RSIとは|基本の見方・使い方・設定方法などを詳しく解説
RSI(相対力指数)とは、相場の過熱感(買われ過ぎ、売られ過ぎ)を示すテクニカル指標のことです。
RSIを使用することで、主にレンジ相場での逆張りの売買タイミングなどを分析できますが、トレンド相場などではダマシが発生することもあり注意が必要です。
本記事では、RSIの意味・使い方・設定方法などを詳しく解説します。
目次
- 1.RSIとは
- 2.RSIの基本的な見方
- 3.RSIの使い方
- 4.RSIの設定方法
- 5.RSIと他のインジケーターを組み合わせた取引手法
- 6.RSIの注意点
- 7.RSIに関するQ&A
- 8.OANDAが提供する「マルチタイムフレームのRSI(OANDA_Multi_RSI)」
- 9.【まとめ】RSIとは|基本の見方・使い方・設定方法などを詳しく解説
RSIとは
ここでは、RSIの意味や計算式、一般的な期間について解説します。
RSIの意味
RSIとは「Relative Strength Index」の略で、日本語では「相対力指数」と訳されます。
相場の過熱感(買われ過ぎ・売られ過ぎ)を表す、オシレーター系のテクニカル指標の1つです。
RSIでは、過去の一定期間における「上昇幅・下落幅」を基に、現在の上昇幅が合計のどれくらいの割合なのかを計算します。
相対的に、上昇と下落のどちらが強いか(相場が強気か弱気か)を判断することができます。
RSIは0〜100%の数値で表され、一般的に70%以上なら買われ過ぎ、30%以下なら売られ過ぎと判断されます。
RSIを開発したJ・W・ワイルダー氏は、ADX(平均方向性指数)やパラボリックなど様々なテクニカル指標の開発者としても知られています。
RSIの一般的な計算式
RSIは以下の計算式で求められます。
上記の数式は、一定期間の上下変動の中で、上昇した割合を算出しています。
RSIの一般的な期間(パラメーター)
RSIで設定する期間(パラメーター)は、一般的に14日間(期間)に設定されることが多いです。
この期間は、開発者であるJ・W・ワイルダー氏が推奨していることから、MT4(メタトレーダー4)やMT5(メタトレーダー5)などの取引ツールでも、デフォルト値として14を採用している場合が多い傾向にあります。
RSIの期間を短くすると、より相場の値動きに敏感な動きをしますが、その分ダマシも多くなります。
一方、RSIの期間を長くすると、ゆったりとした動きをする分、相場の値動きから遅れる性質を持ちます。
それぞれに一長一短があるため、FX初心者のうちは一般的な「14」に設定することが推奨されます。
RSIの基本的な見方
出典:TradingView
RSIはメインチャート上ではなく、サブチャートに折れ線グラフで表示されます。
前述の通り、RSIの数値は0~100%の間で推移し、その値がどの水準に位置しているかによって、相場の過熱感を判断することが可能です。
RSIの使い方
ここではRSIの基本的な使い方を、以下の項目に分けて解説していきます。
買いシグナル
RSIが30%を下回った状態は相場が売られ過ぎている状態を表します。
30%を下回っている状態から、30%を上抜ける動きを見せた場合は、買い戻しが強まる可能性が高く、買いのシグナルの目安となります。
売りシグナル
RSIが70%を上回った状態は相場が買われ過ぎている状態を表します。
70%を上回っている状態から、70%を下抜ける動きを見せた場合は、売り戻しが強まる可能性が高く、売りのシグナルと考えられています。
ダイバージェンス
ダイバージェンスとは、ローソク足が示す値動きの方向性と、RSIの方向性が逆行する現象を指します。
主にトレンドが転換するサインと考えられています。
下のチャート画像では、ローソク足が高値を切り上げる値動きとなっているのに対し、RSIは高値を切り下げています。
これがトレンド転換のサインとなり、その後に相場は下落に転じていることがわかります。
出典:TradingView
このようにダイバージェンスの発生は、トレンド転換の可能性を示唆します。
「ダイバージェンス」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ラインやフォーメーション分析
RSIの応用的な使い方として、RSIにトレンドラインを引く、またはフォーメーション分析を行うという方法もあります。
下のチャート画像では、RSIにトレンドラインを引き、トレンドラインを抜ける動きとなったところに矢印をつけています。
出典:TradingView
RSIがトレンドラインを抜けた方向に価格が動く傾向があることを確認できます。
また、トレンドラインのみならず、ダブルトップやダブルボトム、ヘッドアンドショルダー、トライアングルなどのフォーメーション分析でも同様に機能する場合があります。
以下のチャートではRSIに数回トライアングルが出現しており、いずれも均衡が崩れた方向に向かって価格が勢いづく動きになっています。
出典:TradingView
RSIの設定方法
