テクニカル分析解説

はらみ足(インサイド)と包み足(アウトサイド)とは|意味や見方・活用方法について解説


ローソク足は、1本だけでも相場の動きを読み取ることができますが、2本以上組み合わせることで、より多くの事柄を推測できるようになります。

ここでは、相場の転機を示すサインとして知られるはらみ足(インサイド)と包み足(アウトサイド)について解説します。

はらみ足(インサイド)とは

はらみ足は、一般的に「天井」あるいは「大底」を示唆するものとされています。

とはいえ、日本で江戸時代の米相場から伝わる酒田五法と、主に海外で発達したプライスアクション理論では、見方が少し異なります。

  • ・一般的にはらみ足が示す意味
  • ・プライスアクションのインサイド

一般的にはらみ足が示す意味

ローソク足の値動きが、直前のローソク足の値動きの中にすっぽりと収まる形をはらみ足と呼びます。

酒田五法では、特に高値圏や安値圏で「天井」「大底」を示すサインとして、相場の転換時に出やすいと考えられています。

さらに、上昇局面・下落局面いずれの場合にも、はらまれたローソク足が寄引同時線(始値と終値が同じ価格)になると、「はらみ寄せ線」という特別な名称を持つより強力なサインとみなされます。

寄引同時線が極線(コマとも呼ばれ、実体が短く上下のヒゲの長さがほぼ同じ長さのローソク足)でも同じ意味を持ちます。

相場の上昇局面で大陽線が出現すると、売り方の投げ(買い戻し)が殺到していると考えられ、連続して陽線が作られることが期待されます。

しかし、その思惑に反して直前の大陽線の高値を超えることなく、次のローソク足がはらみ足となると、投げも尽きたと考えられ、相場は天井を形成するとみなされます。

(下落局面では、この逆の位置関係で考えます)

