RSIとは|計算式・見方・設定方法を解説
RSI(相対力指数)とは、相場の過熱感(買われすぎ、売られすぎ)を示すオシレーター系のインジケーターのことです。
RSIを使用することで、主に逆張りの売買タイミングなどを分析することができます。
しかし、RSIが苦手とする相場環境の場合、サインとは反対方向へ価格が動くダマシが発生することもあります。
そのため、RSIの性質や、得意とする相場環境をしっかり理解しておくことが重要です。
本記事では、RSIの意味・使い方・設定方法を詳しく解説していきます。
目次
- 1.RSIとは
- 2.RSIの使い方
- 3.RSIと他のインジケーターを組み合わせた取引手法
- 4.RSIの設定方法
- 5.RSIと他のテクニカル指標の違い
- 6.RSIを使う際の注意点
- 7.RSIに関するQ&A
- 8.OANDAが提供する「マルチタイムフレームのRSI(OANDA_Multi_RSI)」
- 9.【まとめ】RSIとは|計算式・見方・設定方法を解説
RSIとは
RSI(Relative Strength Index)は、日本語で「相対力指数」と呼びます。
オシレーター系のインジケーターで、相場の買われすぎ・売られすぎを分析することができます。
ここでは以下について解説していきます。
- ・RSI(Relative Strength Index)の見方
- ・RSIの一般的な計算式
- ・RSIの一般的な期間(パラメーター)
RSI(Relative Strength Index)の見方
出典:TradingView
RSIはメインチャート上ではなく、サブチャートに表示されます。
RSIの数値は0~100%の間で推移し、その値がどの水準に位置しているかによって、相場の過熱感を判断することが可能です。
RSIの一般的な計算式
RSIは以下の計算式で求められます。
- ・A=一定期間の上昇幅の合計
- ・B=一定期間の下落幅の合計
上記の数式は、一定期間の上下変動の中で、上昇した割合を算出しています。
RSIの一般的な期間(パラメーター)
RSIの期間は、開発者であるJ・W・ワイルダー氏が推奨する「14日間」が、多くのトレーダーに利用されています。
MT4/MT5などの取引ツールでも、デフォルト値として14日間を採用している場合が多い傾向にあります。
RSIの期間を短くすると、より相場の値動きに敏感な動きをしますが、その分ダマシも多くなります。
一方、RSIの期間を長くすると、ゆったりとした動きをする分、相場の値動きから遅れる性質を持ちます。
初心者のうちは、期間を14日間に設定すると良いでしょう。
RSIの使い方
RSIは、相場が過熱して買われすぎ・売られすぎになった後に、反転するタイミングを分析するのに役立ちます。
ここではRSIを使った、以下の項目について解説します。
- ・買いシグナル
- ・売りシグナル
- ・ダイバージェンス
- ・ラインやフォーメーション分析
買いシグナル
RSIが30%を下回った状態は相場が売られすぎている状態を表します。
30%を下回り、売られすぎの状態から30%を上抜ける動きを見せた場合は、買い戻しが強まる可能性が高く、買いのシグナルの目安となります。
売りシグナル
RSIが70%を上回った状態は相場が買われすぎている状態を表します。
70%を上回り、買われすぎの状態から70%を下抜ける動きを見せた場合は、売り戻しが強まる可能性が高く、売りのシグナルと考えられています。
ダイバージェンス
ダイバージェンスとは、ローソク足が示す値動きの方向性と、RSIの方向性が逆行する現象を指します。
主にトレンドが転換するサインと考えることができます。
下のチャート画像では、ローソク足が高値を切り上げる値動きとなっているのに対し、RSIは高値を切り下げています。
これがトレンド転換のサインとなり、その後に相場は下落に転じていることが分かります。
出典:TradingView
その下落が進んだところで、今度はローソク足が安値を切り下げる値動きになっているのに対し、RSIは安値を切り上げる動きになりました。このダイバージェンスの後に、相場は上昇に転じていることが分かります。
このようにダイバージェンスの発生は、トレンド転換の可能性を示唆します。
ラインやフォーメーション分析
RSIの応用的な使い方として、RSIにトレンドラインを引くまたはフォーメーション分析を行うという方法もあります。
下のチャート画像では、RSIにトレンドラインを引き、トレンドラインを抜ける動きとなったところに矢印を付けています。
出典:TradingView
RSIがトレンドラインを抜けた方向に価格が動く傾向があることを確認できます。
