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ロボアドバイザーとは?ファンドとの違いをGT東京法律事務所の弁護士が解説


本記事の執筆者

 
肥沼誠(弁護士)
京都大学法学部卒(1995年)、早稲田大学大学院法務研究科卒(2007年)、ペンシルバニア大学ロースクール法学修士号取得(2014年)、日本と米国NY州の弁護士資格を持つ。
主に、コーポレート、M&A及び金融サービスを中心として業務を行っている。
ファンドの組成・運用、ライセンス及び規制対応に多くの経験を有し、幅広いファンド、ブローカー、金融機関及びFinTech企業(資金移動業者、暗号資産交換業者、オンライン証券会社、キャッシュマネジメントサービス、ポイントプログラム等)に対して助言も行っている。
GT東京法律事務所(Greenberg Traurig LLPの東京事務所)に所属。

1.ロボ・アドバイザーとは

フィンテックの一つとして、いわゆる「ロボ・アドバイザー」を利用した個人向けの投資サービスがあります。
ロボ・アドバイザーは、一般に、インターネットを通じて投資経験、資産、リスク許容度等に関するいくつかの質問を個人投資家に行い、これに対する回答に基づいて一定のコンピュータ・プログラムがその投資家にあった投資先を選別し、投資の助言や実行を行うサービスです。
ファンドも投資家の資金を運用する仕組みであるところ、ロボ・アドバイザーとの違いは、どこにあるでしょうか。

2.ロボ・アドバイザーとファンドの違い

2-1.誰が投資先を選ぶか

まず、ロボ・アドバイザーは、その名の通り人ではなく各社独自のプログラム(投資アルゴリズム)や人工知能(AI)が投資先をアドバイスしてくれるところに最大の特徴があります。
各投資家の属性に応じた投資資産の組み合わせを提案してくれるだけでなく、多くのサービスではそれらの資産への投資を実行し、運用期間中は投資アルゴリズムが分散投資の目的に合わせて自動的に資産間のバランスを調整してくれます。
ファンドの場合、その種類、戦略ごとに数多くのファンドがありそれぞれ投資先の資産や投資方針に違いがあるため、自己の投資目的に合ったファンドを自ら見つけ投資を行う必要があります。
法的には、ロボ・アドバイザーは投資顧問契約や投資一任契約に基づき各顧客のために投資の助言や投資判断を行うサービスにあたり、複数の投資家の資金をまとめてファンド・マネージャーが運用するファンドとは異なるものであると整理されます。

2-2.運用の目的

また、ロボ・アドバイザーは、個人の資産形成を目的とするものが代表的です。
このため、国内外の株式、債券、投資信託、ETFなどの資産に分散投資し、また積立投資を推奨するなど安定的な収益を目指すのが特徴です。
最低投資金額が1万円程度と手軽であり、手数料についても、AIやアルゴリズムで運用を行うため低コストであると言われ預入資産残高に対して年率1%程度と比較的安価です。
通常、資金の引出しや解約も自由にできます。
これに対して、投資信託のように個人向けのファンドもありますが、ヘッジファンドやプライベートエクイティファンド等のファンドは、機関投資家や富裕層を対象とし、様々な取引手法を駆使して市場の上下に関わらず絶対的な収益を目指します。
このため少なくとも1000万円程度の投資が必要とされ、解約にも制限があり自由に資金を引き出すことはできません。
手数料も、例えばヘッジファンドであれば、預入資産残高の2%の管理報酬に加え、運用益の20%~30%程度の成功報酬がファンドに支払われます。

2-3.アルゴリズムの使い方

なお、ファンドにも、ファンド・マネージャーのような人に運用を任せるのではなく、アルゴリズム等のプログラムで投資を行うものがあります。
もっとも、ロボ・アドバイザーは、一般的に、分散投資の観点で各個人投資家のリスク許容度の範囲で投資対象を選定するためにアルゴリズムを使用します。
これに対して、ファンドは、その種類や戦略により異なりますが、同一商品の市場間の価格差の発見、商品価格の値動きのトレンドの発見・追随、大量の売り・買い両方の注文を高速・高頻度で提示等、多くの場合市場の動向に着目しそれを投資に生かすためにアルゴリズムを利用します。


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