RSIとは|計算式・見方・設定方法を解説
RSI(相対力指数)とは、相場の過熱感(買われすぎ、売られすぎ)を示すオシレーター系のインジケーターのことです。
RSIを使用することで、主に逆張りの売買タイミングなどを分析することができます。
しかし、RSIが苦手とする相場環境の場合、サインとは反対方向へ価格が動くダマシが発生することもあります。
そのため、RSIの性質や、得意とする相場環境をしっかり理解しておくことが重要です。
本記事では、RSIの意味・使い方・設定方法を詳しく解説していきます。
RSIとは?
RSI(Relative Strength Index)は、日本語で「相対力指数」と呼びます。オシレーター系のインジケーターで、相場の買われすぎ・売られすぎを分析することができます。
出典:TradingView
RSIはメインチャート上ではなく、サブチャートに表示されます。
RSIの数値は0~100%の間で推移し、その値がどの水準に位置しているかによって、相場の過熱感を判断することが可能です。
RSIの計算式
RSIは以下の計算式で求められます。
- ・A=一定期間の上昇幅の合計
- ・B=一定期間の下落幅の合計
上記の数式は、一定期間の上下変動の中で、上昇した割合を算出しています。
RSIの見方・使い方
ここではRSIの見方と使い方を、以下の項目に分けて説明します。
- ・売買シグナル
- ・ダイバージェンス
- ・ラインやフォーメーション分析
売買シグナル
RSIは相場が過熱して買われすぎ・売られすぎになった後に、反転するタイミングを分析するのに役立ちます。
例えば、RSIが30%を下回るほど売りが過熱した後に反発し、30%を上抜ける動きを見せた場合は、買い戻しが強まる可能性が高いと考えられます。
逆に、RSIが70%を上回るほど買いが過熱した後に反落し、70%を下抜ける動きを見せた場合は、調整売りが強まる可能性が高いと考えられます。
下図では、RSIが30%を下回った後に、または70%を上回った後に、相場が反転しているケースが多いことを確認できます。
出典:TradingView
このように、RSIは相場の転換を示唆する指標のため、反転を狙った逆張りエントリーのシグナルとして使用することができます。
ダイバージェンス
ダイバージェンスとは、ローソク足が示す値動きの方向性と、RSIの方向性が逆行する現象を指します。
主にトレンドが転換するサインと考えることができます。
下のチャート画像では、ローソク足が高値を切り上げる値動きとなっているのに対し、RSIが高値を切り下げています。
そして、これがトレンド転換のサインとなり、その後に相場は下落に転じていることが分かります。
出典:TradingView
その下落が進んだところで、今度はローソク足が安値を切り下げる値動きになっているのに対し、RSIが安値を切り上げる動きになりました。このダイバージェンスの後に、相場は上昇に転じていることが分かります。
このようにダイバージェンスの発生は、トレンド転換の可能性を示唆します。
ラインやフォーメーション分析
RSIの応用的な使い方として、RSIにトレンドラインを引くまたはフォーメーション分析を行うという方法もあります。
下のチャート画像では、RSIにトレンドラインを引き、トレンドラインを抜ける動きとなったところに矢印を付けています。
出典:TradingView
RSIがトレンドラインを抜けた方向に価格が動く傾向があることを確認できます。
またトレンドラインのみならず、ダブルトップやダブルボトム、ヘッドアンドショルダー、トライアングルなどのフォーメーション分析でも同様に機能する場合があります。
下のチャート画像では、数回トライアングルが出現し、いずれも均衡が崩れた方向に向かって価格が勢いづく動きになっています。
出典:TradingView
RSIの期間(パラメータ)
RSIの期間は、開発者であるJ・W・ワイルダー氏が推奨する「14日間」が、多くのトレーダーに利用されています。
MT4/MT5などの取引ツールでも、デフォルト値として14日間を採用している場合が多いです。
RSIの期間を短くすると、より相場の値動きに敏感な動きをしますが、その分ダマシも多くなります。
一方、RSIの期間を長くすると、ゆったりとした動きをする分、相場の値動きから遅れる性質を持ちます。
初心者のうちは、期間を14日間に設定すると良いでしょう。
RSIと他のインジケーターを組み合わせた取引手法
前述の通り、RSIによる分析ではダマシも発生します。
ダマシに遭うと損失を被る可能性がありますが、RSI以外のインジケーターを組み合わせて使うことにより、そのリスクを軽減できます。
ここでは、RSIと他のインジケーターを組み合わせる取引手法を2パターン解説します。
- ・RSI×MACD
- ・RSI×ボリンジャーバンド
RSI×MACD
RSIとMACDを組み合わせた取引手法について紹介します。
下のチャート画像のRSIを見ると、30%を下回って売られすぎのサインが出ており、買いを狙う場面です。
しかし価格は下落を続けており、ダマシになっています。
出典:TradingView
そこでMACDを組み合わせ、その売買シグナルであるゴールデンクロスが発生したタイミングで買うことを検討します。
このようにMACDと組み合わせることで、より優位性の高い場面でのエントリーが可能となります。
MACDに関してはこちらの記事で解説していますので、詳しく知りたい人はこの記事と合わせて読んでみましょう。
RSI×ボリンジャーバンド