ここではRSIを使うにあたって、以下の取引プラットフォームでRSIを表示させる方法を紹介します。
MT4(メタトレーダー4)
MT4を起動し、上部メニューバーの「挿入」→「インディケータ」→「オシレーター」→「Relative Strength Index」を選択します。
出典:MT4
MT5(メタトレーダー5)
MT5を起動し、上部メニューバーの「挿入」→「インディケータ」→「オシレーター」→「Relative Strength Index」を選択します。
出典:MT5
TradingView(トレーディングビュー)
TradingViewを起動し、上部メニューの「インジケーター」をクリック→「テクニカル」の一覧から「RSI(相対力指数)」を選択します。
検索窓に「RSI」と入力して検索することで、素早く見つけることができます。
出典:TradingView
RSIと他のインジケーターを組み合わせた取引手法
RSIによる分析では、相場がサイン通りに動かないダマシも発生します。
ダマシを軽減するには、RSI以外のインジケーターを組み合わせて使うことがポイントです。
ここでは、RSIと他のインジケーターを組み合わせる取引手法を2パターン解説します。
RSI×MACD
MACD(マックディー)とは、短期と中長期の移動平均線をベースにしたテクニカル指標で、オシレーター系指標に分類されますが、トレンド系指標の性質も兼ね備えています。
日本語では「移動平均線収束拡散法」と呼ばれます。
RSIとMACDを組み合わせると、RSIのダマシを見抜きやすくなります。
以下のチャートでは、RSIは30%を下回って売られ過ぎのサインが出ており、買いを狙う場面です。
出典:TradingView
しかし、価格は下落を続けているため、このRSIのサインはダマシといえます。
そこでMACDを組み合わせ、その売買シグナルであるゴールデンクロスが発生したタイミングで買うことを検討します。
チャートに丸印をつけたMACDのゴールデンクロスを経て、価格が上昇に転じているのが分かります。
このように、RSIとMACDを組み合わせることで、より精度の高いトレードを行いやすくなります。
MACDについては「MACDとは」の記事で詳しく解説しています。
RSI×ボリンジャーバンド
RSIとボリンジャーバンドを組み合わせた取引手法は、いくつか考えられます。
1つ目は、以下のようにサブチャートにRSIを表示し、メインチャートにボリンジャーバンドを表示する方法です。
出典:TradingView
この方法は一般的で、多くのトレーダーに利用されています。
2つ目は、以下のように「RSI上にボリンジャーバンドを表示する方法」です。
出典:TradingView
RSIとボリンジャーバンドを組み合わせる方法については、長く為替トレーディングの第一線で活躍されてきた山中康司(やまなかやすじ)氏監修の記事「RSIにボリンジャーバンドを表示するチャート分析方法」で詳しく解説しています。
RSIの注意点
RSIを用いる際の主な注意点は、以下の通りです。
ダマシに注意する
オシレーター系のRSIは、一定の値幅を行き来するレンジ相場(もみ合い相場)を得意とする一方で、明確な方向性を示すトレンド相場を苦手とします。
特に、強いトレンドが発生した際は、ダマシも発生しやすくなるので注意が必要です。
以下のチャートでは上昇トレンドが継続していますが、RSIの買われ過ぎのサインがダマシになっています。
出典:TradingView
上のチャートのようにトレンドが明確に形成される局面では、逆張りを狙ったトレードが機能しにくいため、注意する必要があります。
RSIだけで取引しない
1つのテクニカル指標だけでは精度に限りがあります。
RSIのダマシを避けるためにも、先述のMACDやボリンジャーバンドなど、他の指標と組み合わせて複合的に分析することが重要です。
その他の指標では、ADX(平均方向性指数)をMACDと同時に用いるのも有効です。
例えば、RSIにMACDとADXを組み合わせると、次のような精度の高い分析が可能となります。
出典:TradingView
チャートが上昇している期間のRSIは「70〜100%」で、終始売りのサインが出ています。
一方、MACDはRSIの売りサインと同時にゴールデンクロスが発生しており、「上昇トレンド=買いのサイン」を示しています。
つまり、この相場ではRSIとMACDのサインが相反しています。
このような時、どちらが正しいかを見るためにADXを併用するのが有効です。
ADXはトレンドの強さを測る指標で、40%以上なら「強いトレンド」を示します。
上の画像でADXは40%以上の状態が続いているため、この相場は「強い上昇トレンドにある」と判断できます。
この状況においては、RSIよりMACDのサインが重視され、「買い」と判断できるわけです。
このように、MACDやADXを加えて複合的に分析することで、より優位性の高いトレードを目指すことができます。
RSIに関するQ&A
ここではRSIに関してよく見られる、以下の疑問点について解説していきます。
RSIに弱点はありますか?
