れていても自動売買が行われるため、FX取引に拘束される時間が減ることも利点です。

【メリット2】取引が感情に左右されない

裁量トレードではエントリーから決済まで、感情に左右され冷静さを失うことが多くあります。

どんなに優秀な売買ロジックがあったとしても、人間の感情が妨げになってしまうと優れた成績を残せない可能性が高まります。

しかし、自動売買ツールに委ねていれば、一度設定された取引のルールが守られます。

そのため、自動売買のロジックによって期待される成績を、常に追求できます。

【メリット3】相場分析の手間を減らせる

裁量取引では、チャート分析に基づいて売買の判断をする必要があります。

一方、自動売買は予め売買ルールが定められているので、トレードのたびにチャート分析をする必要はありません。

また、裁量取引でのチャート分析は、一定の知識と経験がなければ、利益に繋げられないケースも多くあります。

しかし、自動売買にはトレード経験豊富な人物が開発した売買プログラムもあり、それを利用することでチャート分析の知識や経験のハンデを埋めることが期待できます。

FXの自動売買を使うデメリット

FXの自動売買を使うデメリットは、以下の通りです。

【デメリット1】相場環境の変化には対応できない

自動売買は決まったルールで取引するため、相場環境の変化には対応できないことが難点です。

相場が想定している環境であれば利益を得やすくなりますが、想定と異なる状況になると思うように利益を得られない、損失が発生するという可能性もあります。

例えば、レンジ相場を狙うリピート系のルールの場合、一定の値幅を行き来する状況を想定していますが、為替レートが注文の範囲から外れるときにはその戦略の優位性は失われます。

また、売買ルールによっては相場環境の変化の影響で損失が拡大し、ロスカットに至るケースも考えられます。

このようなリスクがあるため、現在の相場環境と売買ルールが合っているかや、環境変化を考慮した損切りの設定がされているかなどを確認することが重要です。

【デメリット2】裁量取引よりもコストがかかる

自動売買の種類によっては、スプレッドに加えて「売買手数料」がかかるケースもあります。

売買手数料は、一般的に「1回の注文につき20円」などの形で設定され、売り・買いの1セットで「往復40円」などと表記されます。

例えば、スプレッドが0.3銭、売買手数料が片道で20円というケースの場合、裁量取引と自動売買で、以下のように手数料が異なります。

▼裁量取引の場合

0.3銭×10,000通貨=30円

▼自動売買の場合

(0.3銭×10,000通貨)+20=50円

→自動売買の方が裁量取引よりも「20円」多く手数料が発生する

この例の場合、仮に1,000回売買を行うと、自動売買では裁量取引よりも20,000円多く手数料が発生します(20円×1,000回)。

実際には、裁量取引で短期間に1,000回の取引をすることは稀ですが、自動売買では高頻度で取引することも珍しくないため、想像以上に手数料がかかることがあります。

売買手数料が発生するかどうかは、FX会社や取引ツールによって異なります。

【デメリット3】選んだ売買プログラムによっては損失が大きくなる

自動売買のサービスによっては、プログラムの提供元が「バックテスト」の結果を公開している場合があります。

バックテストとは、特定の自動売買ストラテジーを使って過去の相場でトレードしたら、どの程度の利益が出ていたかというシミュレーションです。

一方、現在から将来にかけての値動きでの成績を検証する「フォワードテスト」の成績が公開されている場合もあります。

これら2つのテストの実績を確認しないまま自動売買プログラムを選ぶと、実際の相場で思うように利益を出せず、損失ばかりを生む可能性もあります。

FX自動売買ツールの選び方

FX自動売買ツールはどのように選ぶべきか、ここでは以下の3つのタイプを解説します。

プログラム型を選ぶ人の特徴

プログラム型を選ぶ人の傾向として、以下が考えられます。

  • ・FX中級者~上級者
  • ・自身の売買ロジックがある

プログラム型は、自動売買ロジックを自分で作成する場合、開発スキルが必要です。

そのため、ある程度のプログラミングが可能で自身の売買ロジックがあるFXの中級者~上級者が多く利用する傾向があります。

リピート型を選ぶ人の特徴

リピート型を選ぶ人の傾向として、以下が考えられます。

  • ・FX初心者~中級者
  • ・コツコツと利益を狙うスタイルを好む

リピート型は、レンジ相場においてコツコツと小さな利益を狙う売買スタイルです。

裁量取引では頻繁に手動発注する必要があり手間がかかりますが、リピート型の自動売買を用いればその手間が省けます。

売買ロジックがシンプルであるため、FX初心者~中級者に利用される傾向があります。

また、リピート型は中長期的な運用に向いており、高金利通貨ペアの取引でスワップポイントによる収益も狙えます。

選択型を選ぶ人の特徴

選択型を選ぶ人の傾向として、以下が考えられます。

  • ・FX初心者
  • ・自分の希望に一致するストラテジーがFX会社で提供されている

選択型は既存のストラテジーを選択するだけで簡単に始められるため、知識が浅いFX初心者が利用する傾向にあります。

また、自分の希望に一致するストラテジーが提供されている場合も選択型が利用されやすいです。

FXの自動売買を活用するためのポイント

ここでは、MT4やMT5のEAを代表とするプログラム型自動売買を主な対象として、活用するためのポイントをまとめます(リピート型や選択型でも共通するところがあります)。

