テクニカル分析解説

スラストアップ・スラストダウンとは?プライスアクションの基礎知識


スラストアップとは?

「スラスト」は「推進力」や「ぐいぐい押す」「押し分けて進む」といった意味で、値動きの強さを示します。

「スラストアップ」の成立条件は、前日のローソク足の高値を、当日のローソク足の終値が上回っていることです。
スラストアップ(勢いの証明)

「スラストアップ」の成立条件は、前日のローソク足の高値を、当日のローソク足の終値が上回っていることです。
前日につけた高値をさらに上回る上昇が続き、そこから下げることなく、前日高値を超える状態で終値をつけたことから、ロング勢の勢いが強かったことがわかります。 

「スラスト」は「貫通力」とも言い換えられます。
前日の高値を貫通し、かつそのまま大引けを迎えるのは買い圧力が強いからであり、上昇の勢いを示すサインです。
通常、前日高値は目先の抵抗帯になるものですが、その高値を超えても買いが続々と湧いてくるのは「高くても買いたい」という投資家が多い証拠です。
上昇トレンドに必要不可欠なのは高値更新ですから、その原動力になるのがスラストアップです。
上昇トレンドが続いている局面では連日のように出現して、高値を切り上げていく形です。

ここで重要なのは、スラストアップは連続して出現するほど勢いがあり、強いトレンドが発生していることを意味する点です。
強いトレンド(ここで言う強いとはモメンタムのこと)ほど安易に修正されないので、恒常的な上昇を示すサインとも言えます。
逆に、一日、二日のサインの点灯で、その後たちまち否定(安値を更新)されることがあれば、往々にしてトレンドレスの状況を示します。
スラストアップ自体がダマシのサインとなれば、逆に勢いがなくなったと受け止めるべきです。

さらに、前後のローソク足との比較も大事です。
例えば、前日が大陽線、かつ最高値をもって大引けした場合、当日の終値がそれを上回ってスラストアップになると、一見非常に勢いが強いように見えますが、貫通力の意味合いでは、むしろ前日陰線、かつスパイクハイのサインを点灯したケースのほうがより勢いが強いと思われます。
なにしろ、前日のスパイクハイの陰線がロング筋の苦戦や撤退を示すローソク足となるので、その後スラストアップのサインを確認できれば、貫通力が強いことをお分かりいただけるかと思います。
もちろん、単独ではそのように解釈できますが、サインが連続して点灯する場合は、原則論と個別のケースを分けて考えるほうが合理的です。

スラストダウンとは?

勢いの証明・スラストダウン
スラストダウン(勢いの証明)

 

「スラストダウン」はスラストアップとは反対に、前日の安値を当日の終値が下回る形のローソク足です。
目先の支持帯になりやすい前日の安値を割り込む下落が続き、そのまま前日安値を下回った価格で終値をつけます。
当日はショート勢の勢いが強く、売り一色の展開で、ロング勢の反撃余地がなかったことがわかります。

また、前日につけた安値に比べて、当日の終値の位置が低ければ低いほど、下落の勢いが強かったと判断できます。
下降トレンドが継続する条件は、安値がどんどん切り下がっていくことで、そのために必要なのがスラストダウンの連続です。
「安くても売りたい」と考えるショート勢が多いことや、「含み損が少ないうちに損切りしたい」というロング勢の投げ売りが、その値動きの背景にあると推測されます。

スラストダウンはスラストアップ同様、連続して出現するほど勢いがあり、強いトレンドであることを意味します。
強いトレンド(ここで言う強いとはモメンタムのこと)ほど安易に修正されないので、恒常的な下落を示すサインとも言えます。
逆に、一日、二日のサインの点灯で、その後たちまち否定(高値を更新)されることがあれば、往々にしてトレンドレスの状況を示します。
スラストダウン自体がダマシのサインとなれば、逆に勢いがなくなったと解釈すべきです。
強い下落から緩やかな下落、そしてトレンドレス(横ばい)に変化し、やがて反転していくといった市況の変化が、トレンド進行中のサインの否定から窺えます。
スラストというサインは、シンプルでありながら実戦では実に有効なツールになるので、ぜひご活用ください。

Provided by
陳 満咲杜(まさと)

中国・上海生まれ。
1992年来日、日本語学校を経て日本大学経済学部に入学。
生活費と学費をアルバイトでまかないながら在学中より株式投資を開始。
大学卒業後、中国情報専門紙の株式担当記者を経て黎明期(1999年)のFX業界へ。
香港や米国の金融機関で実務を重ね、トレーダーとしての経験を積む。
GCAエフエックスバンク マネージングディレクター、イーストヒルジャパン チーフアナリストを経て独立。
国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト。

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