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MACDとは|チャートの見方・活用方法・MT4での設定方法をわかりやすく解説


FXの代表的なテクニカル指標の1つにMACD(マックディ)があります。

MACDは、多くの投資家やトレーダーから利用されている指標であるため、MACDを理解しておくことで、質の高い分析や取引が期待できます。

MACDは、相場の過熱感(買われすぎ・売られすぎ)を判断するオシレーター系のテクニカル指標のため、トレンド転換の予測や売買タイミングの判断に役立ちます。

ただし、予想される売買サインと逆の方向に動くダマシが発生することもあり、利用する際には注意が必要です。

本記事では、MACDの意味や見方、活用方法などの情報を解説していきます。

MACDとは?

MACD(マックディ)とはオシレーター系指標の1つで、相場の過熱感(買われすぎ・売られすぎ)を判断するのに役立ちます。

また、移動平均線から派生したテクニカル指標であるため、トレンド系指標の性格も併せ持ち、トレンドの方向性を見いだすことも得意としています。

MACDは何の略?

MACDは「Moving Average Convergence / Divergence Trading Method」の略です。

日本語に訳すと「移動平均線収束拡散法」となります。

各英単語がどのような意味を持つかを見ていくと、その性質がわかります。

MACDの言葉の意味・誤字修正版

収束および拡散は、2本の移動平均線の位置関係を表します。

MACDの意味を簡単な言葉で表現すると「2本の移動平均線が近づいたり離れたりする動きから、相場を分析する指標」といえます。

MACDの計算式

MACDは、MACDとシグナルで構成されます(さらにヒストグラムが表示される場合もあります)。

表示されるのは、メインチャートではなくサブチャートです。

MACDは、移動平均線の中でも直近の値動きに反応しやすい指数平滑移動平均線(EMA)で作られるのが特徴です。

  • ・MACD=短期の指数平滑移動平均線-長期の指数平滑移動平均線
  • ・シグナル=MACDの移動平均線
  • ・ヒストグラム=MACD―シグナル

各指標の期間は、短期線を「12」、長期線を「26」、シグナルを「9」とするのが一般的です。

MACDの計算式の意味

MACDは、短期線と長期線の価格差を表します。短期線が長期線の上に位置すればプラスの値を、下に位置すればマイナスの値をとります。

その価格差が広がっていくということは、短期的な値動きの勢いが増していることを意味します。逆に、価格差が狭まっていくということは、短期的な値動きの勢いが衰えていることを意味します。

また、価格差がなくなった状態は、短期線と長期線がクロスしていることを意味します。

一方のシグナルは、MACDの移動平均です。MACDよりもなだらかに推移して、大きなトレンドを表すのが特徴です。

また、ヒストグラムはMACDとシグナルの価格差です。こちらもMACDの考え方と同様に、MACDがシグナルよりも上に位置すればプラスの値を、下に位置すればマイナスの値をとります。

「短期線と長期線の価格差」の意味を、初心者向けに簡単な図で示すと、以下のようになります。

「短期線と長期線の価格差」のイメージ

このように短期線と長期線で勢い(角度)に差があるということは「短期の値動きの勢いが増している」ということです。

(※あくまで簡略化したものであり、実物の移動平均線とは異なります)