【ポイント1】過去実績やフォワードテストの結果を確認する

主にEAなどの自動売買を活用するときは、過去実績(バックテスト)やフォワードテストを確認することが推奨されます。

バックテストは、自らツールを用いてテストする方法や、提供元が公開している情報を参照する方法があります。

一方、フォワードテストとは、現在から将来にかけての値動きで取引の成績を検証することです。

EAを販売しているサイトによっては、フォワードテストを公開しています。

フォワードテスト」については、こちらの記事で詳しく解説しています。

過去実績を把握するために「勝率」「プロフィットファクターなどの専門用語の意味も正しく理解することが重要です。

なお、MT4・MT5を用いた自動売買に興味がある人は、「FX取引でEAを選ぶ際のポイント」をご覧ください。

【ポイント2】設定した売買ルールに従う

EAを代表とする自動売買は、裁量トレードのように感情に左右されないことが大きなメリットです。

そのメリットを活かすためにも、売買ルールが相場に適合しているうちは、トレードを継続することが重要です。

とはいえ、明らかに売買ルールと相場が適合しなくなった場合には、パラメーターの変更や、稼働停止、他のEAとの入れ替えなどの見直しを考えることも大切です。

【ポイント3】売買プログラムを定期的に確認する

EAなどの自動売買は、定期的に損益状況をチェックすることが推奨されます。

バックテストやフォワードテストから期待される成績が出ていない場合は、相場に合うように自動売買の各種指標(パラメーター)を調整する、自動売買そのものを入れ替えるなどの対策が必要な場合があります。