RSIの弱点は、トレンド相場では機能しづらい傾向があることです。
強いトレンドが発生している場合には、買われ過ぎや売られ過ぎの水準を示し続けてしまうことがあります。
また、RSIは短期的な値動きの判断を得意としており、長期的な値動きの判断では使いづらいという側面もあります。
RSIが高いとどうなりますか?
RSIの数値が高い場合、その相場は「買われ過ぎ」と判断できます。
一般的に「70%以上なら買われ過ぎ、30%以下なら売られ過ぎ」というのが、RSIを分析する場合の基準です。
RSIが買われ過ぎになると、売りの圧力が増して下落に転じる可能性が高くなります。
反対に、売られ過ぎになると、買いの圧力が増して上昇に転じる可能性が高くなります。
RSIの期間は何日で設定したらいいですか?
RSI(相対力指数)の期間は、「14日間」が推奨されます。
期間を短くすると、相場の変動に敏感に反応しますがダマシが増え、期間を長くすると反応が緩やかになり相場の動きから遅れることがあるため注意が必要です。
RSIは意味がないのですか?
RSIに限らず、1つのテクニカル指標だけでは分析できる精度に限りがあります。
RSIにもダマシがあるので、RSI単体では機能しにくい場面もあります。
RSIのダマシを避けるためにも、MACDやボリンジャーバンドなど、他のテクニカル指標と組み合わせて複合的に分析することが重要です。
RSIと他のテクニカル指標の違いは何ですか?
RSIと以下2つのテクニカル指標との違いについて解説します。
- RSIとRCIの違い
- RSIとストキャスティクスの違い
RSIは一定期間の上昇幅と下落幅の大小関係を示した指標です。
対して、RCIは一定期間において価格が高いものからランキング化し、計測した地点の時間順位と比較して算出した指標です。
RCIでは、価格の変動幅が考慮されないため、RSIとは異なり、急な値動きに対応しにくい特徴があります。
「RCI」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ストキャスティクスは日本語で「推計統計学」と呼ばれ、一定期間の最高値と最安値を基準として、現在の終値の水準を表したテクニカル指標です。
ストキャスティクスは「%K」「%D」(「Slow%D」)という2本(または3本)の線を表示し、0~100%の数値で相場の過熱感を計測します。
「ストキャスティクス」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
OANDAが提供する「マルチタイムフレームのRSI(OANDA_Multi_RSI)」
OANDA証券では、様々なオリジナルインジケーターを提供しています。
その中の1つが「マルチタイムフレームのRSI(OANDA_Multi_RSI)」です。
このインジケーターでは、表示している時間足よりも長い時間足のRSIをMT4/MT5上に表示することが可能です。
名前通り、RSIによるマルチタイムフレーム分析を行いやすくなるインジケーターです。
以下の画像では、1時間足チャートの上に、4時間足と日足のRSIを表示しています。
出典:MT4
この他にも、OANDA証券ではあらゆる場面で活用できる、様々なインジケーターを提供しています。
OANDA証券の口座をお持ちの方であれば全て無料でご利用いただけます。
【まとめ】RSIとは|基本の見方・使い方・設定方法などを詳しく解説
RSIは「相場の過熱感」を判断するのに役立つオシレーター系の指標です。
70%以上なら買われ過ぎ、30%以下なら売られ過ぎと判断するのが一般的です。
RSIは単独で使用するよりも、MACDやボリンジャーバンドなどと組み合わせることで、より良い分析が可能となります。
ここで紹介したMACD・ボリンジャーバンド・ADX以外にも、RSIと組み合わせられる指標は多く存在します。
様々なテクニカル指標と組み合わせ、多角的なテクニカル分析を行うことで、トレードの精度をさらに高めることを期待できます。
テクニカル分析については、以下のコンテンツで分かりやすく解説しています。
また、OANDA証券ではテクニカル分析で役立つ、様々なオリジナルインジケーターを提供しています。
OANDA証券での取引に興味をお持ちいただけた方は、以下のボタンから口座開設をご検討ください。
本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。