プライスアクションのインサイド

プライスアクションのインサイド

これに対して、プライスアクションによるはらみ足(インサイド)の考え方は、少し異なります。

はらまれたローソク足の分だけ相場のエネルギーは蓄積され、最初のローソク足の高値または安値をブレイクした方に、大きく動くと考えます。

酒田五法では、はらみ足はレンジ相場においてダマシが多いといわれますが、プライスアクションではローソク足の本数が多いほど、活用できるという見方ができます。

包み足(アウトサイド)とは

はらみ足と同様に、酒田五法では相場の「天井」「大底」を示すサインとして重要視されるのが包み足(アウトサイド)です。

  • ・一般的に包み足が示す意味
  • ・プライスアクションのアウトサイド

一般的に包み足が示す意味

包み足は、はらみ足と真逆のパターン、つまり直前のローソク足の値動きが、次のローソク足にすっぽりと包み込まれる組み合わせのことです。

その形から抱き線とも呼ばれます。

酒田五法においては、特に大陰線が直前の陽線を包む、あるいは大陽線が直前の陰線を包むパターンを重要視しています。

2本のローソク足を合成して考えると、前者は上ヒゲの伸びた陰線、後者は下ヒゲの伸びた陽線となります。

そのため、上昇や下落の勢いの衰えが読み取れ、天井圏、大底圏で見られた場合には、相場の転換を示唆すると考えられます。

プライスアクションのアウトサイド

プライスアクションのアウトサイド

プライスアクションの包み足(アウトサイド)の考え方は、酒田五法とは少し異なります。

上図のように、2本以上の連続した組み合わせとなるケースも多く、連続する本数が多いということはそれだけ売り買いが拮抗し、エネルギーが蓄積されている状態です。

これをブレイクした後には、その方向に大きく動くと考えます。

こちらも酒田五法では、レンジ相場での使用は控えるよう推奨されていますが、プライスアクションではローソク足の本数が多いほど活用できるという見方ができます。

はらみ足と包み足の見方

続いて、はらみ足と包み足の見方について解説します。

  • ・はらみ足の注目パターン
  • ・包み足の注目パターン

はらみ足の注目パターン

はらみ足の注目パターン

はらみ足には、陽線と陰線の組み合わせで、4つのパターン(陽の陰はらみ、陰の陽はらみ、陽の陽はらみ、陰の陰はらみ)があります。

そのうちで重要なのは、上図に示した陽の陰はらみ、陰の陽はらみです。

例えば、陽の陰はらみが高値圏で出現した場合、さらに上を買っていく投資家が減少している可能性が考えられます。

つまり、上昇相場のエネルギーが尽きたと推測でき、はらみ足の下値には大量のストップロスが想定されます。

このストップロスを狙う投資家も増えることになり、下値ブレイク後には大きな値動きにつながりやすくなります。

Tradingviewドル円日足チャートで包み足

出典:Trading View

上画像は、2024年の米ドル/円の日足チャートです。

2月13日に150円88銭の戻り高値をつけますが、この日のローソク足から16本連続したはらみ足が形成されています。

そして16日分のエネルギーがたまったタイミングの3月7日、日本銀行の金融政策変更関連のニュースの発表後に下値をブレイクすると、146円台まで急落しました。

包み足の注目パターン

包み足の注目パターン

包み足には、上図のように陰の陽包みと陽の陰包みの2つの重要なパターンがあります。

例えば、陰の陽包みの場合、直前の陽線のローソク足では強気であったものが、次の陰線で包まれたことで強気が否定されたと考えます。

前述の通り、2本のローソク足を合成して考えると、陰の陽包みは上ヒゲの長い陰線、陽の陰包みは下ヒゲの長い陽線となります。

包み足も、相場の重要局面で出現します。

Tradingviewドル円日足チャートで協力な包み足

出典:Trading View

上画像は2020年の米ドル/円の日足チャートで、10月21日に152円近辺まで上昇した後に、急落した時のものです。

10月21日に上ヒゲ・下ヒゲ共に長い大きな陰線が立ちましたが、その直前の6本のローソク足を包む包み足を形成し、その後の下落を示唆していたとも考えられます。

また、9月22日にも上下にヒゲを伸ばした陰線が出現しています。その前には包み足を形成し、その後にははらみ足を形成しており、上値をブレイクすると10月21日の高値まで上昇しました。

はらみ足と包み足の活用方法

ここでは、チャートソフトを用いて、はらみ足と包み足を活用する方法について解説していきます。

「TradingView」と、MT4/MT5用インジケーター「OANDA_Multi_Candle」を用います。

  • ・「TradingView」で活用する
  • ・「OANDA_Multi_Candle」で活用する

「TradingView」で活用する

TradingViewでは簡単な手順で、はらみ足と包み足の出現箇所にラベルを表示することができます。

Tradingviewで包み足を表示させる手順

出典:Trading View

TradingViewの画面上部にある「①インジケーター」をクリックし、「②パターン」から「③包み線」を選択します。

すると、下画像のようにチャート上に包み足が表示されます。

「BE」と描かれた赤のラベルは、弱気の包み線が出現した場所に表示されます。

(強気の包み線が出現した場所には、「BE」と描かれた青のラベルが表示されます)

はらみ足も、同様の手順で簡単に設定が可能です。

Tradingviewで包み足が表示されている画像

出典:Trading View

「OANDA_Multi_Candle」で活用する

OANDA証券では、MT4/MT5用のインジケーターを無料で提供しており、そのうちの「OANDA_Multi_Candle」は、はらみ足・包み足を応用して活用できるツールです。

「OANDA_Multi_Candle」は、表示しているチャートに、上位のローソク足を重ねて表示できるインジケーターです。

これを活用すれば、上位足におけるはらみ足・包み足を確認しながら、下位足の値動きを分析し、トレードのタイミングをはかることができます。

OANDA_Multi_Candleで包み足を表示

OANDA_Multi_Candle

「OANDA_Multi_Candle」の設定方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

【まとめ】はらみ足(インサイド)と包み足(アウトサイド)とは|意味や見方・活用方法について解説

はらみ足・包み足は、FX取引のチャート分析における重要なサインの1つです。

酒田五法では相場の「天井」や「大底」を示唆するサインとされ、プライスアクションではブレイクした方向に勢いが生まれると考えます。

これらのローソク足のパターンを理解することで、相場の転機やその後の値動きを予測できるようになるでしょう。

また、TradingViewやMT4/MT5用「OANDA_Multi_Candle」などを活用することで、優位性の高いエントリーポイントを見つけやすくなります。


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