テクニカル分析解説

欧米投資家は、なぜ「プライスアクション」を好むのか?


「プライスアクション」は、日本語では「値動き」を意味します。
プライスアクションの視点は、値動きそのものが発するメッセージを読み取る作法なのです。

なぜプライスアクションなのか?

それは、「利益はすべて値動きから生まれる」からにほかなりません。
言ってみれば、「相場の原点」や「相場の初心」であり、肝心な部分です。

特に、FXのトレードは勝者と同じだけ敗者がいる、典型的なゼロサムゲームの世界です。
株式投資は投資した企業が成長して、どんどん大きくなれば投資した人すべてが勝者になることも可能ですが、為替は通貨の交換関係の上に成り立つものである以上、買い手と売り手の定義はあくまで相対的なものに過ぎません。
片方の通貨(例えばドル)を買って儲けた人の裏側には、もう一方の通貨(例えば円)を買って損した人が必ずいるプラスマイナスゼロの厳しい世界です。

そのようなFXのトレードでは、株式投資のように「いい企業」「今後伸びる企業」をじっくり見守るといったファンダメンタルズ的な視点はあまり重要ではありません。
買い手と売り手のどちらが勝者で、どちらが敗者かを素早く値動きから読み取り、「勝ち馬に乗る」のがゼロサムゲームの世界にて生き残り、また利益を計上できる王道です。

FXの値動きは、買い手と売り手の戦いによって生まれます。
ロング勢とショート勢の攻防や均衡が直接値動きに反映されるわけです。
相場の世界では、さまざまなテクニカル指標(移動平均線、ボリンジャーバンド、一目均衡表など)が使われていますが、その計算式の土台になっているのは値動きです。
すなわちプライスアクションにほかなりません。
値動きを特定の計算式にいれて算出されたテクニカル指標は、いわば「加工食品」のようなものです。
それに対して、加工前の「生の食材」そのものを分析対象にしているのがプライスアクションなのです。

プライスアクションはすべてのテクニカル指標のシグナルの大元にあって、最も重要かつ直接的なシグナルを発してくれます。
日本の投資格言に、「相場のことは相場に聞け」という言葉があるように、「値動き自体が相場の本音」と言えるでしょう。

欧米投資家がプライスアクションを好む理由

値動きは、相場参加者の思惑や判断の集大成です。
すべての市場参加者は「自分は合理的な判断をして行動している」と考え、買いあるいは売りを仕掛けます。
その結果を端的に表しているのがプライスアクションで、そこには市場参加者らの判断根拠、あるいは行動ロジックが隠されているのです。

だからこそ、欧米投資家はプライスアクションを好みます。
欧米投資家が好んで使っているからこそ、市場において有効だと思われ、有効だからこそ、また盛んに使われるという循環が生まれます。
プライスアクションは、日本の罫線理論と似ているところもありますが、欧米投資家特有の見方やセンスも凝縮されています。
我々はまずそれを理解しなければなりません。
何故なら、日本の罫線が「日本語」であれば、「プライスアクション」は我々にとって「英語のような外国語」となるからです。
まず「外国語」を勉強し、慣れていく必要があります。

訓練に訓練を重ねて、欧米投資家の見方やロジックを身につければ、外国語を自由に使いこなせるかのように、相場の流れや値動きの方向性を読み取ることが可能です。

FXでは欧米投資家の動向を把握することが重要

ここで欧米投資家の見方やロジックを強調するのには理由があります。
金融市場は欧米投資家(メインは機関投資家)の動向に左右されるからです。
日本語のみでは対応しきれない恐れがあります。

グローバルなFX相場はもちろん、日本株式市場のようなローカル市場でさえ、外国投資家が7割のシェアを持つと言われており、日本語のみでは通用しないのも自明の理です。
だからこそ、プライスアクションは大事です。

プライスアクションは、いわば相場のDNAであり、永遠不変です。
たとえ、FX取引でシステムトレードが盛んになろうが、アルゴリズムやAI(人工知能)を使った手法が生まれようが、はたまたビットコインのような新しい投機相場が出現しようが、その背景には必ず人間の感情や心理、思考や行動パターンが詰め込まれています。
だとするならば、どれほどトレード手法が進化しても、プライスアクションの有効性は変わりません。

プライスアクションは、誰もが知っていれば知っているほど、陳腐化して有効性がなくなる、という性質のものではありません。
むしろ逆で、市場参加者の多くがプライスアクションを重視すればするほど、その有効性や確実性がなお一層増幅されます。

プライスアクションは投資家が合理的な行動を起こすロジックとなり、また人間の思考パターン、行動パターンを体系化したものだからこそ、相場のDNAと言われています。
相場のDNAを解読する直接的な手がかりがプライスアクションなので、その重要性をいくら強調しても強調しすぎることはありません。
簡単にいうなら、「プライスアクションは多くの投資家、特に欧米投資家に注目されているからこそ、有効に機能しやすい」です。
相場のことを相場に聞くなら、プライスアクションは欠かせないと断言できます。

Provided by
陳 満咲杜(まさと)

中国・上海生まれ。
1992年来日、日本語学校を経て日本大学経済学部に入学。
生活費と学費をアルバイトでまかないながら在学中より株式投資を開始。
大学卒業後、中国情報専門紙の株式担当記者を経て黎明期(1999年)のFX業界へ。
香港や米国の金融機関で実務を重ね、トレーダーとしての経験を積む。
GCAエフエックスバンク マネージングディレクター、イーストヒルジャパン チーフアナリストを経て独立。
国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト。

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