用語解説

成行(なりゆき)注文とは|使い方・メリット・デメリットを解説


成行注文とは「価格を指定せずに注文する方法」のことです。

成行注文はFX取引の基本的な注文方法であり、もう1つの代表的な注文方法である指値注文と並んで、最初に理解すべき注文方法です。

本記事では、成行注文の使い方や、指値注文との違い、メリット・デメリットなどを解説します。

これからFX取引を始める方や、FXの基礎知識を理解したい方は、ぜひ参考にしましょう。

成行(なりゆき)注文とは?

成行注文とは「売買の価格を指定しない注文方法」のことです。

価格を指定せず、「その時点において売買が成立する価格」で約定(取引成立)します。

その対となるのが、価格を指定する「指値注文」で、両者の違いは以下の図の通りです。

成行注文の仕組み

成行注文は「現在の価格で売買したい」場面で用います。

ただし、発注から約定までの間に、価格がわずかにずれるスリッページが発生することもあります。

成行(なりゆき)注文の使い方

成行注文の使い方は、MT4(メタトレーダー4)やMT5(メタトレーダー5)であれば「ワンクリック注文」を使うのが簡単です。

ワンクリック注文のボタンは、初期設定で画面の左上に、下図のように表示されます。

ワンクリック注文
出典:MT4

成行売りは左側の「SELL」のボタン、成行買いは右側の「BUY」のボタンをクリックします。

レートの数字は、その時点の売値・買値で、スリッページが発生しなければ、この価格で売買できます。

売買する数量(取引数量)は、中央の数字の部分で決めます。

単位はlot(ロット)で、1ロットが何通貨かはFX会社や通貨ペアによって異なります。

(OANDA証券の米ドル/円の場合、0.01ロット=1,000通貨から取引を行えます)

ボタンの色は、青が「直近より値上がりした」ことを、赤が「直近より値下がりした」ことを意味しています。

上図の右側の通り、赤・青の配色については4通りのパターンがあります。

成行(なりゆき)注文のメリット・デメリット

ここでは、成行注文のメリットとデメリットを解説します。

メリット

成行注文のメリットは、基本的に約定することと、約定のスピードが速いことです。

成行注文は「価格がいくらであろうと、その時点で成立する価格で売買する」という注文方法です。

指値注文のように「いくらになったら売買する」という条件がないため、ほとんどの場面で約定します。

また、約定スピードも速く、注文とほぼ同時に完了することが多いです。

なお、急激に価格変動した場合には、約定しないケースや、自分の想定とは乖離したレートで約定するケースもあるので注意が必要です。

デメリット

成行注文のデメリットは、売買価格が自分の想定とずれる「スリッページ」が発生する場合がある点です。

スリッページが起きる理由は、注文がFX会社のサーバに到達するまでに、わずかなタイムラグがあるためです。

下図は、米ドル/円の新規売りを成行注文した例です。トレーダーは12時ジャストに140.00円で注文していますが、それがFX会社のサーバに届くまでに0.05秒要したとします。

すると、そのわずかな間に価格が変動して、「想定より高い(安い)価格での売買になる」こともあります。

スリッページの仕組み

この価格が「有利な方向」にずれたら「ポジティブスリッページ」、不利な方向にずれたら「ネガティブスリッページ」といいます。

一般的にスリッページというと「ネガティブスリッページ」を指します。

成行(なりゆき)注文に関するQ&A

成行注文に関してよく見られる疑問点は、以下の通りです。

  • ・指値注文との違いは何ですか?
  • ・成行注文と指値注文はどちらが優先的に約定されますか?

指値注文との違いは何ですか?

成行注文と指値注文の違いは、以下の通りです。

  • ・価格を指定するかしないか
  • ・スリッページがあるかないか
  • ・約定がほぼ確実か、確実でないか
  • ・約定のスピードが速いか遅いか

それぞれの違いを表にまとめると、以下の通りです。

違い 成行注文 指値注文
価格の指定 しない する
スリッページ(ネガティブ) 起きる 起きない
約定の確実性 確実性が高い 不確実
約定のスピード 速い 遅い

約定の確実性とスピードについては、指値の価格を「いくらにするか」にもよります。

現時点から乖離した価格に設定すれば、長期間その価格に到達しない可能性もあるため、約定は不確実で、スピードは遅くなります。

逆に、現時点に近い価格に設定すれば、確実性は高く約定までのスピードも速くなります。

成行注文と指値注文はどちらが優先的に約定されますか?

成行注文と指値注文では、成行注文が優先して約定されます。

その理由は、「取引所取引」か「相対取引」かによって異なります(株式は取引所取引、国内FXは相対取引が主流です)。

取引所取引には「価格優先の原則」と呼ばれるルールがあります。

これは「安い売り注文・高い買い注文」ほど優先されるというルールです。

そして、成行注文はその性質上、自動的に「最も安い売り注文・最も高い買い注文」となります。

このため、下図のようにどのような場面でも、指値注文より優先されます。

成行注文優先の仕組み

①については、一番安い売り手が成行であるため、指値よりも優先されます。

②については、140円の安い売り手がいるものの、成行が優先して140円で約定します。

価格優先の原則では「成行注文は指値注文よりも優先する」というルールが決まっているためです。

取引所取引では、市場を通して上図のように不特定多数の売り手と買い手が取引を行い、上図のような仕組みで成行が指値より優先されます。

一方、FX取引では、各社のルールによって指値注文と成行注文の優先順位が定められています。

OANDA証券では、指値注文があっても、成行注文がある場合には、成行注文が先に執行されます。

OANDA証券の取引ルールはこちらのページで解説しています。

【まとめ】成行(なりゆき)注文とは|使い方・メリット・デメリットを解説

成行注文とは「レートを自分で指定せず、現在提示されているレートで発注する注文方法」のことです。

指値注文と合わせて、それぞれメリットとデメリットがあるため、特性をよく理解した上で、状況に合わせて使い分ける必要があります。

FX取引を行う前に、成行注文についてしっかりと理解しておきましょう。


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