モメンタムとは|言葉の意味・計算方法・使い方を紹介
モメンタム(momentum)とは、金融の世界では相場の勢いを示すテクニカル指標を指します。
モメンタムを使用すれば、相場の方向性や転換点を見極めるのに役立ち、さらに売買タイミングを見極めることも可能です。
ただし、ダマシが存在することや値に上限/下限がないため、モメンタムのみで相場の動きを予測するのではなく、他のテクニカル指標を合わせて活用するのが大切です。
本記事では、モメンタムの使い方や、使用時の注意点について詳しく解説していきます。
モメンタムとは
一般的にモメンタム(momentum)は、「勢い」や「はずみ」など運動量や勢いを示す言葉として用いられます。
金融・証券用語としての意味は、相場の勢いを評価するオシレーター系のテクニカル指標のことを指します。
見方
モメンタムは、当日の終値とn日前の終値を比較して、その差がどれくらいあるかを表すオシレーター系指標です。現在と過去の価格差をグラフ化することで、相場に勢いがあるかどうかを判断することができます。
モメンタムの角度が急なほど、トレンドの勢いが強いことを表します。
基準となる0ライン(または100ライン)より上にあると強気相場、下にあると弱気相場と考えられます。
出典:MT4
計算方法
一般的なモメンタムの計算方法と、MT4/MT5に標準搭載されているモメンタム(Momentum)は、多少計算方法が異なります。とはいえ、両者に劇的な差異はないので、どちらも同じように扱うことができます。
一般的な計算式
一般的に、モメンタムは以下の計算式で、単純な差を求めます。基準は0ラインです。
モメンタム=当日の終値-n日前の終値 |
例えば、米ドル/円の当日の終値が140円、n日前の終値が135円なら、モメンタムは「140-135=5」となります。
逆に当日の終値が135円、n日前の終値が140円なら「-5」となります。
モメンタムの数値のプラスとマイナスが意味する内容は、以下の通りです。
モメンタム | 数値の大小 | 意味 |
プラス | 当日の終値>n日前の終値 | 上昇トレンドの可能性 |
マイナス | n日前の終値>当日の終値 | 下落トレンドの可能性 |
なお、「n日」の日数では「9〜14日」が特に多く用いられます。
MT4・MT5の計算式
MT4/ MT5に標準搭載されているMomentumは、比率を求めるのが特徴です。基準は100ラインです。
モメンタム=( 当日の終値 / n日前の終値 )×100 |
例えば、米ドル/円の当日の終値が150円、n日前の終値が130円なら、モメンタムは「(150÷130)×100=約115.38」となります。
逆に、当日の終値が130円、n日前の終値が150円なら、「(130÷150)×100=約86.67」となります。
「n日」の日数としては、MT4・MT5でも「9〜14日」が特に多く用いられます。
モメンタムの使い方
モメンタムの値は価格変動の勢いを表します。
価格の上昇幅が拡大している場合はモメンタムが上昇し、上昇幅が以前と同水準になればモメンタムは横ばいに、そして上昇幅が縮小するとモメンタムは下降することになります。
相場の勢いが強くなっているのか、弱くなっているのかを捉える先行指標として利用できます。
ここでは、MT4/MT5のモメンタムの使い方を説明していきます。
MT4/MT5では100ラインが中心で、その上下を価格が行き来します。
売買のタイミングは、100ラインを基準に考えます。
なお、デフォルトではレベルラインが引かれていませんが、プロパティのレベルタブから追加できます。
相場の勢いを確認する
下画像のように、モメンタムの角度が急な場合はトレンドに勢いがあることが分かります。一方、緩やかになっていたり横ばいの場合は、トレンドに勢いがなくなっていることが判断できます。
また、相場が高値・安値を更新したタイミングで、モメンタムが高値・安値を更新できていない時(ダイバージェンス)は、相場の転換期となる可能性が高くなります。
出典:MT4
相場のトレンドを確認する
モメンタムは、100ラインからどれだけ離れているかで、相場のトレンドがどちらに傾いているのか把握することができます。上方向に離れるほど「強い上昇トレンド」を、下方向に離れるほど「強い下落トレンド」を示します。
ただし、100ラインから離れていても、高い位置で横ばいの状態であれば、「下落トレンドへの転換が近づいている」可能性が考えられます。
逆に、低い位置で横ばいの状態であれば、「上昇トレンドへの転換が近づいている」可能性が考えられます。
モメンタムの活用方法
モメンタムには、以下のような活用方法があります。
- ・トレンドフォロー分析
- ・先行指標分析
トレンドフォロー分析
トレンドフォロー分析とは、トレンドを追随する際の指標として、モメンタムを用いる分析方法です。
以下の画像をご覧ください。
出典:TradingView