またトレンドラインのみならず、ダブルトップやダブルボトム、ヘッドアンドショルダー、トライアングルなどのフォーメーション分析でも同様に機能する場合があります。
下のチャート画像では、数回トライアングルが出現し、いずれも均衡が崩れた方向に向かって価格が勢いづく動きになっています。
出典:TradingView
RSIと他のインジケーターを組み合わせた取引手法
RSIによる分析ではダマシも発生します。
ダマシに遭うと損失を被る可能性がありますが、RSI以外のインジケーターを組み合わせて使うことにより、そのリスクを軽減できます。
ここでは、RSIと他のインジケーターを組み合わせる取引手法を2パターン解説します。
- ・RSI×MACD
- ・RSI×ボリンジャーバンド
RSI×MACD
RSIとMACDを組み合わせた取引手法について紹介します。
下画像のRSIを見ると、30%を下回って売られすぎのサインが出ており、買いを狙う場面です。
しかし、価格は下落を続けており、ダマシが発生しています。
出典:TradingView
そこでMACDを組み合わせ、その売買シグナルであるゴールデンクロスが発生したタイミングで買うことを検討します。
このようにMACDと組み合わせることで、より優位性の高い場面でのエントリーが可能となります。
MACD
についてはこちらの記事で詳しく解説しています。RSI×ボリンジャーバンド
RSIとボリンジャーバンドを組み合わせた取引手法は、いくつか方法が存在します。
1つ目はサブチャートにRSIを表示し、メインチャートにボリンジャーバンドを表示する方法です。この方法は一般的で、多くのトレーダーに利用されています。
2つ目はサブチャート上のRSIにボリンジャーバンドを表示する方法です。
こちらについても、長く為替トレーディングの第一線で活躍されてきた山中康司(やまなかやすじ)氏監修のもと、詳しく解説しているのでぜひご参考ください。
RSIの設定方法
ここではRSIを使うにあたって、以下の取引プラットフォームでRSIを表示させる方法を紹介します。
- ・MT4
- ・MT5
- ・TradingView
MT4(メタトレーダー4)
MT4を起動し、上部メニューバーの「挿入」→「インディケータ」→「オシレーター」→「Relative Strength Index」を選択します。
出典:MT4
MT5(メタトレーダー5)
MT5を起動し、上部メニューバーの「挿入」→「インディケータ」→「オシレーター」→「Relative Strength Index」を選択します。
出典:MT5
TradingView(トレーディングビュー)
TradingViewを起動し、上部メニューの「インジケーター」をクリック→テクニカルの一覧から「RSI(相対力指数)」を選択します。
検索窓に「RSI」と入力して検索することで、素早く見つけることができます。
出典:TradingView
RSIと他のテクニカル指標の違い
RSIと以下2つのテクニカル指標との違いについて解説します。
- ・RSIとRCIの違い
- ・RSIとストキャスティクスの違い
RSIとRCIの違い
RSI(相対力指数)とRCI(順位相関指数)の違いについて解説します。
RSIは一定期間の上昇幅と下落幅の大小関係を示した指標です。
対して、RCIは一定期間の価格が高いものからランキング化し、計測した地点の時間順位と比較して算出した指標です。
RCI
では、価格の変動幅が考慮されないため、RSIとは異なり、急な値動きに対応しにくい特徴があります。RSIとストキャスティクスの違い
RSI(相対力指数)とストキャスティクスの違いについて解説します。
RSIは一定期間の上昇幅と下落幅の大小関係を示した指標です。
対して、ストキャスティクスは日本語で「推計統計学」と呼ばれ、一定期間の最高値と最安値を基準として終値の水準を表したテクニカル指標です。
ストキャスティクスは「%K」「%D」(「Slow%D」)という線を表示し、0~100%の数値で相場の過熱度を計測します。
ストキャスティクス
についてはこちらの記事で詳しく解説しています。RSIを使う際の注意点
RSIを用いる際の注意点は以下の通りです。
- ・ダマシに注意する
- ・RSIだけで取引しない
ダマシに注意する
オシレーター系のRSIは、一定の値幅を行き来するレンジ相場を得意とする一方で、明確な方向性を示すトレンド相場を苦手とします。
特に、強いトレンドが発生した際は、以下のようなダマシも発生するので注意しましょう。
出典:TradingView
上画像のようにトレンドが明確に形成される局面では、逆張りを狙ったトレードが機能しにくいため、注意が必要です。
RSIだけで取引しない
1つのテクニカル指標だけでは分析できる範囲に限りがあります。