移動平均線について詳しく知りたい方はこちらの記事もご一読ください。

MACDを使用するメリット

MACDを使用するメリットは、以下の通りです。

  • ・視覚的にわかりやすい
  • ・応用範囲の広いテクニカル指標である

視覚的にわかりやすい

MACDを用いると「トレンドが上昇傾向か下落傾向か」「そのトレンドがどの程度強いか弱いか」を、視覚的に判断しやすくなります。

下図の通り、MACD(青線)がどの向きでシグナル(オレンジ線)を抜けるか、その角度がどの程度かによって、トレンドとその強弱を推測できます。

MACDの見方

後述しますが、MACDがシグナルを上に抜けるのは「ゴールデンクロス」、下に抜けるのは「デッドクロス」で、それぞれ売買サインと解釈されます。

実際の取引では、MACDのこの4パターン以外にも、さまざまなテクニカル指標を見ながら、総合的に相場を判断する必要があります。

しかし、MACDを用いれば「おおよその動き」を、一目で推測できます。

応用範囲の広いテクニカル指標である

MACDはトレンド追随型(順張り)の売買シグナルを見つけることを主目的に生み出された指標です。

しかし、逆張りのシグナルを見つける指標としても利用でき、上昇・下落双方のトレンドで活用できます。

また、FX取引のみならず、株式・コモディティなどのあらゆる相場商品に適用できるため、MACDに習熟すると投資家としての幅も広げやすくなります。

MACDを使用するデメリット

MACDを使用するデメリットは、以下の通りです。

  • ・ダマシが起きる可能性がある
  • ・短期間の激しい相場はカバーできない

ダマシが起きる可能性がある

MACDでは「ゴールデンクロスやデッドクロスが発生しても、上昇トレンドや下落トレンドが発生しない」という「ダマシ」が起きることもあります。

このダマシが起きやすい相場の1つは、一定の範囲で価格が上下を繰り返す「レンジ相場」です。

MACDの騙し
出典:TradingView

このレンジ相場では、ゴールデンクロスとデッドクロスが合計12回発生しています。

最後の1回のゴールデンクロスについては、そのままレンジ相場を抜け出しており、ダマシではない本物のサインだったといえます。

しかし、その前の11回のクロスについては、クロスの後もレンジ相場が続いているため、ダマシだったことがわかります。

レンジ相場を中心に、このようなダマシの可能性があることが、MACDのデメリットの1つです。

短期間の激しい相場はカバーできない

MACDで用いる2本の移動平均線は、いずれも「一定期間の平均価格」によって描画されます。

短期間での激しい相場変動は、この平均価格に反映されないため、MACDでカバーできないことがあります。

激しい相場でのMACD

出典:TradingView

青で囲んだ範囲のローソク足はひたすら乱高下していますが、MACDのヒストグラムは反応せず、ゼロラインより下のままです。

このように、価格変動の激しい通貨ペアを取引する際や、経済指標の発表前後などに急激な相場変動が起きた時、対応しきれないケースがあることがMACDのデメリットです。

MACDの売買サインの見方・使い方

ここからは、MACDによる売買サインや、トレンドの判断方法を4つ紹介します。

  1. 1.MACDとシグナルのゴールデンクロス・デッドクロス
  2. 2.ヒストグラムで売買サインを確認する
  3. 3.MACDとシグナルの位置や傾きからトレンドの傾向を把握する
  4. 4.ダイバージェンスの発生からトレンドを予測する

【売買サイン1】MACDとシグナルのゴールデンクロス・デッドクロス

まず押さえておきたいのは、MACDとシグナルによる「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」という売買サインの見方です。

  • ▼ゴールデンクロス(買いサイン)
  • MACDがシグナルを「下から上」に抜けたポイント
  • ▼デッドクロス(売りサイン)
  • MACDがシグナルを「上から下」に抜けたポイント

下図では、ゴールデンクロス後に価格が上昇し、デッドクロス後に価格が下落していることがわかります。

ゴールデンクロス発生後

出典:TradingView

このように、MACDとシグナルのクロスからトレンドの転換を予測するのが、基本的な見方です。

【売買サイン2】ヒストグラムで売買サインを確認する

売買ポイントとしては、売買サイン1で解説したゴールデンクロス・デッドクロスと同様になりますが、ヒストグラムを見ることでMACDとシグナルのクロスを先読みすることができます。

ヒストグラムがマイナス域で値を切り上げてゼロラインに向かっていればゴールデンクロスが近いことが、プラス域で値を切り下げてゼロラインに向かっていればデッドクロスが近いことが示唆されます。

  • ▼買いサイン(=ゴールデンクロス)
  • ヒストグラムがゼロラインの下から上に転換したポイント(棒グラフが赤色から緑色に変わった境目)
  • ▼売りサイン(=デッドクロス)
  • ヒストグラムがゼロラインの上から下に転換したポイント(棒グラフが緑色から赤色に変わった境目)

下画像を見ると、ヒストグラムの買いサイン後に価格が上昇し、売りサイン後に価格が下落していることがわかります。

買いサイン・売りサイン

出典:TradingView

ヒストグラムの値がゼロに近づいているかを見ることで、トレンドの転換を読みやすくなります。

【トレンド判断1】MACDとシグナルの位置や傾きからトレンドの傾向を把握する

MACDとシグナルの位置や傾きから、トレンドの傾向や強さを把握する見方もあります。

  • ▼上昇トレンドが発生
  • ・MACDとシグナルの位置:ゼロラインよりも「上」のプラス領域にある
  • ・MACDとシグナルの傾き:上向き
  • ▼下落トレンドが発生
  • ・MACDとシグナルの位置:ゼロラインよりも「下」のマイナス領域にある
  • ・MACDとシグナルの傾き:下向き