①のようにモメンタムがボトムをつけ、②の時点で反発を確認できたら、買いエントリーします。
その後は、③のように上昇トレンドが継続しています。
出典:TradingView
上の画像では、①でモメンタムがトップをつけたため、反発を確認できた②で売りエントリーをしています。
その後、③のようにしばらく下落トレンドが継続しています。
このように、モメンタムがボトム・トップをつけたことを確認して売買を行えば、相場のトレンドフォローを的確に行いやすくなります。
先行指標分析
先行指標分析とは「モメンタムを相場の先行指標とする分析」です。
出典:TradingView
上画像の①でチャートは上昇を続けていますが、同じタイミングでモメンタムは②のように下落しています。
その後、③のようにチャートも下落していきました。
このように、モメンタムは相場を先行(先取り)する指標となることがあります。
こうしたチャートとモメンタムの動きが逆行する状態を、ダイバージェンスといいます。
このダイバージェンスが発生しているとき、モメンタムは特に相場の先行指標として機能しやすくなります。
モメンタムを使用する際の注意点
モメンタムを使用して売買する際の注意点は、以下の通りです。
- ・ダマシが存在する
- ・基準が曖昧である
ダマシが存在する
モメンタムが100ラインを上抜けしたり、下抜けしたタイミングで売買をする方法は基本的な考え方ですが、100ライン付近で頻繁に交差することも多く、「ダマシ」となる可能性があります。なお、モメンタムの移動平均線を使用することで、モメンタムの動きを滑らかにして100ラインとの交差を少なくすることもできます。
MT5では、オシレーターのウィンドウに「ナビゲーター」から「Moving Average」をドラッグ&ドロップすることで、オシレーターの移動平均線を描画することができます。
基準が曖昧である
モメンタムが100ラインから極端に乖離した場合は、反転する可能性が示唆されます。ただし、乖離の度合いは主観的な判断になってしまいます。
主観を補うために、下記のようなテクニカル指標と組み合わせて判断すると良いでしょう。
- ・RSI
- ・MACD
- ・移動平均線
RSIは相場の「買われ過ぎ、売られ過ぎ」の状態を示す指標です。
モメンタムと組み合わせると「トレンドの転換点」を見つけやすくなります。
MACDは「トレンドの強弱」を示す指標です。
モメンタムと組み合わせると「トレンドの変化」を見つけやすくなります。
移動平均線は「短期・中期・長期の値動き」を示す指標です。
モメンタムと組み合わせると「売買シグナルの精度の向上」を図れます。
これら3つの指標とモメンタムを同時にチャートに表示すると、下画像のようになります。
出典:TradingView
モメンタムに関するQ&A
モメンタムに関して、よくある質問について回答します。
- ・ダイバージェンスとは何ですか?
- ・モメンタムとROCの違いは何ですか?
- ・モメンタムが強いとはどういう意味ですか?
ダイバージェンスとは何ですか?
ダイバージェンスとは、ローソク足とオシレーター系指標が逆行する現象のことで、相場が反転する可能性を示すシグナルです。ダイバージェンスは「強気のシグナル」と「弱気のシグナル」に分かれます。
- ・強気:チャートは安値を更新しているが、オシレーターの安値は切り上がっている
- ・弱気:チャートは高値を更新しているが、オシレーターの高値は切り下がっている
モメンタムとROCの違いは何ですか?
出典:TradingView
モメンタムがn期間前との差を表すのに対して、ROCは比率で表すのが特徴です。
つまり、MT4/ MT5で標準搭載のモメンタムとほぼ同じですが、ROCは0ラインが中心となります。
モメンタムが強いとはどういう意味ですか?
モメンタムが強いとは「相場の勢いが強く、上昇トレンドである」という意味です。
逆に、モメンタムが弱いとは「相場の勢いが弱く、下落トレンドである」ことを意味します。
出典:TradingView
モメンタムがゼロラインより上の黄色のゾーンにあるときは「モメンタムが強い」状態です。
逆に、ゼロラインより下の水色ゾーンにあるときは「モメンタムが弱い」状態を示します。
【まとめ】モメンタムとは|言葉の意味・計算方法・使い方を紹介
モメンタム(momentum)は「勢い」や「はずみ」などを指す言葉として用いられ、金融・証券用語としての意味は、相場の勢いを評価するオシレーター系のテクニカル指標のことを指します。
MT4/MT5でモメンタムを利用する場合、モメンタムが100ラインを上抜け、下抜けするタイミングで売買を検討することができます。
ただし、ダマシがあることには注意する必要があります。
ダマシを減らすには、時間足の長さや算出期間を調整したり、他のテクニカル指標と組み合わせて判断することが有効です。
本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。