RSIのダマシを避けるためにも、先述のMACDやボリンジャーバンドなど、他の指標と組み合わせて複合的に分析することが重要です。
その他の指標では、例えばADX(平均方向性指数)をMACDと同時に用いるのが有効です。
RSI・MACD・ADXの3つの指標を併用することで、より精度の高い分析が可能となります。
出典:TradingView
上画像を見ての通り、チャートが上昇している期間のRSIは「70〜100%」で、終始売りのサインが出ています。
一方、MACDはRSIの売りサインと同時にゴールデンクロスが発生しており、「上昇トレンド=買いのサイン」を示しています。
つまり、この相場ではRSIとMACDのサインが相反しています。
このような時、どちらが正しいかを見るためにADXを併用するのが有効です。
ADXはトレンドの強さを測る指標で、40%以上なら「強いトレンド」を示します。
上の画像でADXは40%以上の状態が続いているため、この相場は「強い上昇トレンドにある」と判断できます。
この環境においては、RSIよりMACDのサインが正しく、「買い」と判断できるわけです。
このように、MACDやADXを加えて複合的に分析することで、より優位性の高いトレードを目指すことができます。
RSIに関するQ&A
ここではRSIに関してよく見られる、以下の疑問点について解説していきます。
- ・RSIに弱点はありますか?
- ・RSIが高いとどうなりますか?
- ・RSIの期間は何日で設定したらいいですか?
- ・RSIは使えないって本当ですか?
RSIに弱点はありますか?
RSIの弱点は、トレンド相場では機能しづらい傾向があることです。
強いトレンドが発生している場合には、買われすぎや売られすぎの水準を示し続けてしまったり、調整局面でダマシのサインを出すことがあります。
また、RSIは短期的な値動きの判断を得意としており、長期的な値動きの判断では使いづらいという側面もあります。
RSIが高いとどうなりますか?
RSIが高い場合、その相場は「買われすぎ」と判断できます。
一般的に「70%以上なら買われすぎ、30%以下なら売られすぎ」というのが、RSIを分析する場合の基準です。
RSIが買われすぎになると、売りの圧力が増して価格下落に転じる可能性が高くなります。
反対に、売られすぎになると、買いの圧力が増して価格が上昇に転じる可能性が高くなります。
RSIの期間は何日で設定したらいいですか?
RSI(相対力指数)の期間は、「14日間」が推奨されます。
期間を短くすると、相場の変動に敏感に反応しますがダマシが増え、期間を長くすると反応が緩やかになり相場の動きから遅れることがあるため注意が必要です。
RSIは使えないって本当ですか?
RSIに限らず、1つのテクニカル指標だけでは分析できる範囲に限りがあります。
RSIにもダマシがあるので、RSI単体では使えない場面もあります。
そのため、RSIのダマシを避けるためにも、MACDやボリンジャーバンドなど、他の指標と組み合わせて複合的に分析することが重要です。
OANDAが提供する「マルチタイムフレームのRSI(OANDA_Multi_RSI)」
OANDA証券では口座をお持ちの方に、独自技術で開発した様々なオリジナルインジケーターを提供しています。「マルチタイムフレームのRSI(OANDA_Multi_RSI)」もその1つであり、表示している時間足よりも長い時間足のRSIをMT4/MT5上に表示することが可能です。
例えば以下の画像のように、1時間足チャート上に4時間足や日足のRSIを表示できます。
出典:MT4
その他にもOANDA証券では様々なオリジナルインジケーターを無料で提供しています。ぜひ口座開設を検討し、オリジナルインジケーターを利用してください。
マルチタイムフレームのRSI(OANDA_Multi_RSI)
についてはこちらの記事で使い方を解説しています。【まとめ】RSIとは|計算式・見方・設定方法を解説
RSIは「相場の過熱感」を判断するのに役立つ指標です。
上記の点も含め、要点をまとめると以下の通りです。
- ・RSIは「買われすぎ・売られすぎ」を示す指標
- ・70%以上なら買われすぎ、30%以下なら売られすぎ
- ・MACDやボリンジャーバンドなどと組み合わせることで、より良い分析が可能となる
ここで紹介したMACD・ボリンジャーバンド・ADX以外にも、RSIと組み合わせられる指標は多く存在します。
様々な指標と組み合わせながらRSIを活用することで、精度の高いトレードを行えるようになるでしょう。
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