例えば下画像の場合、MACDとシグナルがゼロラインよりも上に位置して、上向きを示しているため、強い上昇トレンドが発生していると判断できます。

強いトレンド

出典:TradingView

また、2本のラインの傾きが急になればなるほど、強いトレンドが発生していることがわかります。

逆に、傾きが緩やかになれば、トレンドの勢いが弱まっていると見ることができます。

【トレンド判断2】ダイバージェンスの発生からトレンドを予測する

「ダイバージェンス」とは、価格の値動きとインジケーターの動きが逆方向を示す現象のことです。

ダイバージェンスが発生すると、トレンドが転換する傾向にあるため、トレンドの転換を予測するサインとして使われます。

下画像では、価格は上昇しているもののMACDは下落するというダイバージェンスが発生しています。

そしてダイバージェンス発生後、トレンドが転換し下落していることがわかります。

ダイバージェンス

出典:TradingView

ポジション保有時には、MACDと価格の動きが同方向を示しているかを確認し、もしダイバージェンスが確認されたら、トレンドが反転することを見越して決済する検討ができます。

MACDを活用する際のポイント

MACDの売買サインは、トレンドの転換や売買のタイミングを知るために役立ちます。

しかし、売買サインと逆の方向に価格が動いてしまう「ダマシ」が発生することもあるので、過度に期待しないことが大切です。

ここでは、MACDのダマシを回避するための方法を紹介します。

  • 1.レンジ相場ではMACDを使わない
  • 2.長期のトレンドを把握する

【ポイント1】レンジ相場ではMACDを使わない

MACDは、価格の値動きに対して素早く反応する特徴があり、トレンド相場においては売買サインが機能しやすい特徴を持ちます。

一方、レンジ相場では売買サインが機能しにくい傾向があります。

レンジ相場は、価格が一定の値幅を上下するため、ゴールデンクロスが出た直後にデッドクロスが出るなど、売買サインが頻繁に出てしまいます。

売買サインの信用性が落ちるので、基本的にレンジ相場ではMACDを使って売買を判断しない方が良いでしょう。

レンジ相場

出典:TradingView

【ポイント2】長期のトレンドを把握する

MACDはトレンドを見極めやすいインジケーターですが、短期のトレンドのみを把握してトレードすると、予想とは違う値動きに翻弄されることがあります。

一般的に、価格は長期のトレンドに沿って推移する傾向があります。

そのため、5分足や15分足といった短期のトレンドだけではなく、日足や週足、月足といった長期足でのトレンドも把握することが推奨されます。

【TradingView(トレーディングビュー)】MACDの設定方法

ここでは、TradingView(トレーディングビュー)でMACDを設定する方法について紹介します。

【手順1】「インジケーター」を選択する

上段のメニューから「インジケーター」をクリックします。

MACD1

出典:TradingView

【手順2】検索窓に「MACD」と入力し、「Moving Average Convergence Divergence」を選択する

表示されたポップアップの検索窓に「MACD」と入力し、「Moving Average Convergence Divergence」を選択します。

出典:TradingView

以上の2つの手順が済むと、以下のようにサブチャートにMACDが表示されます。

出典:TradingView

【MT4(MetaTrader 4)】MACDの設定方法

続いて、MT4でMACDを設定する方法を紹介します。

MT4に標準搭載されているMACDは、MACDがヒストグラム(棒グラフ)で、シグナルがラインで表示されるのが特徴です(ヒストグラムは表示されません)。

TradingViewの表示とは異なるので注意が必要です。

【手順1】ツールバーで「MACD」を選択する

MT4の画面を開き、画面上部のメニューバーにある「挿入」から「インディケータ」→「オシレーター」→「MACD」の順番で選択します。

macd4

出典:MT4

【手順2】:パラメーター設定のポップアップ画面で「OK」を押す

表示されたポップアップ画面にて「OK」を選択します。

パラメーターの数値は基本的にはデフォルトのままで問題ありません。

もし数値を変更する場合は、数値を入力後に「OK」を押します。

macd5

出典:MT4

下画像のように、サブチャートにMACDが表示されれば、設定は完了です。

macd9(1)

出典:MT4

【MT5(MetaTrader 5)】MACDの設定方法

最後にMT5でMACDを表示する手順を紹介します。

画面やメニューが少し異なりますが、手順は基本的にMT4と同じです。

【手順1】ツールバーで「MACD」を選択する

MT5の画面を開き、画面上部のメニューバーにある「挿入」から「インディケータ」→「オシレーター」→「MACD」の順番で選択します。

macd10

出典:MT5

【手順2】:パラメーター設定のポップアップ画面で「OK」を押す

表示されたポップアップ画面にて「OK」を押します。

macd8

出典:MT5

パラメーターの数値は基本的にはデフォルトのままで問題ありません。

もし数値を変更する場合は、数値の入力後に「OK」を押します。

下画像のように、サブチャートにMACDが表示されれば、設定は完了です。

macd9

出典:MT5

MT4・MT5で使いやすいOANDA_MACDの特長

カスタムインジケーターの「OANDA_MACD」は、MT4とMT5で使えるOANDA証券オリジナルのインジケーターです。

標準搭載されているMACDとは異なり、TradingViewなどのツールと同様に2本の線(MACDとシグナル)とヒストグラム(棒グラフ)が表示されます。

そのため、標準版よりもラインがクロスするポイントがわかりやすく、トレンドの転換を予測しやすくなります。

macd11(1)