RSIとボリンジャーバンドを組み合わせた取引手法は、いくつか方法があります。
1つ目はサブチャートにRSIを表示し、メインチャートにボリンジャーバンドを表示する方法です。この方法は一般的で、多くのトレーダーに利用されています。
2つ目はサブチャート上のRSIにボリンジャーバンドを表示する方法です。
こちらについても、長く為替トレーディングの第一線で活躍されてきた山中康司(やまなかやすじ)氏監修のもと、詳しく解説しているのでぜひご参考ください。
RSIの設定方法
ここでは、MT4/MT5、TradingViewといった取引プラットフォームでRSIを表示させる方法を紹介します。
MT4(Meta Trader4)
MT4を起動し、上部メニューバーの「挿入」→「インディケータ」→「オシレーター」→「Relative Strength Index」を選択します。
出典:MT4
MT5(Meta Trader5)
MT5を起動し、上部メニューバーの「挿入」→「インディケータ」→「オシレーター」→「Relative Strength Index」を選択します。
出典:MT5
TradingView(トレーディングビュー)
TradingViewを起動し、上部メニューの「インジケーター」をクリック→テクニカルの一覧から「RSI(相対力指数)」を選択します。
検索窓に「RSI」と入力して検索すれば素早く見つけられます。
出典:TradingView
RSIを使う際の注意点
RSIを用いる際の注意点は以下の通りです。
- ・ダマシに注意する
- ・RSIだけで取引しない
ダマシに注意する
オシレーター系のRSIは、一定の値幅を行き来するレンジ相場を得意とする一方で、明確な方向性を示すトレンド相場を苦手とします。
特に、強いトレンドが発生した際は、以下のようなダマシも発生するので注意しましょう。
出典:TradingView
上画像のようにトレンドが明確に形成される局面では、逆張りを狙ったトレードが機能しにくいので、注意が必要です。
RSIだけで取引しない
1つのテクニカル指標だけでは分析できる範囲に限りがあります。
RSIのダマシを避けるためにも、先述のMACDやボリンジャーバンドなど、他の指標と組み合わせて複合的に分析することが重要です。
その他の指標では、例えばADX(平均方向性指数)をMACDと同時に用いるのが有効です。
RSI・MACD・ADXの3つの指標を併用することで、より精度の高い分析が可能となります。
出典:TradingView
上画像を見ての通り、チャートが上昇している期間のRSIは「70〜100%」で、終始売りのサインが出ています。
一方、MACDはRSIの売りサインと同時にゴールデンクロスが発生しており、「上昇トレンド=買いのサイン」を示しています。
つまり、この相場ではRSIとMACDのサインが相反しています。
このような時、どちらが正しいかを見るためにADXを併用するのが有効です。
ADXはトレンドの強さを測る指標で、40%以上なら「強いトレンド」を示します。
上の画像でADXは40%以上の状態が続いているため、この相場は「強い上昇トレンドにある」と判断できます。
この環境においては、RSIよりMACDのサインが正しく、「買い」と判断できるわけです。
このように、MACDやADXを加えて複合的に分析することで、より優位性の高いトレードを目指すことができます。
RSIに関するQ&A
ここではRSIに関してよく見られる、以下の疑問点に答えていきます。
- ・RSIに弱点はありますか?
- ・RSIが高いとどうなりますか?
RSIに弱点はありますか?
RSIの弱点は、トレンド相場では機能しづらい傾向があることです。
強いトレンドが発生している場合には、買われすぎや売られすぎの水準を示し続けてしまったり、調整局面でダマシのサインを出すことがあります。
また、RSIは短期的な値動きの判断を得意としており、長期的な値動きの判断では使いづらいという側面もあります。
RSIが高いとどうなりますか?
RSIが高い場合、その相場は「買われすぎ」と判断できます。
一般的に「70%以上なら買われすぎ、30%以下なら売られすぎ」というのが、RSIを分析する場合の基準です。
RSIが買われすぎになると、売りの圧力が増して価格が下落に転じる可能性が高くなります。
反対に、売られすぎになると、買いの圧力が増して価格が上昇に転じる可能性が高くなります。
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出典:MT4
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マルチタイムフレームのRSI(OANDA_Multi_RSI)についてはこちらの記事で使い方を解説しています。【まとめ】RSIとは|計算式・見方・設定方法を解説
RSIは「相場の過熱感」を判断するのに役立つ指標です。
この点も含め、要点をまとめると以下の通りです。
- ・RSIは「買われすぎ・売られすぎ」を示す指標
- ・70%以上なら買われすぎ、30%以下なら売られすぎ
- ・MACDやボリンジャーバンドなどと組み合わせることで、より良い分析が可能となる
ここで紹介したMACD・ボリンジャーバンド・ADX以外にも、RSIと組み合わせられる指標は多く存在します。
さまざまな指標と組み合わせながらRSIを活用することで、精度の高いトレードを行えるようになるでしょう。
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