EAの各種指標を調整するためのポイントは、「EAの稼働期間の目安」や「EAの運用停止判断基準」で解説しています。

【ポイント4】損切りを適正に設定する

自動売買も裁量トレードと同じように、資金管理やリスク管理を行う上での損切り設定が重要です。

取引1回あたりの損失額を抑えることができれば、トータルで利益を出せる可能性が高まります。

EAをはじめ、多くの自動売買ツールやストラテジーでは、最初から損切り設定がされているものもあります。

損切りのポイント」については、こちらの記事で詳しく解説しています。

【ポイント5】相場の動きについて最低限の知識を持つ

EAをはじめとする自動売買を活用するポイントとして、FXや相場に対する最低限の知識を持つことが重要です。

自動売買ツールを使えば、トレーダーの意思と関係なくFX取引が進むため、基礎知識がなくても自動売買を行えます。

ただし、FXに関して基本的な知識がないと、うまく使いこなせない可能性があります。

FX初心者の方で、相場分析やFXのトレードに自信が持てない場合は、デモトレードでの取引が推奨されます。

OANDA証券では、MT4・MT5で本番とほぼ同じ環境でデモトレードができます。

デモトレードを始める手順」については、こちらの記事で詳しく解説しています。

OANDA証券でMT4を使い自動売買を始める手順

2024年11月時点でMT4とMT5を比較すると、使用できるEAはMT4の方が多いです。

そのため、ここではMT4で自動売買を始める手順を解説します。

また、MT4で自動売買を導入する方法についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。

【手順1】OANDA証券の口座を開設する

OANDA証券でMT4を使うには、まずは口座開設が必要です。

以下のボタンをクリックして開いたページで必要な情報を入力し、口座開設に進みます。

口座開設の詳しい手順」については、こちらのページで解説しています。

OANDA証券に興味がある方は、以下のボタンから口座開設をご検討ください。

OANDA証券の口座開設

【手順2】MT4のサブアカウントを開設しMT4をインストールする

口座開設完了後、MT4のサブアカウントを開設し、MT4をインストールします。

MT4(メタトレーダー4)のインストール手順については、こちらの記事で詳しく解説しています。

【手順3】EAを取得しMT4に取り込む

使いたいEAを用意します(自分で開発、購入、無料入手など)。

MT4を起動し、メニューバーの「ファイル」から「データフォルダを開く」を選択します。

インストール画面

出典:MT4

フォルダが開かれたら、EAのファイルを「MQL4」内の「Experts」フォルダの中にコピー&ペーストします。

フォルダ画面

貼り付けが完了したら、MT4を再起動します。

EAの取り込みはこれで完了です。

次の手順でMT4上で実際に稼働するように設定します。

【手順4】MT4 に取り込んだEAをチャート上で使えるようにする

MT4を開き、「ナビゲーター」→「エキスパートアドバイザ」を選択します。

MT4操作画面

出典:MT4

【手順3】で取り込んだEAを選択し、チャートにドラッグ&ドロップします。

MT4操作画面

出典:MT4

別ウィンドウが表示されるので、「全般」タブの「自動売買を許可する」にチェックをつけて、「OK」を選択します。

自動売買を許可する

出典:MT4

OKを選択後、チャートの右上に自動売買プログラム名と顔マークが表示されれば、チャートへの設定は完了です。

自動売買プログラム名と顔マークが表示される

出典:MT4

これで、MT4でEAを使えるようになります。

【手順5】EAをバックテスト(検証)し最適化する

EAを使い始める前に、そのEAが過去の値動きで利益を出せるのか検証する「バックテスト」を行うことが大切です。

また、バックテストの結果を基に、必要に応じてパラメーターの数値を最適化します。

MT4でEAのバックテストを行う方法EAの最適化の方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

【手順6】フォワードテストを行う

バックテストと最適化が完了したら、デモトレードまたは少額資金で実際にEAを動かし、期待していた結果が得られるかどうかを検証しましょう。

これをフォワードテストといいます。

バックテストやフォワードテストでしっかり結果を確認してから、本格的に取引を始めるというのが王道です。

FXの自動売買に関するQ&A

FXの自動売買に関して、よく見られる疑問点は以下の通りです。

  • ・自動売買はどこで手に入れられますか?
  • ・初心者は裁量取引と自動売買取引どちらがおすすめですか?
  • ・裁量取引との違いは何ですか?
  • ・システムトレードとは何ですか?

自動売買はどこで手に入れられますか?

MT4やMT5などのEAは、MT4の開発会社であるMetaQuotes社運営のマーケットシステムトレードのテラスなどで入手(購入できます)。

EAがどのようなものか確かめたい場合、まずは無料のものから試してみるのも、1つの選択肢となります。

一方、リピート型や選択型は、それらのサービスを提供するFX会社のツールで利用できます。

初心者は裁量取引と自動売買取引どちらがおすすめですか?

裁量取引と自動売買取引は、どちらも初心者にとってメリット・デメリットがあります。

「初心者でも上級者のような高度な取引をしやすい」「FX取引に時間を拘束されない」という点では、自動売買はFX初心者に適しています。

その一方、自分の判断でエントリーやエグジットを繰り返して相場感覚を養いたい場合は、裁量トレードが望ましいです。

リスクを抑えながらどちらも少しずつ試し、徐々に自分に適した方にシフトしていくことが推奨されます。

裁量取引との違いは何ですか?

自動売買と対になる取引手法は、裁量取引(裁量トレード)です。

裁量取引とは、全ての売買を自分の判断で行う方法のことです。

両者の違いを表にまとめると、以下の通りです。

 
自動売買 裁量取引
売買判断 取引毎に自分で売買を判断しない (予め売買プログラムに設定した条件に沿って、自動で売買をする) 取引毎に自分で売買を判断する
売買方法 自動 手動
取引できるタイミング 24時間 発注は取引ツールを使っているときのみ
相場分析の必要性 初回のツール設定時に分析し、取引開始後も時折分析が必要 取引ごとに分析が必要
コスト

・FX取引手数料(スプレッド)

・自動売買ツールや自動売買ソフトの利用料

・自動売買ソフトの購入費用

※手数料や購入費用が発生するかどうかはツールによって異なる

FX取引手数料(スプレッド)のみ

上表の通り、自動売買は裁量取引と比較して「24時間取引できる」「相場分析の負担が軽くなる」などのメリットがあります。

システムトレードとは何ですか?

システムトレードとは、売買の判断をシステム的(機械的)に行うトレード方法を指します。

システム的な売買判断(ルール)に基づいて自動、または手動でトレードします。

広い意味では手動でのトレードも含みますが、自動売買そのものを表す言葉として用いられる場合もあります。

【まとめ】FXの自動売買とは|初心者向けに始め方やメリット・デメリットなど詳しく解説

FXの自動売買は、取引ツール上でプログラムが自動で売買を行う仕組みのことです。

FX自動売買プログラムは「プログラム型」「リピート型」「選択型」の3種類に分類されます。

トレーダー自身が取引しなくても、24時間自動でトレードが行われるので、取引ツールから離れていても利益を得られる可能性があります。

しかし、自動売買はどのような相場でも利益を出せるわけではない点に注意が必要です。

メリット・デメリットを理解し、FXや相場分析、プログラミングに関する知識と経験を考慮した上で利用することが推奨されます。

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