また、ヒストグラムの色の変化からトレンドの転換を察知できるのがメリットです。

「OANDA_MACD」のヒストグラムは、以下のように色分けされています。

  • ▼ゼロラインよりも上(MACDがシグナルの上に位置)
  • 数値が上がる:濃い緑色
  • 数値が下がる:薄い緑色
  • ▼ゼロラインよりも下(MACDがシグナルの下に位置)
  • 数値が上がる:ピンク色
  • 数値が下がる:赤色

下図のように、ヒストグラムが濃い緑色から薄い緑色に変化しているとき、MACDとシグナルの価格差が小さくなっているため、その後のデッドクロス(トレンドの転換)を予測できます。

macd12

この「OANDA_MACD」は、OANDA証券の口座開設者であれば、MT4、MT5のインストール後に無料で利用できます。

MACDに関するよくある質問

MACDに関してよく見られる疑問点をまとめると、以下の通りです。

  • ・MACDの弱点はありますか?
  • ・ゴールデンクロスとは何ですか?
  • ・MACDは何がわかる指標ですか?

MACDの弱点はありますか?

MACDの弱点はレンジ相場に弱いことです。とはいえ、長期のトレンドを把握すれば、この弱点を解消できる可能性があります。

レンジ相場の平均線

上図は、順調に上昇した後に、高値圏でレンジ相場が始まっている状況です。

直近のレンジ相場だけを見れば「この後上がるか下がるか分からない」ですが、長期で見れば上昇しています。

そのため、「レンジの直後に上がっても下がっても、最終的には上がる可能性が高い」と考えることができます。

このように、MACDがレンジ相場に弱いのは短期で見た場合であり、長期で見れば必ずしも弱点とはなりません。

ゴールデンクロスとは何ですか?

ゴールデンクロスとは短期の移動平均線が、中長期の移動平均線を下から上にクロスすることです。

これから相場が上昇傾向になる可能性があるサイン=「買いのサイン」の1つとされています。

ゴールデンクロス

出典:TradingView

上図の赤ラインは短期線(25日移動平均線)で、緑ラインは中長期線(75日移動平均線)です。

短期線が、中長期線を突き抜けた後に、相場が大きく上昇していることが分かるでしょう。

相場は必ずしもテクニカルのサイン通りには動かないため、ゴールデンクロスが発生してもダマシとなってしまうこともあります。

それでも、このクロスが発生した時点で「上昇の可能性は一定以上ある」と判断できるわけです。

ゴールデンクロスについて詳しく知りたい方はこちらの記事も一緒に読んでみてください。

MACDは何がわかる指標ですか?

MACDは「買いと売りのタイミング」がわかる指標です。

MACDがシグナルを上抜ける「ゴールデンクロス」が発生すれば買い、下抜ける「デッドクロス」が発生すれば、売りのタイミングと判断できます。

また、MACDとシグナルがゼロラインを上抜けた場合は上昇トレンドの継続を示唆するため「買い」、下抜けた場合は下落トレンドの継続を示唆するため「売り」のタイミングと考えられます。

この他、ヒストグラムが「マイナスからプラス」に転じた時は買い、「プラスからマイナス」に転じた時は売りのタイミングと判断することもできます。

【まとめ】MACDとは|チャートの見方・活用方法・MT4での設定方法をわかりやすく解説

MACDは、移動平均線から派生したテクニカル指標で、オシレーター系とトレンド系の性質を兼ね備えています。

MACDとシグナルのクロスで売買判断ができたり、ダイバージェンスから相場の転換を予測できたりと、さまざまな場面で活躍します。

ただし、ダマシが発生したり、レンジ相場を苦手としていることなどには注意が必要です。

なお、MT4やMT5に標準搭載されたMACDは、MACDがヒストグラムで、シグナルがラインで表示されます。MACDとシグナルをラインで表示し、あるいはヒストグラムも見たい場合は、OANDA証券のオリジナルインジケーター「OANDA_MACD」が便利です。


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